※本ページ内の情報は2025年4月時点のものです。

グローバル化が進む中、企業はオフショア開発を積極的に活用することで、競争力を強化し、急激に変化する市場環境に対応している。特に経済の不確実性や労働市場のグローバルな変動を背景に、オフショア事業は今後ますます重要になるだろう。

その中で、KOZOCOM株式会社は、厳しい時期を乗り越え、オフショア事業を中心にシステム開発事業の成長を加速させてきた。代表取締役社長である平松圭氏の卓越したリーダーシップと、挑戦を続ける姿勢が大きな役割を果たしている。平松氏に代表取締役就任までの経緯や今後の展望をうかがった。

会社員から経営者へ。会社を守るために挑戦した日々

ーー代表取締役就任までの経歴を教えてください。

平松圭:
アメリカの大学を卒業後、トムソン・カノープスに入社し、海外事業部に配属されて海外の子会社を管理する仕事をしていました。その後は、GMO(GMOホスティング&セキュリティ株式会社)に転職し、新規事業のマーケティングに従事します。順調にキャリアを積み上げていた2009年頃、父から「KOZOCOMを引き継いでほしい」という話がありました。

弊社は、もともと父親が経営していた会社ですが、資本構成やその他の理由で上手くいっていなかった時期でした。父からの打診を承諾し、2009年に弊社に入社、財務的な立て直しに着手し、事業をイチから立て直しました。2010年にSEO対策事業を開始し、ここから黒字を積み重ねて現在に至ります。

ーー事業の立て直しや新規事業への着手はスムーズに進んだのですか。

平松圭:
当時は本当に苦労の連続でした。改革をするためにはスピード感が必要ですし、絶対に会社をつぶすわけにはいかないという一心で奔走しました。SEO事業を皮切りに、2015年にはベトナム・ホーチミンとの連携によるシステム開発事業を展開しました。

当時、5名で始めた事業はコロナ禍が好転してから仕事が舞い込むようになり、一気に軌道に乗りました。4年ほどで社員は100名を超え、2020年にKOZOCOMベトナムを設立します。スタートは決して楽ではありませんでしたが、変化を恐れずに対応を進めていくことで、企業、組織としての成長を一歩一歩進めることができたと思います。

顧客に寄り添ったシステム開発の実現。オフショアの活用で成長加速

ーー現在の事業を詳しく教えてください。

平松圭:
企業のシステム開発業務をメインで行なっています。大きな特徴は「ただシステムをつくるだけではない」ことです。まずはお客様の困りごとや課題を一緒に整理するところからスタートし、そのうえで「こういう課題を解決するにはこんなシステムはどうですか?」と提案するスタイルです。

たとえば、「新規事業を立ち上げたい」や「古いシステムの連携がうまくいかない」といったご相談に対して、単なる部分的な改修にとどまらず、必要に応じて基幹システム全体の見直しを提案することもあります。この一件一件をしっかりと案件化して成功させることで弊社の成功事例となり、同じような悩みを抱える企業様からのご注文につながっています。

さらに、弊社の強みはベトナムのエンジニアチームを活用できる点です。エンジニア不足で仕事を受けられないといった問題がなく、スピーディかつコスト競争力のある提案を実現しています。オフショア開発に対してコミュニケーションに不安を感じる方もいらっしゃいますが、日本のオフィスメンバーがしっかりとサポートします。特に、スタートアップのように成長を目指す企業にとっては頼りにしていただける存在だと自負しています。

ーー社員教育ではどのようなことを重要視していますか。

平松圭:
社員には「フリーダム&レスポンシビリティ」が大切であると伝えています。弊社では、自由度の高い働き方を実現するために、フレックスタイム制度を導入しています。出社時間に関しては一部制約がありますが、基本的には、働く場所や時間を柔軟に選べる仕組みを整えています。

その一方で、自由には責任がともない、納期や業務の成果に対する責任をしっかりと果たすことが義務です。そして、仕事とプライベートのバランスを大切に、会社が中心ではなく、社員一人ひとりの生活が最優先されるための会社であり続けることが私の願いです。

次のステージへと進むソフトウェア開発の未来

ーー今後の注力テーマを教えてください。

平松圭:
新規取引先の獲得手法の確立が急務です。今後は、新規案件を積極的に開発し、受注を増やしていきたいと考えています。しかし、どのような人材を採用し、どのような営業スタイルで新規案件を獲得していくべきなのか、具体的なアイデアが不足しています。その理由は、弊社の強みが「何でもできる」という広範なシステム開発能力であるためです。営業の課題を解決するために有効であれば、ある程度の投資を行う覚悟はあります。会社として次のステップに進むためには進退をかけて追求するべきテーマです。

ーー最後に、今後の展望をお聞かせください。

平松圭:
2010年頃から始まったオフショア開発はいよいよ新しいステージに突入するでしょう。AIの進化にともなって、システム開発はよりコモディティ化(※)されてきます。その中で、価値の高いソフトウェア開発をし続けることが会社存続の鍵を握るはずです。進化する市場と未来を意識しながら、今後もさまざまなサービスやビジネス開発にチャレンジをしていきます。

(※)コモディティ化:市場投入時には高付加価値の製品やサービスと認識されていたものが、市場が活性化した結果、他社が参入してユーザーにとって機能や品質などで差がなくなってしまうこと。

編集後記

平松社長の強い決断力と先見の明により、KOZOCOMは見事に再建を果たし、オフショア開発を活用した効率化とコスト削減を実現した。その中で社長が示したリーダーシップと柔軟な思考は、企業の成長を加速させる重要な要素となった。今後、オフショア開発のさらなる進化と技術革新を取り入れることで、KOZOCOMは次のステージに進むと確信している。また、営業戦略の強化や積極的な投資活動が、企業の成長を加速させ、新たな挑戦を切り拓いていくはずだ。

平松圭/1978年生まれ。カリフォルニア州立大学ノースリッジ校卒業。トムソン・カノープスに入社し、海外事業本部にてマーケティングを担当。その後、GMOホスティング&セキュリティ(現:GMOクラウド株式会社)に入社。新規事業の立ち上げ、既存ブランドの拡販でウェブマーケティングを担当して活躍。2009年、KOZOCOM株式会社に入社。執行役員副社長としてKOZOCOM全体のオペレーションに携わり、2019年より代表取締役に就任。