※本ページ内の情報は2025年3月時点のものです。

YouTubeやTikTokを舞台に、次世代のIPコンテンツを生み出す株式会社Plott。同社はショートアニメを主軸に、webtoonやキャラクターソング、ハイブリッドカジュアルゲームまで幅広いメディアミックス展開を手がけている。

同社が運営するYouTubeチャンネルの総登録者数は1千万人を超え、月間再生回数は5億回を突破しているという。Forbes UNDER 30 ASIA 2022にも選出された同社の代表取締役社長である奥野翔太氏に、起業への思いから今後の展望まで話をうかがった。

表舞台ではなく裏方として夢を追うことを選んだ

ーー起業に至った経緯をお聞かせください。

奥野翔太:
私はもともと、漫画やアニメなどのエンターテインメントが大好きな少年でした。起業のきっかけは学生時代の経験です。高校3年生のとき、サッカー部のキャプテンから突然デパートの屋上に呼び出され、「一緒にお笑い芸人をやらないか」と誘われたのです。悩んだ末に、自分は表に立つのではなく、裏方としてもっと大きなことをやりたいと考え、その道は選びませんでした。ただ、そこで先輩と「エンターテイナーとしてまた会おう」という約束をしたことが、エンターテインメントの世界を目指した理由です。

その後、大学時代に150人規模のサークルを立ち上げて、組織をつくる楽しさを実感しました。さらに大学3年生のときにインターンで学生起業の会社に入り、経営陣の方々と接するなかで、経営者という道であれば組織づくりとエンターテインメントの提供が両方実現できると気づいたのです。そこで、大学在学中の2017年に弊社を設立しました。

ーー起業した当初はどのような事業を展開していたのでしょうか?

奥野翔太:
当時は『ポケモンGO』が流行っていたので、その影響も受け、最初はARを使ったゲームの開発から始めました。しかし、学生ながらに試行錯誤していましたが、結果的に市場で戦えるイメージが湧きませんでした。そこでVTuber事務所を1年ほど運営し、試行錯誤を重ねながら現在のショートアニメ事業へと軸足を移していったのです。

SNSを軸に展開する新時代のコンテンツ戦略

ーー貴社の事業内容について教えてください。

奥野翔太:
弊社の中核事業は、YouTubeやTikTokでのショートアニメ配信です。そこを起点に、縦読み漫画のwebtoon作品やハイブリッドカジュアルゲーム、音楽など、IPを活用したさまざまなコンテンツ展開を行っています。なかでも特徴的なのは、ジャンルの多様性です。

ブラック企業で働く「テイコウペンギン」のようなキャラクターものから、少年漫画やライトノベルのようなストーリーを重視したコンテンツ、女性向けのアイドルコンテンツまで幅広く手がけています。

ショートアニメという新しいメディアを中心として、あらゆるジャンルのIPを展開できる体制を整えています。これにより、多様なターゲット層に向けて、さまざまな形式でコンテンツを届けることができるのが弊社の強みです。

ーー事業拡大のターニングポイントはどのような出来事ですか?

奥野翔太:
やはり、VTuber事業からショートアニメ事業への転換が大きかったと感じています。当時、VTuber事務所は群雄割拠の状態で、勝ち続けていくことが難しく、ビジネスモデルの価値にも課題を感じていました。そのような状況下で、日に日に自分たちでコンテンツをつくりたいという思いが強くなっていき、毎日のようにSNSを見ていた経験から、ショートアニメという領域に可能性を見出したのです。

事業を切り替える判断をしてからは、ビジネスが一気に加速していきました。「テイコウペンギン」をはじめとする弊社の作品群が広く認知され、多くの方々に支持されるようになっていったのです。

世界で戦える日本発のエンターテインメント企業へ

ーー今後の展望についてお聞かせください。

奥野翔太:
弊社は中期経営スローガンとして「IP革命」を掲げており、26年末までに新規IP100作品の創出やハイブリッドカジュアルゲーム10作品の開発に加えて、楽曲を50曲制作することを目指しています。

その実現に向けて、プロデューサー100名の採用も計画しています。特にIPの領域を広げていける人材を積極的に採用したいと考えています。具体的には、ゲーム開発の担当者やショートアニメへのタイアップ広告を担当する方、グッズ販売のマーチャンダイジング担当など、さまざまな職種で採用を進めていきたいですね。また、作品をつくりたいと考えているプロデューサーの方々にもご応募いただけたら嬉しいです。

ーー最後に、読者へのメッセージをお願いします。

奥野翔太:
日本のアニメや漫画、ゲームは世界に通用する産業です。日本が競争力を保ち、文化を維持していくためには、弊社のようなエンターテインメントを扱う企業が世界で活躍することが重要だと考えています。

日本を代表する企業をつくっていきたい方、世界を楽しませることに情熱を持っている方はぜひ弊社の門を叩いてください。エンターテインメント業界で、一緒に新しい時代を切りひいていきましょう。

編集後記

奥野社長の言葉には、表舞台ではなく裏方を選んだ高校生のころの決意が今も変わらず貫かれている。ショートアニメを中心とした新しいコンテンツを武器に、世界で戦うという姿勢。その背後には日本の文化を守り、発展させていきたいという力強い使命感が垣間見えた。

奥野翔太/1995年生まれ。筑波大学情報科学類卒業。大学在学中の2017年に起業し、1年間VTuber事務所を運営。自身もプロデューサーとしてゲーム・ドラマなど、複数コンテンツを企画・プロデュース。2019年より「テイコウペンギン」を立ち上げ、その後複数のショートアニメをリリース。Forbes UNDER 30 ASIA 2022に選出。