※本ページ内の情報は2025年6月時点のものです。

働き方改革により労働時間の短縮が重視される中、効率良く仕事を進めるために不可欠なのが業務のDX推進だ。そのために必要なクラウドサービスの導入支援や保守サービスを行っている株式会社ターン・アンド・フロンティア。

“成長オタク”と称するほど自身の成長に貪欲なエピソードや、企業目標の「持てる全ての力を、関わる人の発展のために」に込めた思いなど、代表取締役社長の大久保哲也氏にうかがった。

トップセールスの営業術を学び、成績不振から脱却

ーーまず大久保社長の経歴についてお聞かせください。

大久保哲也:
大学卒業後は、SFA(営業支援システム)やCRM(顧客関係管理)などのITソリューションを提供する会社に就職しました。この業界を選んだのは、就職活動の企業選びのヒントになればと、会社経営をしていた母の紹介で経営者向けセミナーに参加したことがきっかけです。

そのセミナーで企業の営業力を支援する仕事があることを知り、興味を持ったのです。ただ、私は営業力を高める提案を行うコンサル部に入りたかったのですが、実際に配属されたのは営業部でした。

入社から1、2年目はまったく成果を出すことができませんでしたが、3年目からは徐々に営業成績が上がり、自分に自信が持てるようになりましたね。成績が上がった理由は、当時仕事でトップセールスの方々に携わる方々にインタビューし、営業戦略を教わったことからでした。

この経験が、お客様に興味を持ってもらうためにはどうすればいいのか、今の自分には何が足りないのかを考えるきっかけになりました。その分析をもとに自分なりの営業戦略を実践した結果、少しずつ受注につながっていったのです。

これを機に少し苦手意識があった営業の面白さを見出せるようになり、やりがいを感じるようにもなりましたね。

あえてハードな環境で自分を追い込む“成長オタク”

ーー今の会社へ転職したきっかけは何だったのですか。

大久保哲也:
弊社の創業者である現会長の髙野と取締役CFOの北畠とは、クライアントの訪問時に同行してもらうなど、前職時代から接点がありました。

当時の弊社は創業したばかりで、社長と取締役のほか、エンジニア1名と事務1名の小さな会社でしたが、「これから営業を強化したいので、営業要員としてうちに来てもらえないか」と声をかけてもらったのです。

その話を聞いたときは、一から営業組織づくりにチャレンジできることにとても魅力を感じましたね。これまでトップセールスから学んだノウハウを活かせ、真っ白な状態から自分が理想とする組織をつくれる。これは絶好のチャンスだと思い、転職を決めました。

ーー転職後のキャリアについてお聞かせください。

大久保哲也:
自分が経営層と現場の間に立つことで、経営層と現場の間に立つ役割を担いたいと考え、入社から3年後には自ら志願して執行役員に就任しました。あえて責任の重いポジションを目指すのは、新しい環境に身を置くことで自分が成長することに喜びを感じる「成長オタク」だからでしょうね。

困難を乗り越える過程すらも楽しくて、大変さよりも「その先の新しい世界を見てみたい」という好奇心が勝ってしまうのです。

お客様の発展のために全力でサポート

ーー改めて貴社の事業内容について教えてください。

大久保哲也:
弊社の主力事業は、クラウドサービスのAmazon Web Services(AWS)と、Microsoft Azureの導入支援と保守サービスです。これまでは企業のITインフラを整備する場合、レンタルサーバーが使われていました。

ただ、レンタルサーバーは導入時に設置作業が必要で、ソフトウェアやデータをパソコンにインストールする手間がかかります。一方でAWSやAzureはクラウド型のため、ネットワーク経由でサービスを利用でき、クレジットカードの情報を登録するだけで使い始められるのがメリットです。

お客様と接する中で私たちが徹底しているのが、スピード感を持って対応することです。24時間365日監視し、トラブルが発生した際は自社のエンジニアチームが即座に対応します。お客様のご依頼にできる限りお答えし、迅速かつミスなく提供している点が、お客様から高い評価をいただいていますね。

もうひとつ私たちが重視しているのが、お客様目線で考える姿勢です。弊社は地方の中小企業のクラウド導入をサポートし、お客様の疑問に丁寧にお答えしています。また、たとえ他社が関わるシステムの不具合が原因であっても、お客様が困っていることに変わりはありません。

私は、最後までお客様をサポートするのがプロだと思っています。そのため、見て見ぬふりをするのではなく、自分たちが知らない範囲でも、リサーチしながら一緒に解決策を出せるようお手伝いすることを心がけていますね。

ーー貴社の経営指針や社員の方々の特徴をお聞かせください。

大久保哲也:
私が社長に就任した際、会社の目指すべき姿として「持てる全ての力を、関わる人の発展のために」をテーマにしました。自分たちの発展が先ではなく、関わる人たちの発展を支えることで自分たちも発展していく考え方を大切にしています。

こうした目標を掲げている組織だけあって、お客様やメンバーのために動く利他の心を持った優しい人たちが多いと思いますよ。

AI活用を進め、業務効率化の先行事例になりたい

ーー今後の注力テーマを教えていただけますか。

大久保哲也:
社員の中からグループ会社のトップを選任し、どんどん社長を増やしていきたいと思っています。私も会社員から社長になり視座が変わったことで、より責任を持って仕事に取り組むようになったので、社員たちにも同じ感覚を体験してほしいですね。

また、生成AIを活用した業務の効率化を進めたいと考えています。現在もAIに置き換えられる業務がないか、日々議論を重ねています。効率化が進めば、同じ社員数で今の倍のお客様の対応ができるかもしれません。

そうすれば給与を倍にしたり、週休3日・4日制にしたりすることも可能になるでしょう。私たちのような小規模な組織でこうしたAI活用の成功事例が生まれれば、世の中に大きなインパクトを与えられるだろうと期待しています。

ーー最後に今後の成長に向けた取り組みについてお聞かせください。

大久保哲也:
会社のブランディングのために取り組んでいるのが、YouTubeでの発信です。取締役CMOの中山が主体となって運営し、女性役員として日々仕事に向き合う姿をお届けしています。

彼女の仕事現場に密着する仕事Vlogなどを配信する「いまさらチャンネル」は、登録者数が11万人(2025年4月時点)を突破し、書籍化も決定するなど、順調に知名度が上がっていますね。また、社員の日常や仕事用の便利アプリを紹介する「いまさらハック」も登録者が2万7千人(2025年4月時点)と、じわじわと人気が出始めています。

実際に仕事の受注につながるケースは少ないかもしれませんが、今後も新しい形の営業活動にチャレンジし、あらゆる角度から顧客との接点を増やしていきたいですね。

編集後記

「ホテルのコンシェルジュのようにお客様の要望にお応えし、課題解決に向けて全力で支えていきたい」と話してくれた大久保社長。業務の効率化を進めたいものの、最新のツールの導入に不安を抱えている企業にとっては、頼もしい存在だろうと感じた。株式会社ターン・アンド・フロンティアは企業の成長を支えるパートナーとして、お客様に寄り添い続けていく。

大久保哲也/関西大学法学部を卒業後、SFA/CRMサービスを提供する企業で7年ほど営業職として勤務。2013年に株式会社ターン・アンド・フロンティアに入社。2016年に執行役員、2018年に取締役に就任し、2021年に代表取締役に就任。