※本ページ内の情報は2025年12月時点のものです。

2022年に設立された株式会社iiba。子連れにやさしいスポットを検索でき、イベント情報や施設・サービスの口コミが一目でわかるMAPアプリ「iiba」の開発・運営で成長を続けるベンチャー企業だ。今回、代表取締役の逢澤奈菜氏に、創業の経緯や社風、事業にかける思い、今後の展望をうかがった。

育児中の実体験をヒントに 子育て支援アプリを独自開発

ーー起業するまでの経歴をおうかがいできますか。

逢澤奈菜:
「女性でもしっかり評価される環境で働きたい」という考えから、新卒でブライダル会社に入社しました。配属先は営業職でしたが、お客様の課題を解決していく営業スタイルを通じて、自ら考え提案する力が身についたと感じています。

その後、さらなるキャリアアップを目指して転職したリクルートでは、人材領域ではなく「ホットペッパービューティー」の営業を担当しました。一人ひとりが主体的に考えて行動する、リクルートの社風もとても好きでした。

ーー貴社を創業した経緯や当時のエピソードを教えてください。

逢澤奈菜:
私自身の育児体験が「iiba」を開発するきっかけです。「子どもと出かけられる場所がなかなか見つからない」「目的に合う施設をどう探せばよいのか分からない」といった課題に直面し、自分が本当に欲しいサービスをつくったことが現在の事業につながりました。

専門知識がなくても開発できる手法(ノーコード)で試作を始めた当初は、理想のサービスづくりに夢中で、楽しむ気持ちが大きかったです。利用者のターゲット層やビジネスモデルについては、まだ深く考えていませんでした。

しかし、利用された方から喜びの声をいただくうちに「このサービスをもっと多くの人に届けたい」という思いが強くなったのです。サービスを継続させるため、事業としてきちんと成立させようと決意しました。

マップ機能とSNSの活用で子連れにうれしい情報をお届け

ーー改めて、貴社の事業内容について教えてください。

逢澤奈菜:
主な事業は、子育てに役立つ情報が地図上に集まる口コミ情報プラットフォーム「iiba(イイバ)」の開発・提供です。子どもが生まれると、子連れにやさしい施設を自分で探さなくてはなりません。慣れ親しんだ地元でさえ、まるで知らない街のように感じられるものです。

「iiba」では、授乳室や遊び場はもちろん、保育園や小児科、習い事まで地図上で探せます。地図の中には、「ベビーカー可」「授乳室あり」「子供椅子あり」などの情報も網羅されているとともに、現在地から目的地までの距離がすぐに分かり、他の利用者の評価や口コミも確認できる点が魅力です。

2つ目の事業として、全国の自治体が手がける子育て支援情報のデジタル化を進めています。紙媒体で発行されたマップやクーポンを「iiba」で閲覧・利用できるようにするなど、デジタル技術で変革を促す観点から各自治体に課題解決策を提供しています。

また、おでかけ情報に詳しいインフルエンサーに弊社の活動を広める大使(アンバサダー)になっていただき、子育て世帯に情報を届けたい企業から広報や販売促進の案件も承っています。インフルエンサーのフォロワー総数は550万人に達し、「SNSは時にテレビCM以上の宣伝効果がある」とお客様からご好評いただいております。

ーー貴社の強みについて、どうお考えですか。

逢澤奈菜:
「iiba」のマップ機能とSNSでの情報発信力を掛け合わせている点です。マップ上で見つけたイベント情報に足を運ぶなど、利用者と情報や場所を結びつけられる画期的な仕組みになっています。

私たちは「子育て世帯が喜ぶサービス」を深く理解していると自負しています。「いい場がいい場所をつくっていく」という考えのもと、コンサルティングに近い取り組みも始めました。たとえば、さまざまな企業と連携し、工場見学や職業体験といった子どもが楽しめるイベントを実施しています。

「子育てはみんなでやるもの」社会を巻き込み新たなインフラの構築へ

ーー貴社の理念や社風について教えてください。

逢澤奈菜:
子育てを支援する会社なので、温かい、やさしいといったイメージを持たれがちですが、実際の社風は少し異なります。

もちろん社内は和やかですが、ただやさしいだけでなく、自身の目標と真摯に向き合う人が多いです。私たちのサービスや仕組みの利便性を評価した上で、「子育てはみんなでやっていくもの」というビジョンを共有した社員が集まっています。

投資家の中には「子育て支援事業は収益化が難しい」と考える人もおり、この領域は特定のニーズに特化していると見られがちです。しかし、弊社の事業は利用者と私たちだけで成り立つものではありません。自治体やあらゆる事業者など、子育て支援に関わるすべての人々を巻き込んでいくことが私たちの仕事です。社員も同様の考えで意識を高く保っています。

弊社はスタートアップとして、会社の成長を追求している状況です。会社が大きくなることで社会にインパクトを与えたい。だからこそ、成長の源泉となる売上を社員全員で意識しています。

ーー今後の注力テーマと展望をお聞かせください。

逢澤奈菜:
私たちが目指しているのは、場所・モノ・イベント・仕事といった、子育て世帯が選択に苦労している事柄を包括的に支える、国内最大のプラットフォームです。直近の大きな目標として、子育てをする方がより支援を受けられるような仕組みをつくり、国や自治体にも働きかけていきたいと考えています。

その実現のために、現在は採用を強化する段階で、営業チームの拡充やノウハウのマニュアル化に取り組んでいます。課題は、じっくり考えるよりもまず行動し、基本的な業務を確実に実行できる組織体制を築くことです。

お客様の期待は応えるものではなく、超えるもの。社内ではその考えから「ワオ!(驚き)」を生み出す営業が大事だと伝えています。「ワオ!」の連続が、会社の成長にもつながると考えています。

編集後記

「iiba」の本領を発揮するため、子育て世帯と関わるすべての人々に着目した逢澤氏。会社を支える社員や社会を巻き込み、ニッチとされる市場で新しい価値を生み出してきた。自治体や企業との連携が進めば、地域での子育て環境は良くなり、社会課題の解決に近づくことは間違いないだろう。

逢澤奈菜/1994年生まれ。大学卒業後、ブライダル会社に入社し、営業職を経験。株式会社リクルートの営業職を経て、2022年に株式会社iibaを創業。「子育てしやすい社会を目指し、新たな子育てインフラを構築する」をビジョンに掲げ、子育て特化のマッププラットフォーム「iiba」の開発・運営を行う。