※本ページ内の情報は2025年4月時点のものです。

1998年に設立されたマーケティングパートナー株式会社。総合物流サービスのSBSホールディングスのグループ会社として、物流のノウハウを生かしたECサイト運用支援や、マーケティングサービスを提供する会社だ。特に医薬品など専門分野でのEC支援をはじめとして、ペットフードの開発・販売にも注力している。2015年より代表取締役社長を務める権田真司氏に、就任の経緯や企業の強み、今後の展望についてうかがった。

大手自動車メーカーでマーケティングを学び、ベンチャー社長へ

ーーこれまでの経歴をお聞かせください。

権田真司:
国産自動車メーカーに入社したことがキャリアのスタートです。アフターサービス部門に配属後、1年半ほどディーラーに出向した際は100台を売り上げ、多くのお客様との接点も生まれました。

販売促進部、宣伝・マーケティング部を経て、新ブランドアイデンティティ(BI)の海外展開チームに加わり、6年間にわたって世界的なブランドビルディング・セールス・プロモーションやメディア戦略に携わった経験も印象深いものでしたね。しかし、50歳を目前に控え、自身の今後について考えるようになったのです。

実は、若手時代から経営者になることを夢見て、いろいろな仕事を経験することを心がけていました。また、「中小規模のアットホームな会社で働きたい」という思いから、転職して海外メーカーで経験を積んだのち、ご縁があって弊社に入社しました。

ーー入社後はどのような取り組みを行いましたか。

権田真司:
2013年に顧問として入社し、3ヶ月後には統括部長に任命いただきました。統括部長に就任して初めに取り組んだことは、全社員との1on1(ワンオンワン)です。要望をヒアリングしたところ、人事・評価制度や給与体系、労働環境に問題点があったため、段階的に整えていきました。

「会社は家族である」という方針で、社員の働きやすさを見直しました。中でも、PCM(パフォーマンス・コンピテンシー・マネジメント)手法を用いた評価制度は効果的で、各人が年間計画を立てた上で、個人の目標を管理した結果、生産性が向上したのです。翌年には業績に連動した一時金支給制度なども導入し、その後の決算賞与導入につながりました。

eコマース支援事業を強化させる「ペットフードの自社EC」を展開

ーー事業内容について詳しく教えてください。

権田真司:
弊社ではプランニング事業として、お客様となる「企業」に向けたeコマース事業のコンサルティング、マーケティング支援、運用支援業務、また「eコマース」にかかる一連の業務をSBSグループと連携し提供しています。

ECサイト黎明期からの歴史があり、アパレルや化粧品、食品、健康機器など、多種多様な商材に応じて集客・物流や顧客対応のノウハウを提供できることが特徴です。さらに医薬品など法規制のある分野については制度を踏まえたご提案をしています。

もう1つの柱であるペットウエルネス事業は、ペットフードのセレクトショップから始まり、現在はペットフードメーカーとして「プレミアム路線」を意識した自社ブランドのEC展開に注力しています。

プレミアムドッグフード専門店の「POCHI(ポチの幸せ)」は、「すべての犬を幸せにしたい」という思いから、犬の一般的なネーミングである「ポチ」をブランド名に冠しました。近年は、愛猫家向けにオープンしたプレミアムキャットフード専門店の「tama(たまのおねだり)」もニーズが高まっています。

「犬のしあわせ企画」をはじめとする広報活動では、「ブランドのファンづくり」を意識しています。たとえば、レトリバー種限定の専門誌『RETRIEVER』とタイアップして、読者アンケートを参考にしたドッグフードの開発企画が進行中です。

また、「うちの子」への思いを綴る「手紙コンテスト」は、約1,400通もの応募がありました。感動で胸がいっぱいになる受賞作は、POCHIサイトでご覧になれます。

ーー貴社の強みは何でしょうか。

権田真司:
弊社は、物流業界の国内トップ10にはいるSBSホールディングスの一員です。「品物を確実にお届けする」という、物流の根幹に対する安心感と販売支援によるシナジーは、お客様にとって非常に大きいといえるでしょう。

最大の強みは、eコマースを自社で運営し、その経験を踏まえ他社のeコマース事業をサポートする「ハイブリッドカンパニー」であることです。また、ネームバリューがあり、経営が安定している「大企業」の良さと、自由な風土でチャレンジできる「ベンチャー」の良さを併せ持った会社であるとも感じています。

2030年まで駆け抜けた先に「世界一のeコマース」を夢見て

ーー今後の展望をお聞かせください。

権田真司:
2020年に全員が参画して策定した長期経営計画「2030年目指すべき姿」が中間に差し掛かり、達成した目標の成果を実感しています。中でも、昨年自社運営のリパック(再包装)流通加工センターを併設した約3,000坪の倉庫を持てたことは大きいですね。

自社ブランドのペットフードは、独自に考案したレシピを海外のOEM工場に生産を託し輸入しています。国内でのリパック作業について、「外注をやめて自社流通加工センターを持つ」と計画したからこそ、流通加工センターを収得する機会に恵まれた際に素早く決断できたといえます。

全員で出し合ったアイデアを実現してきた結果、弊社は大きな成長を遂げ、従業員数は2013年当時の20名から100名に増えました。高い専門性とコンピテンシーを持つメンバーが集まっているので、今後は私が敷いたレールをも突破してほしいという思いがあります。

ーー企業が求める人物像はどのような方でしょうか。

権田真司:
私は、仕事や自分に対して「真面目で正直な人」が好きです。「一緒に仕事をしたい人」と「社内で活躍している人」は共通していると思います。日本一、さらには「世界一のeコマースハイブリッドカンパニー」を目指しつつ、事業を多角化していく可能性もあるので、ネバーギブアップの精神で「会社の成長を体験したい」と感じた方に来ていただけるとうれしいですね。

編集後記

ダイレクト・マーケティングの検証として、EC事業を発展させていったマーケティングパートナー株式会社。eコマース支援だけでなく、ペットフード事業は今やメイン事業の一つとなり、会社を支えている。自社ブランドのラインアップについて、「さらに充実させたい」と語った権田社長に、就任から10年を経ても変わらぬベンチャースピリッツを感じた。

権田真司/1957年生まれ。1981年、国産自動車メーカーの宣伝・マーケティング部門にてキャリアをスタート。国内外のマーケティング活動を中心にブランドの構築・展開にて実績を積む。2007年、海外自動車メーカーの日本法人にてマーケティングGM・ブランドマネジャーとして活躍。2013年、マーケティングパートナー株式会社に顧問として参画し、2014年9月にペットフード輸入・販売の子会社カナディアン ペット ニュートリション(現:グローバル ペット ニュートリション)を立ち上げる。同社 代表取締役社長に就任。2015年にマーケティングパートナー代表取締役社長に就任。