※本ページ内の情報は2026年3月時点のものです。

「士業は地域密着型」という固定観念を打ち破り、いち早くリモートでの全国対応を確立した株式会社西河マネジメントセンター。監督官庁の違いから縦割りになりがちな補助金と助成金の双方に精通し、中小企業にとって最適な資金調達を一貫して支援する独自のスタイルを強みとする。この先進的なビジネスモデルの構築を牽引してきたのが、執行役員の石川高弘氏だ。同社が2026年1月より新たにリリースしたAIシステムは、申請業務の効率化に留まらず、事業承継や技術継承という根深い課題にも光を当てるという。日本のものづくり産業を元気にしたいと語る同氏に、事業にかける思いと今後の展望を聞いた。

士業の常識を打ち破る全国オンライン支援という挑戦

ーー多くの士業が地域密着型である中、なぜ全国展開に踏み切ったのですか。

石川高弘:
ビジネスは、他社がまだ手掛けていない領域にこそ勝機があると考えていたからです。士業の世界では、お客様のもとへ訪問するのが当たり前でした。しかし、地元に限定するとマーケットは非常に小さく、視野も狭くなってしまいます。その点、全国に目を向ければ、特に関東圏などには非常に多くのお客様がいらっしゃいます。そこで私たちは、約10年前から、完全にリモートで全国の企業様を支援する事業モデルの構築に着手しました。

ーーリモートでの全国展開は、どのように浸透させていったのでしょうか。

石川高弘:
当初は「なぜ訪問してくれないのか」というお声もいただきましたが、「訪問しなくても完結できるビジネスモデルを構築しています」と丁寧にご説明し、理解を得てきました。幸いにも、コロナ禍によりリモートが社会標準となりました。この時流が追い風となり、2020年からは私たちのスタイルで事業を大きく成長させています。

ーー貴社の強みはどのような点にあるとお考えでしょうか。

石川高弘:
補助金と助成金の双方を扱える点が、弊社の大きな強みです。通常、助成金は社会保険労務士、補助金は中小企業診断士や行政書士が扱うため、お客様は別々の専門家に依頼する必要がありました。たとえば、ある取り組みが補助金と助成金のどちらも活用できる可能性がある場合でも、片方の専門家しか知らなければ最適解を提示できません。

私たちは両方の知見を持っているため、お客様の状況に合わせて「どちらを活用すべきか」「どう組み合わせるか」といった最適なご提案が可能です。このワンストップ体制こそ、他にはない私たちの独自の価値だと自負しています。

中小企業のあらゆる課題に応える独自開発AIシステム

ーー現在、特に注力されている事業について教えてください。

石川高弘:
3年ほど前から始めた研修事業が、現在の事業の柱になっています。特に、国が推進しているリスキリングに関する研修が好調です。私たちは、この研修プログラムを全国100社以上の代理店と共に展開する仕組みを構築しており、多くの中小企業様にご活用いただいています。今後は、この研修事業を中心に据え、各事業の相乗効果を高めていく計画です。

ーー今後新しい支援システムをリリースする予定などはありますか。

石川高弘:
弊社が独自開発した「オタスケAI」というシステムの販売を開始します。これは、あらゆる経営課題の解決をサポートするAIアシスタントです。たとえば、自社がどのような補助金や助成金を受けられるかをAIに質問すると、国だけでなく都道府県単位のものまで含めて一覧で提示してくれます。さらに、専門家に依頼しなければ作成が難しかった事業計画書も、AIが提示する例題に沿って対話するだけで、自動作成できる機能を搭載しています。

ーー「オタスケAI」には、どのような機能があるのでしょうか。

石川高弘:
企業の知識やノウハウを管理するナレッジマネジメント機能が大きな特徴です。たとえば、職人技のような明文化されていない暗黙知もAIに学習させることで、新人教育を効率化できます。先輩社員が常に傍にいて指導に当たらずとも、AIが業務手順を指導してくれるため、教える側・教わる側双方の負担が減り、人間関係の悩みも軽減できます。この機能が、結果的に離職率の低下にも繋がるものと期待しています。他にも、採用関連の文章作成、セールスのロールプレイング、契約書のリーガルチェック、決算書分析など、50以上の多彩なメニューを用意しています。

日本のものづくりを未来へ AIで描く事業承継の新たな形

ーー「オタスケAI」はどのような企業の課題解決につながるとお考えですか。

石川高弘:
全ての業種に対応していますが、特に日本の基幹産業である製造業のお役に立ちたいという思いがあります。昨今、製造業では後継者不足が深刻化し、素晴らしい技術を持つ職人さんが引退すると、そのノウハウが失われてしまうケースが後を絶ちません。弊社が開発したAIが、そうした貴重な技術や知識をデータとして継承していく一助になればと考えています。

ーー事業承継において、AIはどのように貢献できるのでしょうか。

石川高弘:
これまで個人の頭の中にしかなかった属人的なノウハウをAIに集約し、会社の資産として可視化できます。たとえば「経理業務の全てはこのAIに入っている」という状態になれば、担当者が急に不在になっても業務が滞りません。

こうした仕組みは、M&Aの際に企業価値を算定する上でも有利に働きます。今後は、企業の資産価値を試算する機能や、M&Aに必要なリスクの精査を支援する機能も実装していく予定です。

ーー最後に、今後の事業における展望をお聞かせください。

石川高弘:
まずは「オタスケAI」を全国の中小企業様にお届けし、その価値を実感していただくことに全力を注ぎます。このシステムを通じて、特に事業承継や技術継承に悩む製造業を元気にしていきたいです。3年から5年後には、この「オタスケAI」が、多くの中小企業にとってなくてはならないツールになっている。そう確信しています。日本のものづくり産業の復活に貢献できるよう、これからも挑戦を続けていきます。

編集後記

士業の固定観念を壊し、全国の中小企業に寄り添ってきた同社。新サービス「オタスケAI」は、単なる業務効率化ツールではない。技術継承や事業承継といった、日本が抱える根深い課題に正面から向き合う、力強い一手といえる。石川氏が語った「製造業を元気にしたい」という言葉は、同社の明確なビジョンを体現している。このサービスが日本企業の未来にどう貢献していくのか、その飛躍に期待したい。

石川高弘/株式会社西河マネジメントセンターCEOおよび西河経営・労務管理事務所事業責任者。京都を拠点に完全リモートで全国1000社以上を支援し、補助金コンサルや外部CFOとして財務コンサルティングを手がける。脳科学と心理学を融合した「ニューロポテンシャル研修」をはじめ、DXやChatGPT関連のリスキリング研修に注力し、人材開発支援助成金の活用も積極的に推進。さらに、経営課題を解決する総合AIシステム「オタスケAI」の開発や、AIを用いた研修コンサル事業を展開している。今後は人的資本経営や「ビジネスと人権」といった重要テーマについて、中小企業への導入支援を強化していく。