※本ページ内の情報は2025年4月時点のものです。

お祝いや記念日には花束が定番だが、持ち運びを気にして躊躇する人もいる。特に男性にとっては、スマートに贈れる選択肢が求められる。そんな中、カバンに収まり気軽に持ち運べるプリザーブドローズを展開し、花を贈るハードルを下げる新たなスタイルを提案しているのが、株式会社アペルである。

代表取締役社長の井上雅之氏が「花を贈る文化を広めたい」と考え起業を決意したエピソードや、商品開発にかける思いなどについてうかがった。

生花店の営業時代に独立を決意するきっかけとなったエピソード

ーーまず起業するまでの経緯をお聞かせいただけますか。

井上雅之:
私はもともと、国内最大手のフラワービジネス企業で企画営業に携わっていました。仕事を通じて、花そのものの美しさだけでなく、花を贈ることで生まれる価値や、その広がる可能性に強く惹かれるようになりました。

そんな私が今の事業を立ち上げた理由は、大きく2つあります。ひとつは、花を贈ることが持つ力を実感したことです。社会人1年目の母の日、せっかく花の業界に入ったのだからと、お世話になった叔母に何気なくカーネーションを贈ったところ、「母の日にお花をもらえる日が来るなんて」と感激のあまり涙を流されました。

また、知人の男性が定年退職を迎えた際、サプライズとして大きな花束をお渡ししたところ、涙を浮かべて喜んでくれました。これらの経験を通じて、「花が人の心を動かす」ことを強く実感したのです。

もうひとつは、フランスを訪れたときのことです。ふと立ち寄ったマルシェ(市場)で、お父さんとお子さんが「今週はお母さんにどの花をプレゼントしようか?」と楽しそうに相談しながら花を選んでいる姿を見かけました。花を贈ることが日常に溶け込んでいる、その自然な光景がとても印象的でした。

こうした経験を重ねるうちに、日本でももっと花を贈る文化が広がれば素敵だなと思うようになりました。そして、これまで花業界で培ってきた経験を活かし、その文化を広げるお手伝いができたら…と考えるようになったのです。それが今の事業を始めるきっかけになりました。

これまでなかった新感覚のフラワーギフトを提供

ーー改めて貴社の事業内容について教えてください。

井上雅之:
私たちは、プリザーブドフラワーや生花の輸入、フラワーギフトの企画・製造・販売を行っています。その中でも、「AMOROSA(アモローサ)」というプリザーブドローズと、それをギフトにした「AMOROSA MODERNO」に特に力を入れています。

「AMOROSA」は、エクアドルの自然の中で育まれた大輪バラを、特別な技術で美しさが長く続くように加工したもの。その存在感や気品のある美しさから、「プリザーブドローズの女王」とも呼ばれています。

「AMOROSA MODERNO(アモローサ モデルノ)」は、そんなAMOROSAを使ったバラのギフトブランド。たとえば、看板商品である「DIAMOND ROSE BOX(ダイヤモンドローズボックス)」は、大輪のプリザーブドローズに天然ダイヤモンドをあしらった、特別なギフトとして人気です。プロポーズや記念日など、大切な瞬間にふさわしい贈り物として、多くのお客様に選ばれています。

そして、もうひとつ力を入れているのが、生花の花束を中心としたブランド「noemie(ノエミ)」です。noemieは、大切な人へ想いを花に託して贈るブランド。シンプルで洗練されたデザインの中に、ちょっとした遊び心を加えた花束を作っています。特別な日にはもちろん、何気ない日にも気軽に贈れる花束です。

中でも、noemieならではの商品が「きせかえローズ」で、生花が枯れた後もプリザーブドローズを取り出して香り付きのサシェ(※)にセットし直せば、また新しい形で楽しめます。

(※)サシェ:フランス語で「香り袋」のこと。

ーー貴社の強みとこだわりについてお聞かせいただけますか。

井上雅之:
私たちが大切にしているのは、エクアドルの大地で大きく咲かせた特別なバラを、その日のうちに加工することです。朝摘みのバラをすぐにプリザーブド加工することで、花の美しさと鮮度をそのまま閉じ込めています。

加工工場はバラ園の中にあり、厳しい基準をクリアしたものだけを商品化しています。そうして生まれたAMOROSAは、「プリザーブドローズの女王」とも称される特別な一輪です。気品のある美しさが際立つ、特別なギフトとして、多くの方に選ばれています。

花を贈る人のことを意識した商品開発

ーー商品開発において工夫している点を教えてください。

井上雅之:
AMOROSA MODERNOは、男性のお客様にも気軽に選んでいただけるよう、デザインやパッケージにもこだわっています。シンプルで高級感のある黒のボックスは、洗練された印象で、どんなシーンでも贈りやすいのが特徴です。

特に「DIAMOND ROSE BOX(ダイヤモンドローズボックス)」は、ビジネスバッグにも収まるコンパクトなサイズ。スマートに持ち歩けるので、サプライズの演出にもぴったりです。花束のようにかさばらず、電車や街中でも気軽に携帯できます。

また、黒のボックスがバラの鮮やかな色を引き立て、より華やかな印象を演出します。プロポーズや記念日など、特別な瞬間のギフトとして多くの方に選ばれています。

ーー新商品の開発についてはいかがですか。

井上雅之:
私たちは、ファッションブランドのように季節ごとに新商品を出すのではなく、一つひとつの商品を長く愛されるものとして提供しています。そのため、新商品開発には時間をかけ、納得のいく品質に仕上げてから市場に送り出します。

こうしたこだわりを持つからこそ、発売当初はあまり注目されなくても、翌年には人気商品となるケースも少なくありません。市場の流れを見極めながら、長期的な視点で価値のある商品を育てています。

現在はエクアドルの農場と連携し、新たな可能性を探りながら商品開発を進めています。これからも、これまでにない付加価値を持つ商品をお届けできるよう、挑戦を続けていきます。

プリザーブドローズと生花の魅力を伝え、花を贈ることを日常化したい

ーー最後に今後の展望についてお聞かせください。

井上雅之:
花を贈る人の気持ちが、花をもらう人の喜びにつながる。その喜びがまた、贈る人の幸せにもなる。そんなつながりを、もっと広げていけたらと思っています。

私たちは2つのブランド、AMOROSA MODERNOを特別な瞬間を彩るプリザーブドローズギフト、noemieを日常の中でさりげなく想いを花に託すブランドとして育て、花を贈る楽しさや、その魅力を届けています。お客様からの「ありがとう」の声が、私たちの励みになっています。これからも、もっと多くの人に花を贈る喜びを届けていけたらと思います。

編集後記

自身が近しい人たちに花を贈り想像以上に喜ばれた経験から、ギフトショップを立ち上げた井上社長。インタビューからも、「もっと花を贈ることを当たり前にしたい」という思いを強く感じた。株式会社アペルはフラワーギフトの可能性を広げ、大切な人への思いを伝えるきっかけづくりに貢献していく。

井上雅之/1970年大阪府生まれ。大阪経済大学経営学部を卒業後、株式会社日比谷花壇に入社。およそ12年間に渡り、企業販促や提携通販事業に従事。2006年株式会社アペルを創業。プリザーブドフラワーの輸入事業を基盤に、花を通じて消費者と直接つながるDtoCブランドを展開。花の持つ特別な力を活かし、感動や価値ある体験を届けるため活動を続けている。