※本ページ内の情報は2025年5月時点のものです。

「令和の虎CHANNEL」というYouTubeチャンネルをご存じだろうか。事業を本格展開したい志願者たちが、投資家から融資を引き出すためにプレゼンを行うという、ビジネスを題材にした投資バラエティチャンネルだ。同チャンネルを運営している株式会社MONOLITH Japan(モノリスジャパン)は、広告代理業や新卒採用支援、デジタルマーケティングなどを行っている会社で、多角的な取り組みで顧客を成功に導くことを目標に掲げている。

同社の取締役社長である鈴木康一氏は、コピーライターとして同社に入社し、経営の腕を磨き、2023年に社長に就任した経歴を持つ。広告業界でデジタルが大きな影響力を持つようになった今、モノリスジャパンはどのように未来を見据えているのか。鈴木社長に同社の特徴や今後の展望について話を聞いた。

コピーライターから経営者へ。創業者のマインドを引き継ぐ難しさとは

ーー鈴木社長の経歴をお聞かせください。

鈴木康一:
私は今でこそ社長をしていますが、元々はコピーライターとして働いていました。熱意を持って向き合える仕事を探した結果、コピーライターという仕事へ行きつき、養成講座でトップの成績を残した自信もあって、その道でキャリアを積もうと、モノリスジャパンへ入社したのです。

そこから経営の道へ携わるようになったのは、モノリスジャパンの創業者である岩井から、経営に適性がありそうだと声をかけられたことがきっかけです。それまで自分は、リーダーをサポートする「参謀」のような役割が性に合っていると思っていただけに、これは自分の価値観にはない、斬新な視点でした。

こうして経営に携わるようになった私は、その後役員を経て、2023年に社長を引き継ぐことになりました。正直、私は積極的にリーダーシップを取るタイプではないので不安もありましたが、会社のため、そして前社長の期待に応えるためにも引き受けることを決めました。

ーー社長に就任してから、特に大変だと感じたことは何でしょうか?

鈴木康一:
一番大変なのは、創業者である岩井の求心力を引き継ぐことです。特に、今まで築き上げてきた取引先との関係性や社内の統率力を保つことは、想像以上に難しいと感じています。

岩井は、行うべき行動を示すと同時に、行ってはいけないことも提示する、「立法」と「警察」を兼ねたような存在でした。彼がルールを明確に定め、徹底的に守らせていたからこそ、社内や取引先との間に健全な緊張感が生まれ、全体の秩序が保たれていたのです。

私はこの事実を理解してから、緊張感の薄れや規律の緩みから、自由が無秩序な状態に変わってしまうことを危惧するようになりました。それからは、岩井から学んだ価値観を改めて見返して、規律と自由のバランスを保つために日々努力しています。

教育分野で培ったノウハウから事業を広げ、YouTubeへの挑戦で大きく飛躍

ーー貴社の事業内容を教えてください。

鈴木康一:
弊社は、塾を運営する会社の広告部門がスピンオフして生まれた広告代理店です。教育関連の地盤を活かして、教育分野を中心としたさまざまな業界でマーケティング事業や新卒採用支援を行っているほか、デジタルマーケティングにも取り組んでおり、YouTubeを中心としたオンラインプラットフォームにも力を入れています。

創業当初は教育関連に特化した事業からスタートしましたが、会社が成長する過程で時代のニーズを取り入れて事業が多角化していき、今の形に落ち着きました。弊社は変化に積極的な社風なので、今後も企業の成長を支援するパートナーであるために、自己進化を続けていく次第です。

変化を象徴する事業が、2018年に開始したYouTtubeチャンネルの「令和の虎CHANNEL」です。このチャンネルは、リアルマネーが目の前で動いていくダイナミックさや、事業者と投資家のリアルなやりとりなどが人気を博し、登録者数130万人を超える大人気チャンネルに成長しました。今では幅広い視聴者層を抱えるコミュニティとして機能しており、教育業界や採用市場に対する影響力も持ち始めています。

ーー貴社独自の強みはどのような点にありますか?

鈴木康一:
弊社の強みは、教育分野で培った集客関連のマーケティングノウハウを、さまざまな業界へと応用できることです。教育関連と同じように集客や人材不足に課題を抱えている業界に対して、柔軟かつクリエイティブな発想で支援策を提案しています。

この柔軟な発想を生み出す源になっているのが、広告代理業、新卒採用支援、企業ブランディングといった異なる分野によるシナジーです。たとえば、YouTubeを活用した動画コンテンツは、教育業界への情報発信や企業ブランディングに寄与するだけでなく、視聴者が企業の理念や商品に共感することで自然に購買行動につながる、新たな広告収益モデルの構築にも繋がっています。

この仕組みは、購買活動にストーリー性や価値観が求められる今の時代に特に重要だと確信しています。私たちが制作するコンテンツには、視聴者の心を動かし、購買や支持に直接つなげる力があるので、今後は企業との連携を強化しながら、視聴者との信頼関係に基づいた新しい広告モデルへと発展させたいと思っています。

ビジネスとエンターテインメントを掛け合わせて、社会に価値を届けられる存在へ

ーー今後、貴社をどのように成長させていきたいとお考えですか?

鈴木康一:
広告業界の変革が進む中で、新しい広告の形を見つける挑戦の一つとして、ビジネスとエンターテインメントの組み合わせに挑戦していきます。

さまざまな企業と協力しながら、共感と学びが同居したコンテンツをつくっていき、視聴者に新たなアクションのきっかけを与えられればと思います。

そして、広告代理業の枠を越えて、視聴者や企業だけでなく、社会にも新しい価値を届けられる存在を目指すつもりです。今後も柔軟性とクリエイティビティを活かしながら、より多くの方の成長をサポートしていきます。

編集後記

モノリスジャパンの事業の中心には創業当時から続く「教育」という力強い幹がある。すべての事業がこの幹から生まれているからこそ、ビジネスとエンターテインメントの掛け合わせという、大胆なアクションが取れたのだろう。幹がしっかりした同社であれば、広告業界がどう変化しても、環境に応じた最適解を導き出せるはずだ。鈴木社長の指揮のもと、同社が広告業界に数々の新しい視点を生み出していく姿に期待したい。

鈴木康一/1983年東京都生まれ。2012年、コピーライターとして株式会社MONOLITH Japan(モノリスジャパン)に中途入社し、その後、制作室室長、東京オフィスマネージャー、役員を経て、2023年に同社取締役社長に就任。クリエイティブ出身でありながらマーケティング部門やSocialMedia部門の責任者も兼務し、自社YouTubeチャンネル「令和の虎CHANNEL」の企画、運営、出演も担当している。