※本ページ内の情報は2025年9月時点のものです。

「家は一生で最も高価な買い物」といわれる。暮らしを営み安らぎを得るだけでなく、家族の命や家財を守るための大切な場所だ。株式会社MIMAは、住まいに関するあらゆる相談を受け付けている。設備の交換や部分リフォームから、新築、建て替え、不動産売買まで幅広く対応。施工エリアを八尾・東大阪・柏原に限定し、地域経済の活性化にも貢献する。「超地域密着」を掲げる同社の強みを、代表取締役社長の美馬功之介氏にうかがった。

建築への探求心と震災から生まれた使命感

ーーこれまでのご経歴をお聞かせください。

美馬功之介:
大学在学中にバックパック旅行で世界を回り、バルセロナでガウディの建築を見て建築の面白さに感銘を受けました。文化は国や地域でさまざまですが、「人が住まいをベースに生きている」点は世界共通です。また、海外に渡ったことで日本の木造技術の素晴らしさも実感しました。その経験から住宅に携わる仕事がしたいと考え、宅地建物取引士の資格を取得してハウスメーカーに就職しました。

最初は神戸の支店で営業を担当していました。入社8年目の頃、阪神・淡路大震災が発生します。初めてできた後輩が建物の下敷きになり亡くなってしまいました。住まいを扱う者として自分の家に押しつぶされて命を落とすことほど悲しいことはありません。耐震の重要性を実感し、建築も学びたいと考えたため、実家に戻ることを決断しました。当時、父がガス設備の職人をしていたので、28歳で設備の職人になり、近くの工務店の仕事を手伝っていました。

両親と個人商店を営んでいましたが、私は次第に下請けではなく、元請けで仕事をしたいと思うようになりました。私が代表になったタイミングで社名を変更。下請けの仕事をすべて断り、元請けの会社として再スタートを切ったのです。

(※1)下請け:元請けから仕事の一部を請け負い、その指示のもとで業務を行うこと
(※2)元請け:お客様から直接依頼を受け、案件全体の管理を行うこと

ーー事業を拡大するにあたり、大切にされてきたことは何ですか。

美馬功之介:
大和ハウスの最高顧問である樋口武男さんからいただいた言葉を指針としています。

私はもともと大和ハウスの不動産部門である大和団地という会社に勤務していました。樋口さんは高卒で大和ハウスに入社後、創業者一族から社長の座を託された「仕事の鬼」のような方です。バブル崩壊後に業績が悪化した際、当時大和ハウスの役員であった樋口さんが大和団地の社長に就任されました。「社長が一人来たところで変わらないだろう」と思っていましたが、就任からわずか数年で黒字化を達成。その手腕を間近で見て、「こんなすごい人がいるんだ」と深く尊敬するようになりました。

大和団地を退職した後、どうしても樋口さんに会いたいと考え、何度も手紙を書くなど熱心にアプローチを重ねました。その結果、ようやく面会を得ることができました。そのとき、「質問は1つ」と言われ、社員が一人辞めてしまい、ひどく落ち込んでいることを伝えました。すると、2つのアドバイスをいただいたのです。

1つ目は「社員が半分になっても会社は潰れない。お客さんが半分になったら潰れる」ということ。社員の退職に心を痛めていた私に対し、顧客を大切にすることの重要性を教えていただきました。

そして2つ目は「地域から出るな」という言葉です。弊社の規模で自社施工もできるなら、地域に密着すべきだと教わりました。そして、目の前のお客様をとにかく喜ばせることに全力を注ぐべきだとのお話でした。この教えを胸に、今も地域密着の営業を貫き、施工を八尾・東大阪・柏原エリアに絞っています。

独自の事業モデルと組織文化による相乗効果

ーー貴社の強みについて、どうお考えですか。

美馬功之介:
リフォーム、新築、不動産の全てを手がけることで、「住まいのワンストップサービス」を提供できるのが最大の強みです。たとえばリフォームのご相談でも、状況によっては建て替えや住み替えが最適な選択肢となる場合があります。弊社なら、お客様の利益を第一に考え、あらゆる選択肢の中からベストなご提案が可能です。

特に、専門知識がないと失敗しやすい中古住宅の購入サポートには力を入れています。内見時に建築の専門家が同行し、建物の状態診断からリフォーム費用の算出まで実施。資金計画もまとめてご提案します。購入後のメンテナンスまで責任を持って対応できるため、お客様は安心して新しい暮らしをスタートできるのです。

ーー貴社の魅力はどのようなところにありますか。

美馬功之介:
仕事の大きな魅力は、お客様に心から喜んでいただけることです。そして会社の魅力は、社員同士が尊重し合える文化が根付いている点にあります。

社内では相手を尊重する社風を大切にしています。「日本ほめる達人協会」という団体があるのですが、実は私はほめる達人協会の特別講師を務め、学校や企業の研修を担当しています。協会が運営する「ほめる達人検定」という試験があり、弊社の社員は全員が3級以上に合格済みです。お互いの価値を認め合えるチームづくりをするようになってから、離職する社員が減りました。

また弊社では「ミマルシェ」というフリーマガジンを発行し、市の施設や弊社と提携する店舗に設置しています。提携店舗では、弊社が契約金額に応じてお客様にお渡しする「ハッピーラブチケット」という金券を利用可能です。弊社だけではなく、地域で経済を回すことを考えてサービスを構築しました。月1回、東大阪でリアルマルシェも開催しており、そこではクーポンも使えます。お店同士のつながりで紹介し合える仕組みもでき、現在提携店舗は340店舗まで増えました。

地域密着の深化と未来を見据えた新たな挑戦

ーー今後の展望をお聞かせください。

美馬功之介:
引き続きエリアを限定した地域密着の姿勢でつながりを深め、地域の中で圧倒的ナンバーワンを確立したいです。近年は企業のオフィスリフォーム案件が増加しており、まだまだ伸びる分野だと認識しています。SNSを活用した情報発信にも、積極的に取り組んでいく方針です。

ーー人材採用や育成はどのように進めていらっしゃるのでしょうか。

美馬功之介:
基本的に新卒を中心に、経験者も合わせて採用活動を行っています。ここ2年間は、毎年4名ずつ入社してくれています。キャリア採用では、デザイナーや現場監督といった専門職と、第二新卒のような業界未経験の若手、2つのポジションで募集をかけています。幹部の育成は、「ほめ達」と社長塾の二本立てで進めています。

ーー最後に、読者へメッセージをお願いします。

美馬功之介:
この仕事は、お客様に喜んでいただくことで、自分にファンがついてくれる仕事です。何百万円、何千万円という契約をいただき、お客様のお宅に上がります。すると、年収や財産から生活レベル、ご家族の関係まで、あらゆる情報に触れることになります。普通ならあまり表に出したくない部分ですから、信頼関係がないと成り立ちません。

逆に一度信頼関係ができると、ご紹介をいただいたり、再度ご依頼をいただいたりします。そうして次の仕事につながり、自分が守る家が街にどんどん増えていくことに、大きなやりがいを感じられるでしょう。

弊社は地域への貢献と人への投資に力を入れています。地域の人を喜ばせたいと考える方に、ぜひ仲間になっていただきたいです。人に頼られ、自分にファンがつくこの仕事の楽しさを、ぜひ知ってほしいです。

編集後記

美馬氏が住宅建築の道に進んだ背景には、自身の経験に基づく「強い家をつくりたい」という切実な思いがある。地域社会や社員に対して真剣に向き合い、地に足のついた経営で着実に業績を伸ばしている。「ほめる達人」の称号を持つ同氏の、あらゆるものに価値を見出し、認める姿勢も、同社が成長する理由の一つなのだろう。

美馬功之介/1968年大阪府生まれ。学生時代、リュックでの1人旅でアジア・アフリカ・ヨーロッパ・アメリカなど世界を放浪。大学卒業後は大手ハウスメーカーに就職し、不動産事業に従事。2003年に株式会社MIMAの代表取締役社長に就任。事業を下請けの設備工事からリフォームの元請けへと転換させた。地元である大阪府八尾市においては、住宅リフォーム売上で長年にわたりトップクラスの実績を誇る。経済産業省「日本のはばたく中小企業300社」「河内を代表する企業100選」に選出。八尾市中小企業地域振興功績者顕彰も受賞。