
人々の行動や体験に価値を与え、それをお金に変える仕組みを開発するレヴィアス株式会社。同社は金融システムの知見とブロックチェーン技術を基盤に、新たな経済循環を生み出すプラットフォーム「ANICANA(アニカナ)」を提供している。プロダクト開発の75%が日本初・世界初・業界初のいずれかという、圧倒的な独創性を持つ同社代表取締役の小町博幸氏に話をうかがった。
手段に固執しない柔軟性を武器に挑む社会貢献
ーーご自身の特性や価値観について教えてください。
小町博幸:
私は「自動的に記憶する」という特性を持っており、幼いころから特段勉強しなくてもテストでそれなりの点数をとることができました。これは音声などから情報を無意識に吸収することができているからなのですが、この特性のおかげで、現在は、インプット(情報収集)よりアウトプット(情報の活用方法を考えるなど)に多くの時間を使うことができています。
また、「常に思考が働き続ける」という特性も持っています。これは単純作業が苦手という側面もあるのですが、今の業務においては、多角的な思考や創造的な発想を生み出す源になっていると言えます。
こうした特性に加え、私は「手段やプロセスよりも目的・ターゲットを重要とする」という価値観を持っています。目的に対しては徹底的にフォーカスする一方で、そのプロセスには柔軟性を持って対応する。これらの要素が複合的に備わっているのが、ビジネスにおける私のスタイルとなっています。
ーーどのような経緯で創業に至ったのでしょうか?
小町博幸:
創業の背景には、金融システムの非効率性への問題意識がありました。2013年から金融系のプロジェクトに携わる中で、紙ベースの資産管理に多くのコストと時間がかかっている現状を目の当たりにしたのです。このような状況をテクノロジーの力で改善し、経済の流動性を高めることができれば、社会に大きな貢献ができると考えました。
そうして新たな仕組みの開発に取り組む中で、この知見やリソースを用いて、より広く社会に貢献したいという思いが強くなり、その思いを実現するために5人ほどのメンバーとともに弊社を創業しました。
「体験こそが財産」を体現する革新的なプラットフォーム

ーー貴社の事業内容について教えてください。
小町博幸:
弊社の事業は、金融系のシステム開発から人々の行動体験に価値を与えるテクノロジーの提供です。一般的に「価値」と聞くとお金や物質的なものが思い浮かぶと思いますが、私たちは「体験こそが財産」という考え方に基づき、日々の活動や習慣そのものに経済的価値を付与するプラットフォーム「ANICANA(アニカナ)」を開発しました。
具体的な仕組みとしては、まず企業や団体が健康管理や学習といったユーザーに促したい行動を設定し、それに対して変動型の報酬を提示します。そして、その行動をした利用者の行動内容や結果の質に応じて報酬を付与するというものです。たとえば、健康増進の場合、継続的な運動習慣が形成されると報酬が増加していくといった設計も可能です。
利用者は行動そのものが財産として蓄積される実感が得られるため、自己肯定感の向上が見込めます。一方、企業や団体側は顧客の行動を促進し、継続的な関係性を構築できるメリットがあります。「ANICANA(アニカナ)」は、“与えることで与えられる”という好循環を生み出し、双方にとって価値ある関係を構築するプラットフォームなのです。
ーー現在どのようなサービスがありますか?
小町博幸:
直近では、先日公開したばかりの「PRIZE3.0(プライズスリー)」というオンラインくじサービスの仕組みを進化させた最新プロダクトがあります。従来のオンラインくじサービスは当たった商品が不要な場合でも受け取らざるを得ず、その結果アイテムが破棄されるケースがありました。これは送る側も受け取る側も望ましくない結果です。そこで弊社は、ANICANA(アニカナ)のテクノロジー技術を活用して「くじの結果を受け取る権利」をデジタル化し、それを取引できる仕組みを開発しました。
これらの「権利」は、宿泊や飲食店の割引からエンタメ系のファンサービスといった無形のものも商品対象にすることが可能です。また、セカンダリ市場において売買等も行えるため、獲得した結果を流動化できることで、オンラインくじによる収益性を飛躍的に高めることが可能になります。PRIZE3.0(プライズスリー)は大手企業にも大変注目されており、すでに複数の導入が決定しています。
テクノロジーで人生の豊かさを広げていく
ーー今後の展望についてお聞かせください。
小町博幸:
弊社が目指しているのは、「人々が生きているだけで価値が生まれる世界」の実現です。現在の社会では、生活のために働き、時には経済的な制約によって自分の人生を思うように生きられないケースもあります。しかし、日常のあらゆる行動に価値が付与され、それが経済的な報酬として還元される世界が実現すれば、人々はより自分自身の人生を豊かにするための行動に集中できるようになるでしょう。
テクノロジーの力で、行動に対する価値観を根本から変え、すべての人が自分の存在そのものに価値を感じられる未来の創造を目指して、これからもまい進していきます。
編集後記
小町氏が語る「行動に価値を付与する」という考え方は、現代社会の多くの課題解決の糸口になり得る。勉強や健康維持といった行動に価値を与えることで、人々の行動変容を促す仕組みは、教育や医療などあらゆる分野に応用できるだろう。技術革新が人々の行動と結びつき、社会全体を変えていく可能性に、未来への希望が見えた。

小町博幸/1977年、東京都生まれ。金融システムデザイン、UIUX、情報技術、業務系マネジメントなど、幅広い開発を経験。2013年より複数の金融系ブロックチェーンプロジェクトに携わる。2018年、社会課題解決に特化したレヴィアス株式会社の立ち上げに参画。現在、同社代表取締役として「ANICANA(アニカナ)」の開発・普及に尽力している。