※本ページ内の情報は2025年9月時点のものです。

静岡県を拠点に「住」に関する課題をワンストップで解決する株式会社LIFEFUND。新築住宅から不動産、リノベーション、相続コンサルティングまで幅広く手がけ、年間100棟の施工実績と年商22億円を達成する企業だ。代表取締役の白都卓磨氏は、両親が建設会社を営んでいたものの、自ら起業した経歴を持つ。顧客との運命的な出会いを原動力に「人の役に立つ」ことの喜びに目覚め、事業を拡大してきた同氏に、その情熱の源泉と、人とテクノロジーで描く未来像を聞いた。

ゼロからの挑戦と偶然の出会い

ーーご自身の会社を立ち上げるまでの経緯をお聞かせください。

白都卓磨:
両親が建設会社を営んでいましたが、その会社を継ぐつもりはありませんでした。しかし、親のように、自分で会社を創業したいという思いは抱いていました。親と同じく建設業界で身を立てることを決意し、まずは勉強のため、地元の遠州鉄道株式会社へ入社します。住宅事業部で2年半ほど現場監督として経験を積んでから独立し、当初は知人の紹介で店舗リフォームを専門に手がけていました。

ーー事業立ち上げ当初のお話をおうかがいできますか。

白都卓磨:
独立当初は苦労しました。事業の安定性を考えて店舗だけではなく個人の住宅を手がける業務にも幅を広げたのですが、最初の半年間は売上が全く立たず、資金的にも厳しい状況に陥りました。

そんな中、後継者不足で廃業を決めた会社と出会い、そこの既存顧客のメンテナンスを引き継ぐという、まさに偶然の機会に恵まれたのです。これが転機となり、2年目で年商1億円を超えるまでに成長できました。その資金を元手に4名で本格的に会社を組織し、ホームページを開設するなどして集客力を高めていきました。

「本当に人の役に立てた」天職を見つけた運命の出会い

ーー住宅事業を本格的に手がけるようになったきっかけについてお聞かせください。

白都卓磨:
2014年のあるお客様との出会いがきっかけです。当時、事業は成長していたものの、私の中ではどこか「張りぼて」のような感覚が拭えませんでした。そんな時、偶然知り合ったある方から「あなたに家を建ててほしい」と、新築の依頼をいただいたのです。経験がなかったので無責任には引き受けられないとお断りしたのですが、その方が「あなたならやってくれると信じている」と言ってくださり、挑戦することにしました。1回の打ち合わせが8時間にも及ぶなど、がむしゃらに取り組みましたね。

そのお客様からいただいた言葉が、私の仕事に対する価値観を決定づけました。お引き渡しの際に、「家は3回建てないと満足できないと言うけれど、この1回で本当に満足できました」という言葉をいただき、心から「本当に人の役に立てたんだ」と実感できたのです。それこそが、私が人生をかけてやりたいことだと確信した瞬間でした。

住宅は、価格の面でも、その後の人生との関わりの面でも、お客様の人生に最も深く根差すもの。そこに責任を持って携われることに、大きなやりがいを感じます。

住まいの全てを担う事業展開と独自のブランド戦略

ーー貴社の事業内容について教えてください。

白都卓磨:
弊社は主に、「新築事業」「中古住宅再生事業」「相続コンサルティング事業」の3つを柱としています。

主力は新築事業で、ブランド戦略を取っています。一つは、こだわりの強いお客様向けのブランド「ARRCH」です。「建築家とつくる家」をコンセプトにしており、「建築家と建てる家に憧れるけれど、価格や敷居の高さで諦めてしまう」という声に応え、こだわりの家を適正価格で実現します。もう一つは、高性能と低価格を両立した「PGハウス」です。これは高品質・高機能でありながら圧倒的なコストパフォーマンスを追求した、いわば「住宅業界のユニクロ」のようなブランドです。

中古住宅再生事業では、日本の住宅の半数以上が性能向上を必要としている社会課題に向き合っています。まだ価値のある建物を買い取り、現代の基準に合わせたリノベーションを施すことで、新たな価値を持つ住まいとして市場に再び供給するのです。

そして、相続コンサルティング事業は、弊社の大きな強みといえます。相続において不動産は分割が難しく、トラブルや空き家の原因になりがちです。弊社は静岡で唯一の不動産に特化したコンサルティング企業として活動しています。その具体的な解決策として「戸建て賃貸住宅」という独自商品を開発しました。これは高い利回りを実現しつつ、将来的に分割や売却がしやすい画期的な相続対策です。このように、専門知識と具体的な解決策の両輪で、お客様の資産と暮らしをトータルでサポートしています。

ーー幅広い事業を手がける背景には、どのような理念があるのでしょうか。

白都卓磨:
弊社の理念は「あらゆる人が喜びある人生を叶えられる社会へ」です。この理念を実現するため、新築から中古住宅のリノベーション、不動産仲介、相続コンサルティングまで、住まいに関するあらゆる課題を解決できる体制を整えています。事業展開を静岡県西部に特化し、地域社会の“住まいのインフラ”をあらゆる側面から支える、地域密着のコングロマリット(複合企業)であることが弊社の特徴です。

静岡No.1へ 人とテクノロジーで描く未来

ーー今後のビジョンについてお聞かせください。

白都卓磨:
中期的な目標として、2030年までに静岡県でナンバーワンの住宅会社になることを掲げています。その目標達成に最も重要なのは、言うまでもなく「人」です。優秀な人材が集い、長く活躍できる会社でなければ成長はありません。そのためには生産性を飛躍的に向上させる必要があり、堀江貴文さんと共に建築業界に特化したAI活用を学ぶ「ホリエモンAI学校」という事業も始めました。自社を実験場としながら、業界全体の発展にも貢献したいと考えています。

ーー社員の皆様の教育で、特に重視していることは何ですか。

白都卓磨:
私たちが最も重視しているのは、技術や知識よりも「責任感」です。責任感があれば、人は自ら学び成長します。まずはお客様に対して最大の価値を提供する責任。そして、共に働く仲間を助け、チームに貢献する責任。この2つの責任感を土台とした上で、マネジメントなどのスキルを教えています。一人ひとりが当事者意識を持って仕事に取り組む組織こそが、会社の未来をつくると信じています。

ーー今後、特に注力していきたい事業分野はございますか。

白都卓磨:
今後は特に、不動産が絡む相続の分野に力を入れていきます。生前の対策から具体的な解決策まで、ワンストップで提供できるのが弊社の強みです。これからも地域に根差し、お客様一人ひとりの人生に寄り添うトータル支援企業として、挑戦を続けます。

編集後記

自ら起業し、ゼロから道を切り拓いてきた白都氏。その原動力は、「人の役に立ちたい」という純粋な思いであった。冷静な戦略家として事業を多角化する一方で、その根底には常に顧客への熱い気持ちが流れている。これからの時代に最も重要なのは「人」であると断言し、AIという最新技術を社員の待遇向上と成長のために活用しようとする視座の高さに感銘を受けた。静岡でナンバーワンという目標の先に見据える、同社の未来が楽しみでならない。

白都卓磨/1988年静岡県浜松市生まれ。NSC名古屋デザイン工科カレッジ卒業後、遠州鉄道に入社。不動産事業本部に配属され、現場監督・設計を経験。2011年に独立し代表取締役に就任。2023年に社名をLIFEFUNDへ変更。建築・不動産・相続の3分野で、建築家とつくる「ARRCH」、超耐震×自由設計の「PG HOUSE」、不動産仲介の「物件王国」などを展開し、年間100棟弱を手がける地域トップクラスのビルダーへと成長。10年間で売上は10倍、粗利は11倍に拡大し、2025年には年商22億円を超える。