※本ページ内の情報は2025年4月時点のものです。

社員が自社に見合う人材を紹介するリファラル採用を日本で活性化させるべく、日々邁進している株式会社ウィルオブ・パートナー(2025年4月1日にリフカムからウィルオブ・パートナーへ社名変更)。同社は、各企業のリファラル採用をデータ分析し、採用を成功に導くサービスを展開している。今回、代表取締役社長の清水巧氏に、同社のサービスの強みや今後の目標を聞いた。

1度目の事業立ち上げに失敗するものの、採用イベントで資金をつくり再挑戦

ーー創業の経緯を聞かせてください。

清水巧:
学生時代から起業したいという思いがあり、起業の成功率を上げるために1度は就職しようと、DX推進事業を手がけるSansan株式会社へ入社しました。ここで働く傍ら、「スタートアップウィークエンド」という、週末だけ起業を体験できるイベントにも参加していました。

このイベントで「退職して起業します」と大々的に宣言したのですが、ちょうどテレビ局の取材が入っていたため、僕の発言が全国に放送され、知れ渡ることになったのです。

当時は早く起業したい気持ちが非常に強かったうえに、テレビ放送されたことがきっかけともなり、会社を7か月で退職し、早い段階で起業することになりました。

起業の際、苦労したのが創業メンバー集めでした。このときの経験から、スタートアップ企業の仲間集めサービスを提供する事業を最初に立ち上げました。

ーー実際に起業してみて、上手くいきましたか。

清水巧:
順風満帆とはいきませんでしたね。サービス自体はつくることができたものの、ビジネスとしてなかなか上手く回らず、キャッシュが底を尽き、組織の雰囲気も良くなかったです。やがて家賃も払えなくなってしまったため、石川県の実家に1度帰ることにしました。

こういった苦しい出来事がありながらも、再起しようと思えたのは、自分の中で「失敗しきれていない」というもどかしい気持ちがあったからです。

今後に活かすためにも、どうせならしっかりと失敗、または成功がしたい。そう思い、まずは再チャレンジする資金を集めるために、採用イベントを開催することにしたのです。

イベントを通じてベンチャー企業と採用候補者との出会いの場を提供し、その対価として出展企業から報酬をもらうという事業プランを構想した僕は、石川県から毎週東京へ足を運び、イベントを開催しました。そうすることで、最初の事業失敗で失った500万円をつくり直すことができたのです。

アプリの提供だけでなく、「企業のパートナー」として伴走できる点が強み

ーー事業内容を教えてください。

清水巧:
弊社は、リファラル採用を活性化するクラウドサービスとリファラル採用の施策を支援する事業を手がけている会社です。アルバイトの採用に関しては、たとえば学生が友人を、お母さまがママ友を仕事に誘うといったリファラル採用を、アプリで簡単に行う事業を手がけています。

正社員の採用に関しては、アプリの提供のほか、企業内でリファラル採用が活性化するように説明会を開いたり、社内向け記事を書いて広報したりといった施策も代行しています。

会社の規模が大きくなるほど人事と一般社員の距離が遠くなり「どのように自分の会社を友人に紹介すれば良いのか分からない」といった状況に陥りがちです。弊社のお客様は、こういった悩みを持つ社員数1,000名以上の大手企業がメインです。

ただ、会社規模にかかわらずリファラル採用を活性化させた実績があり、今後はより多くの企業に弊社のサービスを活用してもらいたいと思っています。

ーーなぜリファラル採用事業を始めようと思ったのでしょうか。

清水巧:
最初の事業に失敗し、再チャレンジに向けて採用イベントを開催していたときに、この事業を思いつきました。当時このイベントにあるベンチャー企業が参加していたのですが、人事担当者だけでなく、多くの社員が参加し、採用候補者を口説いていた様子が非常に印象的だったのです。

弊社が「リファラル採用」をビジネスにしているのは、そのベンチャー企業の社員が採用を人事任せにせず、自ら採用活動している姿を見て着想を得たことが関係しています。

ーー貴社の事業・サービスの強みはどういった点にありますか。

清水巧:
弊社は、お客様のリファラル採用について多くの事例を蓄積していますので、効果的な社内説明会の開き方など、成功パターンをそのまま他社でも活用できるのが強みです。

また、アプリを提供するだけでなく、企業の中に入り込んで支援するパートナーとして事業を展開している点は、他社との大きな違いといえます。

そのほかにも、競合他社のサービスの多くが正社員のみを対象にしているのに対し、弊社はアルバイトも対象にしているため、この分野におけるリファラル採用の実績が豊富にあることも強みです。

リファラル領域の枠を越えて、HR領域全般で企業を支援できる会社を目指す

ーー貴社ではどのような人材を求めていますか。

清水巧:
リファラル採用は比較的新しい領域のビジネスなので、新しいサービスや事業をつくりたいという思いがある方や、既存の採用マーケットが抱える課題を解決したいと思っている方に来てもらいたいです。

特に、HR領域(※)で営業していた方や人事として働いていた方は、弊社に来ればスキルを活かせると思いますので、ウィルオブ・パートナーという会社を、自分の目標を達成するための踏み台として使ってもらえたらと思います。

(※)HR領域:採用や育成、評価、マネジメントなど企業の人材に関わる領域。

ーー今後の注力テーマとビジョンをお願いします。

清水巧:
2024年9月に、弊社は人材サービス会社のウィルオブ・ワークにグループ入り、2025年4月にウィルオブ・パートナーに社名変更しました。国内グループの人材領域においてのサービスブランドである『WILLOF(ウィルオブ)』に社名の統一を図ることで、認知度やサービス力をより高め、リファラル採用の領域にとどまらずあらゆるHRサービスを展開していくことで、お客様のパートナーとしてより高い付加価値のサービス展開をしていきたいと考えています。今後はグループ内で弊社のサービスを使ってもらったり、弊社に転籍してきたウィルオブ・ワークの方々に業務を教えたりしながら、リファラル採用を日本に広げていきたいです。

ビジョンとしては、リファラル採用の事業を中心として、社員にとって紹介したい会社作りを支援する事業を複数展開していくことで、「個と組織の意思をつなぐパートナー」として、お客様に貢献したいと考えています。

リファラル採用を活性化させるためには、そこで働く社員たちが「自分の会社を友達に紹介したい」と思えることが大切です。そのためにも弊社は、リファラル領域の事業だけでなく、HR領域全般を支援できる会社を目指します。

編集後記

紆余曲折ありながら、リファラル採用という領域に辿り着いた清水社長。「採用を増やすだけでなく、離職を減らすなど、入口から出口まで支援できるサービスを提供したい」と、将来の展望を力強く語った。同社の事業が日本の採用現場を変え、日本企業をより強い組織にしてくれることに期待したい。

清水巧/1991年石川県出身。明治大学卒業後、2013年にSansan株式会社入社。カスタマーサクセス部の立ち上げを経験後、2014年に株式会社リフカム(現:株式会社ウィルオブ・パートナー)を設立。創業メンバー集めに苦労をした経験から、スタートアップ企業の仲間集めサービスで創業するも、マネタイズが上手くいかず撤退。ピボットを経て、リファラル採用を活性化するクラウド「Refcome」を立ち上げる。2018年、Forbes「アジアを代表する30歳未満の30人」に選出。