※本ページ内の情報は2025年5月時点のものです。

働く女性の支援を軸に、オンラインコミュニティ「ライフキャリアcircle」と組織内の橋渡し役を育てる「Bポジけーりん大学」を運営する株式会社ライフキャリアcircle。コロナ禍で主婦業に悩んだ経験から生まれたブログ記事をきっかけに、法人化からわずか2年で年商5億円規模へと急成長を遂げた。「人に頼る」ことを積極的に取り入れながら、女性の主体的な生き方をサポートすべく独自のメソッドを展開する唐仁原けいこ氏に話をうかがった。

コロナ禍を機に書いたブログが大きな反響を呼んだ

ーー社長のご経歴を教えてください。

唐仁原けいこ:
私は3児の母で、コロナ禍以前はフリーランスとして仕事をしていました。しかし、下の子が1歳になるタイミングでコロナ禍が始まり、小学校が休校になるなど生活のペースが大きく崩れてしまったのです。「子どもを3人産んでも仕事を続けたい」と希望していましたが、周囲の人からは「もうやめたら」と勧められてしまい、当時は非常に悩みましたね。

そうした中、私が仕事のことを相談した経営者の方に、「『女性が家事をやるべき』というのは単なる思い込みだから、主婦業の方をやめてはどうか」とアドバイスされたことが、転機になりました。その言葉に感銘を受けた私が、「主婦業をやめる」「9割削減すると決めました」という内容のブログ記事を書いたところ、非常に大きな反響を呼んだのです。

書き始めて2週間ほどでメディアにも取り上げられ、3ヵ月後には日本テレビの「スッキリ」で約20分の特集が組まれました。そして、2021年にオンラインコミュニティ「ライフキャリアcircle」を立ち上げたのを機に法人化しようという話になり、現在のような事業形態になったのです。

ーー事業を法人化したことで、どのような変化がありましたか?

唐仁原けいこ:
いい意味で「人に頼ること」ができるようになりました。運営パートナーの方に仕事を頼むようになったことで、「自分が苦手なことは、人の力を借りた方が上手くいく」ということに気づいたのです。特に小田桐あさぎさんという非常に大きな影響力を持つ方が弊社に参画してくださったことは、意図せずして事業を大きく成長させる結果につながりました。

この「人に頼る」ということと弊社の成長は、相乗効果を生んでいます。私にできないことがたくさんあるから人手を増やす。人手があるので、次の仕事が来たときにスピーディーに売上が立ち、売上高が毎月伸びる。すると、仕事が忙しくなるので、また人手を増やす。このようなサイクルができて、売上高が拡大していったのです。

女性のキャリアを支援する2つの事業

ーーオンラインコミュニティ「ライフキャリアcircle」について教えてください。

唐仁原けいこ:
現在、多角的に事業を運営する弊社ですが、創業期から続いているのが、オンラインコミュニティ事業です。「女性が主体的に生きる」というテーマを掲げて、子どもを持つお母さんを中心に、自分の軸で仕事を生み出すためのセミナーやレッスンを開催し、交流の場を設けています。

私がコロナ禍で悩んでいたときにたどり着いた結論は、「人生を幸福にするのは、自分で選んでいるという自覚だ」ということでした。女性は出産や子育てなど、ライフステージの過程でどうしても身動きできない時期を経ることになるので、自分の意志にかかわらずキャリアの中断を余儀なくされることがあります。「自分で決めてそうしているのではない」というところに、悩みの原因があるように思うのです。

そこで「ライフキャリアcircle」では、女性が「働いて収入を得る」という道を主体的に選択したと自覚できるよう、仕事を生み出すマインドやスキルをサポートしてきました。メンバーの中には、子どもが学校に行っている間に旦那さん以上の収入を稼いでいる人もいるんですよ。

ーー「Bポジけーりん大学」ではどのような授業を行っていますか?

唐仁原けいこ:
「Bポジけーりん大学」では、オンラインとリアルを併用して、組織内で「Bポジ」にいる人たちが、どのような視点や考え方で動いているかについて、半年間のプログラムで教えています。

「Bポジ」とは、組織の中で「Bridge(橋渡し役)」を務めている人のことです。この呼称は、私が事業の成功要因を人から尋ねられる中で生まれました。自身の行動を振り返ると、常に組織の中で「Bridgeになること」を意識してきたことに気づき、「成功要因はこれだ」と結論づけたのです。そこで、「Bridgeのポジション=Bポジ」になるために必要な知識を伝えるカリキュラムを開発しました。私の著書「戦略的いい人・残念ないい人の考え方」の内容も、このBポジ視点の考え方がベースになっています。

リアルな学校を目指し、次のステージへ

ーー今後はどのようなところに注力したいとお考えですか?

唐仁原けいこ:
私の仕事を引き継いでくれる人材を育てていきたいですね。私はセールスが得意で、法人の代表になってからもセールスの仕事に携わってきました。組織が大きくなった今でも、「これは私がやらなくてもいいかもしれない」というような仕事をカバーしています。これからは、私がやってきた仕事を人に伝え、私がいなくても事業が回るような状態をつくることに注力したいです。

ーー貴社が求める人材はどのような人物ですか?

唐仁原けいこ:
全体の状況を見て動ける人に来ていただきたいです。何でも人に確認するのではなく、ある程度自分で判断できる人が望ましいですね。また、個人の能力が高い人よりも、コミュニケーションがとりやすい、好ましい人柄の方が弊社に向いていると思います。

ーー最後に、貴社の中長期的な展望をお聞かせください。

唐仁原けいこ:
今後は、新しいことに挑戦したいです。やはり、チャレンジし続ける方が、面白い会社になると思います。具体的には、弊社の事業の主軸である「ライフキャリアcircle」と「Bポジけーりん大学」を、本当の学校のようにできたらいいですね。SNS起業やオンラインサロンからリアルな学校を目指すのは少しハードルが高いですが、このビジョンを目指すことで、メンバー全員のレベルが上がるようなチャレンジになったら面白いと思います。

編集後記

コロナ禍での苦悩がきっかけとなり始まった事業は、今や多くの女性の人生を変えるまでになった。唐仁原社長は「自分で選ぶ」という意識が人生を幸せにするという信念のもと、組織の拡大期にあっても自らセールスの最前線に立っているという。その姿勢からは、経営者としての覚悟と、支援者としての誠実さが伝わってきた。事業を通じて女性の可能性を広げ続ける同社の挑戦は、社会に大きな価値をもたらしている。

唐仁原けいこ/1980年生まれ。長野県在住、3児の母。コロナ禍で書き始めたブログが話題になり『主婦業9割削減宣言』(中央公論新社)として書籍化。“女性が主体的に生きる”をテーマにしたオンラインコミュニティが人気を博し、フリーランスから法人化したところ2年で年商5億円の会社に成長した。組織拡大の要であり重要な役割は「橋渡し=ブリッジ(Bridge)」のポジションであることを見出し、言語化して発信する。それをメソッドとして伝える「Bポジけーりん大学」には1年で500名以上が参加し、「仕事や人間関係に役立つ」という声が多く寄せられている。2024年『戦略的いい人残念ないい人の考え方』(すばる舎)出版。