※本ページ内の情報は2025年3月時点のものです。

国内旅行最大手のJTBグループの一員である株式会社JTBガイアレック。一般的な観光メインのツアーとは一線を画し、目的型旅行(SIT=Special Interest Tour)に特化しているのが特徴だ。その独自の魅力や旅行商品の企画で特に重視していること、さらに今後の展望について、代表取締役兼執行役員総務部長の横山征夫氏に話をうかがった。

ただ観光するだけではなく、とっておきの旅行先で「目的」を達成してほしい

ーーまずは貴社の概要と、社長の経歴について教えてください。

横山征夫:
弊社はJTBのグループ会社として2009年に創業しました。以前は海外事業も展開していましたが、コロナ禍で海外旅行や留学の需要が大きく落ち込んだことから、現在では国内ツアーの企画・販売事業に特化しています。

私は学生時代から旅行が好きで、国内一周やアメリカ横断も経験したことから、旅行に携わる仕事を志しました。新卒で親会社のJTBに入社後、関西営業企画部長職やコールセンター販売部長職を経て、2024年4月より弊社の代表取締役兼執行役員総務部長を務めています。

ーー貴社の事業の特徴をお聞かせください。

横山征夫:
弊社の大きな特徴は「目的型旅行」に特化しているところです。「スポーツ」「体験」「学び」をキーワードに、目的を達成できるツアーを企画・販売しています。万人から受け入れられる内容の観光メインのツアーを開催するというよりは、ゴルフやスキー、山旅(登山)など、特定の体験ができる、小規模だけれどニッチなマーケットに対して刺さりやすいテーマ型の旅行を中心に展開しています。

山旅であればただ登山を楽しむのではなく、お客さまの登山のレベルに合わせた専門のガイドを手配し、登山に関するアドバイスや、その山に関する話を聞きながら一緒に登るというツアーを企画しています。

ーー貴社ならではの強みは何ですか?

横山征夫:
親会社のJTBと連携していることが強みです。連携により、さまざまなツアーを企画することができ、お客さまのニーズを満たしつつ、各地域振興や地域企業の成長にも貢献できます。たとえば、定住者や観光客を増やしたい自治体や宿泊施設などはもちろん、一般企業の課題を旅行という手段として解決できるソリューションビジネスをJTBの営業部門と協働して展開しています。

また、山旅であれば、登山用品や健康グッズを企画・製造・販売している企業とタイアップするなど、新しいマーケットを一緒に開発できる点も弊社の大きな強みといえるでしょう。

お客さまも社員も、ワクワクするようなツアーをつくり出したい

ーー今、貴社で注力されている取り組みについて教えてください。

横山征夫:
現在は新たな企業とのコラボレーションにも注力しています。一緒にマーケットや商品開発を行いつつ、ソリューションビジネスとして商品(パンフレット)を造成し、店舗での販売を行っています。

お客さまには、地域の魅力的な場所を訪れていただきながら、その地域ならではの素晴らしいコト・モノを体験していただきたいですね。また、地元の方々との交流を通じて、その地域や地元企業の素晴らしさを肌で感じていただけるよう努めています。さらに、お客さまのリアルな声を丁寧に受け止めながら、新しい企画を次々と打ち出していく取り組みを強化しているところです。

ーーお客さまが喜ばれるような旅行を提供するために、普段からどのような情報収集をしているのでしょうか?

横山征夫:
世の中のトレンドの波に乗れるよう、SNSやインターネットの情報収集なども含めてアンテナを広げています。「これから流行するだろう」という分野に関しては、まずツアーを企画し、マーケットの反応を見ながら内容をブラッシュアップしています。このように、お客さまにとって魅力的な商品になることを大切にしています。

とはいえ、トレンドに大きなツアーを導入するよりは、まずは小規模のツアーを実験的に開催し、お客さまのニーズに刺さるものを見極めていきたいですね。

ーー人材採用や育成について心がけていることを教えてください。

横山征夫:
弊社では「お客様も!私たちも!ワクワクチャレンジカンパニー」というビジョンを掲げています。やはり弊社には「こんなツアーをつくりたい!」という強い志を持って入社する方が多いため、その志を実現し、お客さまも社員もワクワクするようなツアーをつくれる環境づくりを心がけています。

弊社は小規模ながら、ソリューション提案や地域活性化において、企業や自治体のニーズに応えつつ、斬新でニッチな分野の開拓にも挑戦しています。そのため、幅広いことに興味を持ち、自らツアーを手がけたいという方にとっては、やりがいを感じられる職場です。

キラリと光るモノを発信し、特別な旅をしたいときに思い出される会社でありたい

ーー今後の展望をお聞かせください。

横山征夫:
特別な目的を達成するための旅や、特殊な場所を訪れたいと思ったときに、真っ先に思い出していただける会社でありたいです。通常の観光旅行にとどまらず、既定路線にはないようなツアーを皆でつくり上げ、一度ご利用いただいたお客さまに再度リピートしていただけるような、ファンが集まる環境を築きたいと考えています。また、今後は海外ツアーへの挑戦も視野に入れ、インバウンド需要の取り込みにも積極的に取り組みたいと考えています。

趣味関心が多様化している今、「旅行」という軸を通じて日本のキラリと光るモノを発信し、皆さまのお役に立ちたいですね。

編集後記

アフターコロナで旅行の需要が戻りつつある一方で人々の価値観が多様化している今、旅行業界も変革が求められている。万人受けではなくあえてニッチなニーズをターゲットにする同社の目的型旅行がこれからどのように進化していくのか、どのような新しいコンテンツが誕生するのか、注目したい。

横山征夫/1967年、兵庫県生まれ。1990年、関西大学法学部を卒業後、株式会社JTBに入社。団体営業・個人店頭支店勤務の後、労働組合の専従役員を経験。その後、JTB関西営業企画部長、JTB経営企画部経営改革プロジェクト、個人ビジネスユニット西日本地域MD統括、コールセンター販売部長を経て、2021年4月より株式会社JTBガイアレックに出向。2024年4月より代表取締役兼執行役員総務部長に就任。