※本ページ内の情報は2025年1月時点のものです。

2007年に設立された株式会社ココペリ。同社は、中小企業向けにバックオフィス業務のアウトソーシングからスタート。2018年には中小企業向け経営支援プラットフォーム「Big Advance」をリリースし、全国の金融機関と提携し、多くの中小企業の支援を進めている。

サービスの最大の特徴は、「全国の金融機関との連携」にある。代表取締役CEOの近藤繁氏に、創業のきっかけや会社の強み、今後の展開についてうかがった。

アメリカで変わった価値観――誇り高き「中小企業」の魅力に着目

ーーいつ頃に起業を志したのでしょうか?

近藤繁:
私は理系出身なので、学生時代から「ITを活用して起業し、世の中に価値を提供したい」と考え、卒業後は多くの経営者と接する機会のある銀行に就職しました。将来の意向は面接時に伝え、システム部門ではなく支店配属を希望しました。その後、IT企業に転職し、そこを退職して弊社を立ち上げた次第です。

ーー事業に対する思いもお聞かせください。

近藤繁:
創業時から一貫して、「中小企業に付加価値を与えられるサービス・プロダクト」をつくってきました。事業の決め手となったのは、アメリカ留学時の経験です。アメリカでは、企業の規模や名前よりも、「仕事の中身」が重視されることに良い意味でカルチャーショックを受けました。企業規模に関わらず自分の仕事に誇りを持つ中小企業の経営者に、リスペクトを抱くようになったのです。

パートナーは全国各地の金融機関――中小企業の生産性アップに貢献

ーー企業理念や、その存在の社会的意義について、教えてください。

近藤繁:
「企業価値の中に、未来を見つける」というミッションと、「中小企業にテクノロジーを届けよう」というココペリのビジョンを大事にしています。日本全体の経済を盛り上げるためには、テクノロジーによって中小企業の労働生産性を上げる必要があります。

日本の中小企業は「大企業の下請け」と捉えられがちですが、素晴らしい技術やサービス、地域雇用をたくさん生み出しています。中小企業がスポットライトを浴びて、働く人も誇りを持てる世界観を抱くほうが、みんながハッピーになれるはずです。

ーーサービスの特徴も教えてください。

近藤繁:
中小企業向けの経営支援プラットフォームとして、ITサービスの『Big Advance』を運営しています。金融機関と連携してWebサービスを提供するビジネスモデルが特徴で、金融機関はパートナー、中小企業はユーザーと位置づけられます。

地域の枠を越えたビジネスマッチングが可能なほか、「ビジネスチャット」「ホームページ作成」「補助金・助成金制度の検索」といった機能も月額3,300円(税込)で使い放題です。限られたコストで企業の価値を最大化できるように、豊富な機能を用意しました。

中小企業から支持されている「ビジネスマッチング」では、毎月2,000〜3,000件の商談依頼がされています。『Big Advance』自体と、金融機関の取引先同士という信用度の高さから継続的なお取り引きが生まれやすく、「今までにないご縁があった」という声も多くいただいています。

また、金融機関にとっては、本業である「取引先の支援」によってお客様に喜ばれ、既存の金融サービスのご利用につながるケースもあり、メリットを感じていただいています。

事業拡大の課題に直面し、中小企業向けのビジネスモデルを確立

ーー現在のビジネスモデルに至った経緯もうかがえますか?

近藤繁:
中小企業と専門家を結ぶWebサービス『SHARES(シェアーズ)』の運営・閉鎖を通して、ターゲット層がネットだけではリーチできない現状を把握しました。弊社サービスの価値を届けるためには、中小企業と密接な金融機関とパートナーを組むべきだと考え、現在のビジネスモデルにたどり着いたのです。

当初は弊社自身がベンチャー企業であり、かつクラウドを使ったサービスということが不安視され、80もの金融機関と提携するまでに多くの困難がありました。金融機関への営業においては代理店を一切利用せず、課題を一つずつ解決していった結果が、今につながっています。

ーーサービスの強みをお聞かせください。

近藤繁:
ビジネスマッチングによるネットワーク効果は、提携する金融機関が増えるほど拡大していきます。また、隔週でプロダクトのバージョンアップを行いUI/UXを継続的に磨き込んでいくという取り組みも、サービスの強みの1つです。

昨今では、生成AIも積極的に活用し、ビジネスマッチングのニーズを記載する文章を自動生成したり、ホームページのキャッチコピーを自動生成する機能も加わりました。ユーザーが最新のテクノロジーをボタン一つで使えることは、サービスの提供方法としても美しいと感じています。

また、M&Aによっても、ココペリのミッションビジョンの実現に向け着実に進めていると感じます。グループ会社としてジョインしていただいた株式会社ココペリ経営サポートは、金融機関の取引先に対する補助金の申請を支援してきた会社であり、DXソリューションの軸となっています。

また、キー・ポイント株式会社は、高セキュリティのファイル送受信サービス「WebFile(ウェブファイル)」と、メールアドレス共有サービス「GrpMail(グループメール)」を開発したIT企業で、DXと相性抜群のサービスを強みに、金融業界へ展開する準備も進んでいます。

世界とつながるきっかけに――日本企業のグローバル化に着手

ーー今後の展望をお話しいただけますか。

近藤繁:
日本の中小企業が持つ優れた商品やサービスが海外進出するきっかけとして、言語の壁を超えて取引先を開拓できるプラットフォームを開発しています。『BIG ADVANCE GLOBAL』は、弊社にとっても「グローバル展開」の第一歩となるでしょう。

海外の金融機関も導入して信用できる企業ネットワークを築き、日本と世界のローカル企業がつながる世界を実現したいと考え、最終的にはBtoBマッチングにおける「世界基準のプラットフォーム」になりたいという夢もあります。

ーー共に働きたいと考える人材に向けて、メッセージをお願いします。

近藤繁:
弊社のミッションとビジョンに共感でき、チームワークを発揮できる人を求めています。会社の規模やマインドとしてはベンチャーですが、プロダクトに対するユーザーからのフィードバックもしっかり得られるので、チャレンジ精神がある方にとっては最適な環境だと思います。中小企業の成長支援や地方創生、海外展開に興味のある方は、ぜひ弊社にお越しください。

編集後記

日本企業の大半を占める「中小企業」。その多くがDXとグローバル化を進めることで、この国の労働環境や経済に良い影響を与えることは間違いない。創業の背景にある、中小企業の経営者に対するリスペクトにふれた際、あらゆる形で中小企業を支援し続けるココペリの真髄はここにあると感じた。

近藤繁/2002年、慶應義塾大学理工学部情報工学科を卒業後、株式会社みずほ銀行に入行し、中小企業向けの融資業務に従事する。2007年、株式会社ココペリを設立し、代表取締役CEOに就任。