※本ページ内の情報は2025年5月時点のものです。

食事や睡眠、運動の重要性を理解しつつも、日々の忙しさから、生活習慣の改善が後回しになっている人は多い。また、いざ健康改善に向けて行動してはみたものの、途中で挫折してしまう人も少なくない。

そんな中、体重管理を習慣にする「スマートバスマット」などの商品を通して、人々の健康をサポートする事業を展開しているのがissin株式会社だ。今回、代表取締役CEOの程涛(テイ トウ)氏に、事業の詳細、そして同氏が挑戦している「家族のヘルスケア」への思いなどを聞いた。

東大発のベンチャー企業を起業後、「スイカゲーム」などのヒットサービスを開発

ーー起業の経緯を聞かせてください。

程涛:
東京大学の大学院在学中の2008年、popIn(ポップイン)というインターフェイスを開発したことが、人生最初の起業につながりました。

たとえば現在のスマートフォンユーザーは、記事内に書かれていることについて検索したいとき、その検索したい単語や文章を指でなぞり、コピー&ペーストしてGoogleなどで検索を行います。

ただ、当時のブラウザは文字列のコピーができないなど非常に使いにくく、インターネット上で調べ物をするのも非常に大変でした。そこで、ページ内のコピー、翻訳、検索などができるスクリプトを開発しました。これが、popInの始まりです。

大学院在学中、特許管理機関とベンチャーキャピタルにpopInのプレゼンをしたところ非常に評判が良く、起業を決意しました。

それから、照明一体型3in1プロジェクター「popIn Aladdin(ポップインアラジン)」や、大ヒットゲーム「スイカゲーム」などを手がけた後、2021年にissinを起業し現在に至ります。

最初のpopInはビジネス的な視点を強く意識して開発しましたが、徐々に「自分がほしいもの」という趣味の視点で商品を開発するようになり、issinでは現在「家族」や「家族の思い出づくり」という視点を軸に事業を展開しています。

「楽しい健康管理」で健康な人を増やし、医療費の削減にも貢献したい

ーーなぜ家族を軸にした商品を展開するようになったのでしょうか。

程涛:
中国から1人で来日した際は家族の支援が心の支えになりましたし、自分が家族を持ったことで、家族に対する思いがより一層強まったことが大きな理由です。家族の健康が最も大切だと思うようになり、ヘルスケア分野での起業を決意しました。

健康に必要な要素は、大きく分けると「予防」と「医療」の2つしかありません。できるだけ病気にならず、歳をとっても元気に過ごせる人を増やすために、弊社では予防の分野に力を入れた商品を開発しています。

ーー商品を開発する際に特に意識していることを教えてください。

程涛:
特に意識しているのが、「楽しく健康管理ができること」です。健康になるためには日常生活から変える必要がありますが、日々忙しく、ストレスも多い現代人は食習慣や睡眠習慣を変える余裕がなかなかありません。

ただそういった人たちも、楽しく改善できる仕組みさえあれば、健康管理を後回しにせずに済むと思うのです。

また、楽しい健康管理で健康な人が増えれば、医療費を減らすことにもつながります。日本の社会のためにも、弊社は楽しい健康管理を進めていきたいと思っています。

ーー商品を開発する際に特に意識していることを教えてください。

程涛:
特に意識しているのが、「楽しく健康管理ができること」です。健康になるためには日常生活から変える必要がありますが、日々忙しく、ストレスも多い現代人は食習慣や睡眠習慣を変える余裕がなかなかありません。

ただそういった人たちも、楽しく改善できる仕組みさえあれば、健康管理を後回しにせずに済むと思うのです。

また、楽しい健康管理で健康な人が増えれば、医療費を減らすことにもつながります。日本の社会のためにも、弊社は楽しい健康管理を進めていきたいと思っています。

目指すは「ヘルスケア業界のDuolingo」と「生命力あふれる世界の実現」

ーー今後の注力テーマを教えてください。

程涛:
弊社の商品は、生活習慣を改善すべき全ての人にはまだまだ届いていないため、そういった方々へのアプローチに力を入れていきたいと思います。

たとえば、お風呂上がりに乗るだけで体重を測り、スマートフォンにデータを記録できるバスマット「スマートバスマット」にはポケモンとコラボしたモデルもあります。ピカチュウなどポケモンのデザインが施されており、ポケモンをきっかけに弊社の商品に興味を持ってもらいたいという狙いがあります。

さらに、指にはめると心拍数や皮膚温が測定され、データをもとに睡眠の質が分かる新商品「スマートリカバリーリング」は、全国のKDDI直営店やauショップで販売中です。

AIキャラクターがデータを見て「ランチの後に30分仮眠してみませんか?」など、具体的なアドバイスをするので、ゲーム感覚で楽しみながら少しずつ改善できるのが魅力です。auショップに訪れるお客様へ同商品の良さを伝えることで、幅広い層に弊社の商品を届けたいと思っています。

食事、運動、睡眠、メンタルが整うことで良い生活習慣は生まれますし、今後は食事だけでなく、「スマートリカバリーリング」のような睡眠もフォローできる商品の開発にも力を入れていくつもりです。

また、特にビジネスマンにとって、朝起きたときにどれだけ回復できているかは、1日のパフォーマンスを左右する重要な事柄ですよね。1日の仕事を成功させたいビジネスマンの方々にも、弊社の商品を使ってもらえるよう取り組んでいきます。

ーー今後のビジョンを聞かせてください。

程涛:
5年後のビジョンは、「ヘルスケア業界のDuolingo(世界で最もダウンロードされる語学学習アプリ)になること」です。弊社の商品がDuolingoのように世界中に広まり、楽しく健康管理できる人を増やせる会社を目指します。

そしてその結果として、10年後には「生命力あふれる世界の実現」を達成し、健康管理の領域で世の中にインパクトを与えられる会社になりたいです。健康は一生ものですし、多くの人に健康の優先順位を上げてもらえるよう、会社としても取り組んでいきます。

編集後記

issinの事業は、平均寿命が伸び、歳を重ねても健康でいることが重要な日本で今求められているものだと感じた。生活習慣に気を配らなければと思いつつ、精神的・時間的な余裕がなく後回しになっている人は多い。同社のサービスがそういった人たちに届き、より多くの人が健康に興味を持ってくれることを期待している。

程涛/1982年、中国・河南省生まれ。東京工業大学卒業。シリアルアントレプレナー(連続起業家)。東京大学修士在学中に、東大発ベンチャーpopInを創業し、2015年にBaiduと経営統合。世界初の照明一体型3in1プロジェクター「popIn Aladdin」や大ヒットゲーム「スイカゲーム」などを開発。2021年、issin株式会社を創業。体重測定できるバスマット「スマートバスマット」をリリース。