※本ページ内の情報は2025年7月時点のものです。

株式会社pequodは、ウォーターサーバー事業を展開し、自社ブランドサーバーの開発や大手企業との提携を通じて事業拡大している企業だ。大学時代に起業を決意し、22歳で同社を設立した代表取締役社長、石原壮大氏に、これまでの歩みと、「日本の水は世界で勝てる」という信念のもと、グローバルな展開も見据える未来への展望についてうかがった。

「楽しそう」が決め手、直感を信じたウォーターサーバー事業

ーー社長が起業を意識されたきっかけをうかがえますか。

石原壮大:
高校卒業までは起業など全く考えていませんでしたが、大学進学が大きな転機となりました。大学受験のために福岡へ向かう新幹線の車内でたまたま手にした自己啓発本に感化され、入学式の頃にはもう起業への思いが固まっていました。また、当時注目されていた堀江貴文さんの活躍からも大きな影響を受けました。

そこから大学中退後、22歳で起業するまでは、福岡の営業会社でアルバイトとして働いていました。最初は太陽光発電、次に光回線のテレアポ営業です。当時の私には特別なスキルがなかったこともありますが、営業を経験すれば多くの経験を積めるだろうと思い、営業職を選びました。

ーー営業の仕事はいかがでしたか。

石原壮大:
同期が成果を出す中、入社1ヶ月めの契約はゼロ件。この時、すでに大学を辞めており、後がない状況で、悔しさから泣きながら帰宅する日々が続きました。「なんとしても結果を出したい」と、まずは成果を出している人を完コピすることを決意。「人の2倍、電話をかける」というルールを自分に課しました。始業から終業まで、休憩中も一人で電話をかけ続けた結果、翌月には500人中1位の成績を収めることができたのです。

この経験から「とにかく量をこなすこと」、そして「成果を上げている人のやり方を徹底的に真似ること」の重要性を学びました。

ーーなぜウォーターサーバー事業を選ばれたのですか。

石原壮大:
営業のアルバイトを3年ほど続けた頃、福岡から東京へ行く決意を固めました。当時の社長に「起業します」と伝えたところ、社長がいくつかの商材を紹介してくださり、その中の1つがウォーターサーバー事業です。

テレアポはいつも同じ場所で仕事することに飽きていたのですが、ウォーターサーバー事業は全国へ出張があると聞き、「それは楽しそうだ」と感じ、選びました。当時は深い考えがあったわけではありませんが、今となってはウォーターサーバー事業を選んで本当に良かったと思っています。

顧客と共に成長する独自の道

ーー貴社の事業概要と強みについて教えてください。

石原壮大:
弊社では、天然の良質なミネラルウォーターを販売するウォーターサーバー事業を展開しています。パートナー企業様制度を導入しているため、弊社では共に販売を頂く代理店様をパートナー企業様と呼んでおり、エンドユーザーだけではなく、パートナー企業様も「お客様」と定義しております。

パートナー企業様が収益を上げ、拡大することが弊社の繁栄につながるという「顧客ファースト」の考え方がベースにあり、パートナー企業様が売りやすいサーバーの商品設計や販売しやすい仕組みづくりが強みです。2021年には自社ブランドの天然水ウォーターサーバー「アルウォーター」、2024年11月には浄水型ウォーターサーバー「Brio」の販売を開始。さらに、2025年2月からは、上場企業と提携した新しいウォーターサーバーも展開しています。

ーー現在の組織体制についてお聞かせください。

石原壮大:
営業活動は主に子会社やパートナー企業様が担っており、本社にいる7〜8名ほどの社員で事業全体の管理や戦略策定に集中しています。この少数精鋭の体制で売上100億円を目指しています。

かつては若さとやる気あふれるメンバーが中心でしたが、現在は専門性が高く、かつコミュニケーション能力も高い人材を求めています。

ーーパートナー企業様へのサポートで重視していることはなんですか。

石原壮大:
求職者の中でも営業職に対してネガティブな印象を持つ人が多いのが現実で、パートナー企業様が最も困っているのは採用だと思います。ですので、パートナー企業様の販売活動をサポートするだけではなく、採用やバックオフィス業務のサポートまで幅広く対応しております。

弊社で採用代行として役割を担い、パートナー企業様の採用活動を支援する取り組みです。これが実現してパートナー企業様の人員が増えれば、弊社の販売件数も自然と増加します。このような支援は他社にはない取り組みであり、まさに顧客ファーストの実践と考えています。

ーーこれまでに直面した大きな困難はありましたか。

石原壮大:
創業2〜3年目の頃、創業メンバーで当時のナンバー2が独立しました。その際、20名ほどいたメンバーの多くが彼についていき、残った社員は3名ほどに。売上減少もさることながら、高校の同級生で創業時から一緒に頑張ってきた彼から、辞める前に厳しい言葉を投げかけられたことは精神的に辛かったです。

特別な対処法があったわけではなく、ひたすら耐え、もがきながらこの時期が過ぎるのを待つしかありませんでした。お酒やギャンブルに逃げることはしませんでしたが、業績が回復するまでは心が荒んでいました。ただ、最善を尽くしながら耐え抜いたという感じです。

日本の水で世界へ、100億円企業への展望

ーー貴社が目指す今後のビジョンを教えてください。

石原壮大:
最短で売上100億円を達成することが当面の目標です。将来的には1000億、1兆円企業を目指し、世界展開も視野に入れています。

ウォーターサーバー業界は、差別化が難しい市場です。私たちは、パートナー企業様を「お客様」と定義することで、手数料設定、良好な関係性の構築、営業がしやすいシステム開発などに取り組んでいます。これらは一つひとつは真似できても、複数を組み合わせることで、他社には追随できない独自の価値を構築していると自負しています。

私がこの業界に入った時のウォーターサーバー普及率は8%で、今もあまり変わっていません。営業人員の数を増やせば普及率は上がると考えています。そのためには、ウォーターサーバー業界が他の業界よりも魅力的な市場になる必要があります。パートナー企業様が売りやすい仕組みをつくり、採用が活性化し人が増え、業界全体が盛り上がれば、おのずと普及率も上がっていく。そうした好循環を生み出したいです。

ーー「日本の水は世界で勝てる」というお話についておうかがいさせてください。

石原壮大:
最初は何となく始めたウォーターサーバー事業ですが、今は本気で「日本の水は世界で勝てる」と信じています。日本の浄水・濾過技術は世界トップレベルであり、日本の天然水は世界一美味しいと私は思います。だからこそ、日本発で世界に通用する数少ないものの一つが「水」だと考えています。

しかし、この価値を世界に発信している企業はまだありません。ITやAIがどれだけ進化しても、人間が水を飲むという行為は不変です。生活コストが下がり、より良いものを求める時代になれば、質の高い日本の水は必ず世界で評価されると確信しています。

ーー最後に、読者へのメッセージをお願いします。

石原壮大:
弊社は今、まさに急成長のフェーズにあります。差別化が困難と言われるウォーターサーバー業界で、独自の戦略を打ち出し会社を大きくしていく過程は、非常に貴重な経験となるはずです。この変化と成長の躍動感を楽しめる方にとっては、これ以上ない刺激的な環境でしょう。共に大きな目標へ挑戦し、日本の水の可能性を世界に示していきたいと考えています。

編集後記

22歳で会社を設立した石原社長。二度の大きな組織的困難を乗り越え、常に前を向き、独自の「顧客ファースト」戦略で事業を拡大させてきた。「日本の水は世界で勝てる」の言葉には、確かな自信と熱意が込められている。そして、その視線は国内に留まらず、日本の水のポテンシャルを世界市場で開花させることへと向いている。少数精鋭のチームで突き進むpequodの挑戦から、今後も目が離せない。

石原壮大/1992年11月28日生まれ。北九州市立大学を中退後、福岡の営業会社にてアルバイトとして営業に従事。そこでトップセールスとなり、営業の基礎を学ぶ。2015年9月、22歳で株式会社pequodを設立し、代表取締役に就任。