※本ページ内の情報は2025年10月時点のものです。

弁護士法人大地総合法律事務所は、Webマーケティングを駆使し、詐欺被害や債務整理といった問題に専門的に取り組む法律事務所である。弁護士が全ての業務を抱え込む旧来の慣習から脱却し、業務を細分化。パラリーガル(弁護士の業務を補助する専門職)と分業する「仕組み化」を徹底し、これによって依頼者への丁寧な対応と、従業員が働きやすい環境の両立を追求している。業界の固定観念を覆し、新たな弁護士事務所の在り方を模索する同事務所の代表、佐久間大地氏に、その独自のビジネスモデルと組織づくりにかける思いを聞いた。

業界の現実に抱いた問題意識とWebマーケティングとの出会い

ーー弁護士を目指されたきっかけを教えてください。

佐久間大地:
大学時代に「何か確固たる成功体験が欲しい」と考えたのがきっかけです。私が在籍していた中央大学法学部には、司法試験を目指す学生が多くいました。その熱意に刺激を受け、私も挑戦しようと決意しました。司法試験には2回目で合格しています。

都内の法律事務所で経験を積む中で目の当たりにしたのは、弁護士業界の厳しい実情です。長時間労働で心身を壊し、業界を去る弁護士も決して少なくありませんでした。また、弁護士と共に働くパラリーガルの待遇が、一般企業と比べて十分とはいえないという現実です。

私は将来的に独立して、自身で集客し経営をしてみたいという気持ちが強く、弁護士としてのキャリアを歩んでいました。独立にあたって人脈も少しずつ広がり、そんな折、Webマーケティングに詳しい知人から「佐久間先生が独立されたのなら、一緒にやらせてくれないか」と声をかけられたことが、具体的に踏み出す後押しとなりました。

質と効率を両立させる徹底した業務分担

ーー独立後、どのように事業を展開されたのでしょうか。

佐久間大地:
まず、Webマーケティングを活用して集客を開始しました。そして当時はまだ専門にする人が少なかった「詐欺被害の返金請求」事業から着手をしました。詐欺で奪われたお金の返金は難しいといわれていましたが、交渉次第で解決できる可能性があることを見いだしたのです。これが事業の礎となっています。

現在は、事業における2本目の柱として「債務整理」にも取り組んでいます。債務整理は、被害者が抱えがちな借金問題を根本的に解決するためのものであり詐欺被害と密接にかかわるものです。これらの業務を支えているのが「仕組み化」で、案件のプロセスを細分化し、各フェーズを専門のパラリーガルが担います。弁護士は要所で的確に関与することで、業務の属人化を防ぎ、質と効率の両立を実現しています。この仕組みは、私自身の経験や読書から整理していったものです。「弁護士業界の過酷な労働環境を是正したい、専門職としてのパラリーガルの地位を確立したい」という強い思いがあったからです。

多様な人材が活躍する組織基盤と次の成長段階への挑戦

ーー現在の組織体制と採用方針についてお聞かせください。

佐久間大地:
事務所全体で約50名の規模です。弁護士4名、バックオフィス4名、その他約40名がパラリーガルとして活躍しています。採用については、携帯ショップの販売員や飲食店スタッフなど、全くの異業種から転職してくるメンバーも多くいます。意欲があれば経歴を問わず歓迎し、入社後の教育体制も整えています。

ーー組織が成長する中、力を入れていることは何ですか。

佐久間大地:
組織が成長フェーズにある今、取り組んでいることは大きく3つあります。

まず1つ目は、中間管理職の育成です。プレイヤーから管理者へと役割が変わる社員を教育面で支援すると同時に、評価制度にも工夫を凝らしています。KPI(重要業績評価指標)をはじめとした定量・定性の両面を組み込み、客観的な数値に基づいた評価が行えるよう体制を整備しているところです。

2つ目は、DXの推進です。AIなどの技術を活用し、定型業務の効率化を図ることで、メンバーの負担を軽減させていきたいです。これにより、組織全体としての生産性向上につながると考えています。

最後に、Webマーケティングの内製化です。マーケティングは集客の要であるため、自社で完結できる体制を構築しつつ、専門性が必要な部分については「餅は餅屋」の発想から外部の力も取り入れています。内製と外注のバランスを適切に取りながら、最適な集客の仕組みづくりを進めていきたいと考えています。

社会貢献と事業成長を両立させる未来戦略

ーー今後の事業と組織の展望についてお聞かせください。

佐久間大地:
事業面では、詐欺被害の返金請求だけでなく、それ以外の法的ニーズもまだ多く存在すると認識しています。そのため、Webマーケティングを通じて、法的な助けを必要とする方と弁護士をマッチングする動きを強化していく方針です。

また、詐欺被害は減るに越したことがありません。法整備や警察の取組み強化によって被害が減少していくことを見据え、当事務所としても債務整理など新たな分野を開拓し、事業のポートフォリオを構築していきます。注目している分野としては男女問題、中小企業法務、相続、不動産等多種多様な分野への進出を検討しております。

組織面では、長期的に働ける透明性のある企業を目指します。昇給制度、人事評価制度、福利厚生の充実など、社内体制をより強化していく予定です。これにより、従業員がライフスタイルの変化に対応しながら、安心して成長できる環境を整備したいと考えています。

ーー経営者としての原動力は何でしょうか。

佐久間大地:
仕事なんて結局は人生の一部に過ぎません。ただし、働かなければ生きてはいけないので、かならず働く必要はある。どうせ同じ時間働くなら効率的に少ない時間でも大きな効果を発揮させるにはどうすれば良いのか考え、実践し、見直していく。これが私の原動力です。利益を出すことも経営者として勿論大事ですが、「きちんとした組織をつくっていきたい」という強い思いを抱いています。

だからこそ、弁護士の過酷な労働環境やパラリーガルの十分とはいえない待遇を是正したいと強く思っています。学生時代にバスケットボール部のキャプテンや生徒会長など、まとめ役を任されることが多かった経験が、今の組織づくりへの情熱につながっているのかもしれません。

ーー最後に、この記事を読む若者へメッセージをお願いします。

佐久間大地:
人生は一度きりです。時間は限られています。私は今35歳ですが、これまでの時間はあっという間だったと感じます。そして将来を考えると、あらゆる行動を起こすにも制限がかかる時が来ると感じています。

人生に後悔が残らないように、やりたいことにどんどん挑戦していきましょう。もし何か悩んでいるなら、臆せず今すぐ挑戦してほしい。まずは一歩踏み出すことが大事です。細かいことは後から考えましょう。そのくらいの気持ちで動き出してみてください。

編集後記

「弁護士業界の過酷な労働環境を変えたい」。その強い思いが、独自のビジネスモデルを生み出した。Webマーケティングで法の助けを求める人を見つけ出し、徹底した「仕組み化」で質の高いサービスと働きやすい環境を両立させる。佐久間氏の挑戦は、単なる事業拡大ではなく、弁護士という職業の未来を切り拓く試みでもある。その情熱が、多くの人を救い、業界の未来を明るく照らす光となるだろう。

佐久間大地/1989年、新潟県出身。中央大学法科大学院修了後、司法試験に合格。都内法律事務所で経験を重ね、企業法務や一般民事を中心に幅広く従事。弁護士登録から2年弱で独立し、2019年に大地総合法律事務所を開業。同年、法人化により代表弁護士に就任。テレビ取材やSNSでも注目され、丁寧な対応と的確な判断力で全国から相談が寄せられる。