※本ページ内の情報は2025年4月時点のものです。

メルセデス・ベンツの正規販売店として30年以上の歴史を持つ株式会社シュテルン品川。国内ディーラーでトップクラスの実績を誇る同社は、カフェを併設した新業態店舗の展開や、自然素材を取り入れた居心地の良い空間づくりなど、高級車ブランドの新たな可能性を追求している。顧客との接点を増やし、より身近な存在を目指す同社の戦略について、代表取締役社長の須田利夫氏に話をうかがった。

ドーナツ店とのコラボで高級車ベンツのイメージを身近にした転換点

ーー貴社にとってターニングポイントとなった出来事を教えてください。

須田利夫:
2015年に「Mercedes me Tokyo HANEDA(メルセデス ミー 東京羽田)」というメルセデス・ベンツのコレクション販売店をオープンしたことが、弊社の事業にとって大きな転換点となりました。メルセデス・ベンツと言えば、「高級車」というイメージがあり、誰もが気軽に触れられるものではないという意識があるのではないかと思います。しかし、実際にはそれほど高額ではないものもあり、「富裕層のためだけのブランド」というものでもないのです。

「Mercedes me Tokyo HANEDA」は、メルセデス・ベンツの情報を発信するお客さまとのタッチポイントとして、メルセデス・ベンツ日本と弊社の協業によってつくられました。カフェを併設し、クリスピー・クリーム・ドーナツさんとコラボレーションすることで、より幅広い層のお客さまに認知していただくことができたのです。良い意味で、「ブランドのハードルを下げる」ことに成功したと自負しています。

また、同年に弊社がオープンした「メルセデス・ベンツ 三井アウトレットパーク木更津」も同様に、ブランドの認知に一役買ったと言えるでしょう。羽田、木更津の2店舗でメルセデス・ベンツに直接触れたことによって「この会社で働きたい」という希望者も増え、弊社の採用にも貢献してくれるという、予想外の嬉しい効果もありました。

自然あふれる居心地のいい空間でお客さまとのコミュニケーションを促進

ーー他の代理店との差別化ポイントはどのようなところですか?

須田利夫:
弊社の事業は販売店・ディーラーなので、店舗のコンセプトやデザインなどは基本的に世界中、どこの販売店でも同じです。世界観の統一はブランドの価値を高める大切な要素なので、どの販売店であっても同じでなくてはなりません。そのような環境の中でも、お客さまに選んでいただける販売店になるために、弊社ではブランドに対する社員の意識を高めるための取り組みを行ってきました。

たとえば、弊社では経理や人事などのバックオフィスで働く社員や、店舗に併設したカフェのスタッフにも、メルセデス・ベンツに試乗する機会を設けています。その他にも、全スタッフに対してメルセデス・ベンツの歴史や安全性についての研修などを実施しています。

ーー貴社のアピールポイントを教えてください。

須田利夫:
弊社の店舗は、お客さまにとってご自宅や職場といった、「自分の居場所」のような場所になることを目指して運営しています。これまで、私たちがお客さまと接する機会は、車をご購入いただくときか、点検や修理のときに限られていました。私たちはもっとお客さまと接する機会を増やし、担当者以外のスタッフもお客さまと気軽にコミュニケーションが取れる関係性を築きたいと思いました。ショールームにカフェを併設しているのも、そのためです。

そのような観点から、メルセデス・ベンツ浦安では、内装に木や水など自然の素材を感じられる店舗づくりをしています。最新技術の結晶である自動車と、癒しをもたらす自然との融合により、お客さまがリラックスできる空間を演出しました。居心地の良い空間でくつろぎながら、メルセデス・ベンツの良さを体感していただきたいです。

お客さまにも、社員同士でも「相手の期待以上」の気持ちで接する

ーーどのような方針で社員教育に臨んでいますか?

須田利夫:
弊社の社員教育の理念として、「期待以上」という考え方があります。これは、「お客さまの期待を超えるサービスを提供しよう」という意味です。弊社はこれをさらに拡大して、社員同士の関係においても「期待以上」を実践し、職場環境を良くしようと試みています。

「メルセデス・ベンツの一員である」という帰属意識をしっかり持ち、同僚や後輩、上司に対しても、お客さまに接するときと同じ態度で接することで、CS(顧客満足度)とES(従業員満足度)の両方が向上することを期待しています。採用した社員が「この職場でずっと働きたい」という気持ちになるように、働きやすい職場環境づくりを整えていきたいですね。

ーー今後の展望をお聞かせください。

須田利夫:
今後とも、お客さまとコミュニケーションを取りやすい環境をつくり、気軽に足を運んでもらえるような店舗づくりをしていきたいです。同時に、お客さまとの接点を増やす方法も模索していきたいと考えています。

今は自動車の動力源の主役が内燃機関から電気に変わろうとしており、100年に1度の変革の時代です。それにより、ディーラーのあり方も変化していくでしょうし、これまでの経験に基づいたメソッドを活かせるかどうかもわかりません。こうした変化に対しても柔軟に対応しながら、発展していける会社づくりをしていきたいと思います。

編集後記

「期待以上」という言葉が心に残った。この理念は、顧客サービスだけでなく、社内の人間関係にまで及ぶという。温かみのある店舗づくりや、全スタッフへの教育など、その言葉は確かな形となって表れていた。100年に一度の変革期に直面しながらも、「人」を軸に据えた経営を貫く須田社長の姿勢に、ディーラーの新しい可能性を見た気がする。

須田利夫/1972年、東京都出まれ。玉川大学文学部卒業後、株式会社シュテルン品川に入社。新車・中古車の販売現場を経験後、取締役管理部長などを経て、2009年に代表取締役社長に就任。社業の他に、ひとり親家庭や地域の子どもたちの支援をはじめとした社会貢献活動にも取り組んでいる。