※本ページ内の情報は2025年7月時点のものです。

グローバルセキュリティエキスパート株式会社(GSX)は、サイバーセキュリティに特化したコンサルティング、教育、ソリューション提供を行う企業だ。2021年12月に東証マザーズ(現:東京証券取引所グロース市場)への上場を果たすと、過去6年間の年平均成長率は38%と急成長を遂げている。今回は、代表取締役社長 CEOを務める青柳史郎氏に、これまでの経歴や同社の成長の背景について話をうかがった。

情報漏洩を契機に、デジタル社会の課題解決に挑む

ーー社長のこれまでの経歴をお聞かせください。

青柳史郎:
私は大学卒業後、株式会社ビーコン インフォメーション テクノロジー(現:株式会社ユニリタ)に入社しました。この会社は当時、ビジネスインテリジェンス(ビジネスの意思決定に関わる情報を収集し、分析する仕組み)と呼ばれる分野のソフトウェアを開発している会社でした。

営業部に配属された私は、「売上を達成するために名刺をn枚集める」というような難易度の高い目標を課されましたが、達成に向けて試行錯誤する中でずいぶん鍛えられたように思います。そして、入社4年目には営業部門でトップ3に入る成績を収めるまでに成長したのです。

その後、自分自身で経営に携わりたいと考えるようになり、経営に関与できる別の企業に転職しました。そして、32〜33歳になるころには、その会社でクラウド技術を扱う事業に参画し、営業取締役として営業およびマーケティング全般を統括する業務に従事するようになったのです。

ーーその後、どのような経緯で貴社に入社したのですか?

青柳史郎:
取引先のWebサイトで情報漏洩があり、フォレンジックや情報漏洩に関する対策が必要になりました。セキュリティ分野に関わるのは初めての経験だったので、信頼できる会社を探したところ、辿り着いたのが弊社だったのです。

Webサーバーの脆弱性を探して対応していくプロフェッショナルな仕事ぶりに、非常に感銘を受けました。サイバーセキュリティは、これからの日本に必要な仕事だと思い、当時の弊社の代表に「ぜひビジネスに参画させてほしい」とお願いして、入社させていただいたのです。

ターゲット市場を明確化し成長につなげる

ーー入社後は、どのようなことに注力しましたか?

青柳史郎:
私が入社した2012年当時の弊社は、リーマン・ショックの余波で売上が半減する状況に陥っていました。売上が5〜6億円程度で推移している中で経営に参画した私は、会社の成長戦略について深く考え、改革に取り組むことにしたのです。

まずは経営企画本部長として、ターゲット市場を明確にし、強みを打ち出す取り組みを推進しました。さらに、社長就任のタイミング(2018年4月)で、ビジネスモデルの再構築や経営陣の刷新を行い、IPO(株式上場)に向けた戦略を最短スケジュールで実行する方針を定めました。

その後、事業の成長に伴い売上も拡大していき、1年目(2019年3月期)で13億円、2年目(2020年3月期)で16億円、3年目(2021年3月期)で29億円となり、上場申請を経て、計画通りのスケジュールで上場を実現しています。これらの取り組みによって、弊社は持続的な成長軌道に乗ることができました。

ーー貴社の事業の強みや特徴を教えてください。

青柳史郎:
弊社は、大企業をお客様とした市場には参入せず、セキュリティ対策に課題を感じている準大手・中堅・中小企業をお客様としています。弊社が提供するサービスは、金融庁から査察が入った場合の監査対応やWebサーバーの脆弱性の診断、社員向けメール訓練など多岐に渡ります。お客様に必要なセキュリティサービスを、あらゆる角度からご提供できることが弊社の強みといえるでしょう。

さらに、弊社はIT企業やSIerのエンジニア向けにセキュリティスキルを習得することができる教育講座の提供に注力しており、受講者数は年々拡大しています。講座の多くはエンジニアがセキュリティに配慮したシステム開発・運用を実施するために必要な知識を得ることができる、座学と実践で構成されたプログラムになっています。ビジネス化するのが非常に難しい分野ではあるのですが、弊社の場合は、「SecuriST(セキュリスト)」を始めとする独自の充実した講座ラインナップによって、高い評価を得ています。

経験よりも実力重視の採用方針

ーー最後に、貴社への入社を検討している方へメッセージをお願いいたします。

青柳史郎:
弊社は2年前から新卒採用をスタートしており、今後は新卒採用と中途採用の割合を半分ほどにして、あわせて年間20%ずつ社員を増やしていきたいと考えています。中途採用に関しては、営業・エンジニアともに、どのポジションでも、IT業界の経験を持つ方が比較的スムーズにキャッチアップしやすい環境です。具体的には、インフラ、ネットワーク、アプリケーション、クラウドサービスなど、何らかのIT分野に携わった経験がある方が活躍しやすいと考えています。

前述の通り弊社はお客様向けに教育事業を展開しており、充実した教育コンテンツや育成体制を整えているため、IT業界での経験が浅い方であっても、入社後の研修や学習機会を活用することで、短期間で成長し、活躍することが可能です。「過去の経験よりも、現在の実力で認められよう」と思える人や、お客様と積極的にコミュニケーションをとる努力をする人、「サイバーセキュリティ業界で活躍したい」という思いを持っている人が来てくれたら、嬉しいですね。

編集後記

今後、年間20%の割合で社員を増やしていきたいと語る青柳CEO。2024年に、日本初のセキュリティ企業に投資するファンドの創設に携わったGSXは、今後も持続的な成長をしていくに違いない。実力主義を掲げながらも、入社後研修によって未経験者にも門戸を開く同社は、成長に意欲的な営業・エンジニアの登竜門となる可能性を秘めているように感じた。

青柳史郎/1975年、東京都町田市生まれ。1998年、株式会社ビーコン インフォメーション テクノロジー(現:株式会社ユニリタ)に入社。2012年にグローバルセキュリティエキスパート株式会社へ入社し、営業本部長、経営企画本部長を歴任。2018年、同社代表取締役社長に就任。2021年、グロース市場への上場を実現。