※本ページ内の情報は2025年3月時点のものです。

住宅の外壁塗装を中心に事業を展開する株式会社誠進堂。2015年の創業以来、地域に根差した営業活動で顧客基盤を拡大し、8年という短期間で売上高30億円規模へと成長を遂げた。現在は2府6県に拠点を構え、約100名の社員とともに事業を展開している。「感動を伝える営業」をモットーに、従業員満足度と顧客満足度の向上に取り組む同社の代表取締役、松村洋平氏に話をうかがった。

自らの思いを形にするために起業を決意

ーー社長のご経歴を教えてください。

松村洋平:
私は大学卒業後、就職活動をせずにアルバイトで生計を立てていました。24歳のころに結婚し、家庭を守る立場になったので、就職先を探していました。そこで、あるリフォーム会社を見つけ、営業職として働くことにしたのです。

最初に入社した会社は、年商100億の大きな会社です。そこには3年半勤めていましたが、全国2位の売上を上げるほどの成績をおさめたことから、ヘッドハンティングされ、年商5億を目指す小さな会社に転職したのです。

その会社の社長や幹部は、私と同様に「会社を大きくしたい」「お客さまを大切にしたい」という思いを抱いていましたが、その方法には大きな溝がありました。私は会社を良くするためにさまざまな意見を出しましたが、溝は埋まらず、最終的にその会社を去ることになったのです。

この出来事が起業のきっかけとなり、「仕事に対する自分の思いを形にするために、起業しよう」と考えて、2015年に弊社を設立しました。「誠進堂」という社名は、祖父母が経営していた製本会社の屋号を引き継いだものです。

ーー社長が考える営業を成功に導くポイントとは、どのようなことですか?

松村洋平:
感動をお客様に伝えることだと思います。たとえば、とても美味しいラーメンを食べたとき、「このラーメン、とても美味しかったよ」と身近な人に感動を伝えますよね。これが「営業」の極意です。

ですから、営業を成功に導くためには、「自分がお客さまに提案するものや自社に対して、どれだけ感動しているか」ということがまずは重要です。そして、それをいかにお客さまに伝えられるかが、ポイントになると思います。

優秀な人材とともに、総合リフォーム事業を展開

ーー貴社の事業内容を教えてください。

松村洋平:
弊社は、一般住宅の外壁や屋根の塗装工事などを中心に、リフォーム事業を展開しています。一般的に「リフォーム工事」というと、内装をきれいにする工事をイメージする方が多いかもしれません。ですが、外壁や屋根など家の外側の部分は、年中ずっと外気や紫外線にさらされているため、内装と同様に定期的なメンテナンスが必要なのです。

外壁が劣化すると、防水機能が低下して湿気が室内に入り込んだり、雨漏りの原因になったりします。家の外観をきれいに整えるだけでなく、断熱効果や防水効果を高める意味でも、外壁や屋根の塗装リフォーム工事は重要です。

また、弊社は外壁塗装以外に、エクステリアの増改築や内装工事リフォーム、窓のリフォームなども承っています。滋賀県の本店のほか、京都や大阪、兵庫、三重、岡山、愛知、岐阜、静岡の2府6県に支店があり、地域密着型の事業でお客さまに喜ばれています。

ーー貴社の強みはどのようなところですか?

松村洋平:
優秀な人材が多いうえに、社内の風通しが良くて働きやすいところです。これは本当に不思議なのですが、弊社にはなぜか自然と優秀な人材が集まってきます。新入社員の教育も、先輩が自然と指導する流れになっているので、特別なことをしなくても仕事が覚えられるようです。全社的な傾向として前向きな気持ちで仕事に取り組んでいるので、一人ひとりの行動がこうした成果に結びついているのでしょう。

これは余談ですが、私は前職の時代からずっと「仲間とお客さまを大切にしたい」という気持ちを持ち続けており、常に周りの人への感謝を忘れないようにしています。そして、「良い会社にしたら、良い人材は自然に集まる」という信念を持って経営を続けてきました。このような気持ちの積み重ねが、現在の社内環境の良さに少しでもつながっているのなら非常に誇らしく思います。

管理体制の強化で売上300億円を目指す

ーー今後はどのようなところに注力していきたいですか?

松村洋平:
今後は管理部門の体制を強化していきたいです。事業を成長させ、社員100名、売上30億になりましたが、社内の仕組みづくりはまだ取り組むことがあると感じています。社員が増えて会社の規模も大きくなってきたので、社内一丸となって、さらなる成長のために必要な管理体制を構築・強化していくつもりです。

特に、人事制度の構築には力を入れていきたいと考えています。頑張っている人がしっかり評価される仕組みづくりをして、メンバーが将来に希望が持てるようにしたいです。「これくらいできればこれだけの給与がもらえる」「これができればこのポジションにつける」という基準を可視化することで、社員の成長意欲の促進につなげられればと思います。

ーー最後に今後の展望をお聞かせください。

松村洋平:
リフォーム業で日本一を目指したいですね。そのためにも、これまで以上に誠実にお客さまに向き合って、喜んでいただける仕事をしていくつもりです。また、それが、職人さんのステータスや職業観を高めることにつながると考えています。営業職の社員も同様に誇りを持てるように、仕事の質を高めていきたいです。

現在の日本は、全企業数の99.7%が中小企業であり、そのうちの約6割が赤字経営になっている状態です。中小企業の衰退は、日本という国そのものの衰退につながりかねません。弊社のような活気がある企業が日本一を目指すことで、日本全体を活性化するきっかけになればと考えています。日本の中小企業を牽引する存在になれれば、嬉しいですね。

編集後記

アルバイトから一転、営業職として頭角を現し、独立後わずか8年で30億円企業に成長させた松村社長。その原動力は「仲間とお客さまを大切にしたい」という一貫した思いにあるようだ。優秀な人材が自然と集まるという話も、こうした経営姿勢があってこそ実現できているのだと実感した。

松村洋平/1985年、京都府生まれ。関西大学経済学部卒業。塗装業界でキャリアをスタートし、2015年に社員2名で株式会社誠進堂を設立。株式会社誠進堂の屋号は、1960年に創楽された祖父母の製本会社の3代目として受け継いだもので「筋の道を進む」の意。2018年に法人化する。設立5年で売上高20億円を超え、8期目は売上高30億円超の見込み。2036年には売上高300億円企業を目指す。社員満足度No.1、顧答足度No.1を掲げ、地域社会に貢献し、「日本を元気にする会社」が最終目標。モットーは「活気はすべてを好転させる」。活気こそ仕事、物心ともに豊かな人生の源だと考えている。