※本ページ内の情報は2026年5月時点のものです。

マンション分譲を中心に、都市生活を提案し続ける株式会社サンウッド。近年は京王グループの一員となり、潤沢な資金力を背景にさらなる飛躍の時を迎えている。かつてトップダウンの色合いが濃かった同社は、2022年の新社長就任を機にボトムアップ型の組織へ変貌を遂げた。現場での長きにわたる営業経験と、組織の枠組みから離れ、一人で実務に向き合った期間を経て代表取締役社長に就任した森毅氏。これまでの歩みと、会社が目指す50年後の未来像をうかがう。

営業現場での10年と一人部署で見えた商売の本質

ーー社会人としてのキャリアはどのようにスタートされましたか。

森毅:
大学卒業後に新卒で不動産業界に入りました。30歳頃までは主にモデルルームに立つ営業職に就いており、約10年間、お客様と直接向き合いながらマンション販売の最前線で経験を積んできました。しかし、当時勤めていた支店が、バブル崩壊の煽りを受けて閉鎖。それに伴い、私は一度会社を退職することになったのです。

ーーその後、サンウッドへ入社された経緯を教えてください。

森毅:
退職後に前職の仲間たちと新たな会社を立ち上げ働いていたのですが、サンウッドとは土地売買の取引先として深いご縁がありました。当時、創業して間もなかったサンウッドは新たな人材を求めており、仲介業務を通じた私の仕事ぶりを評価していただいたことがきっかけで「うちに来ないか」と声をかけてもらったのです。こうして2000年に正式に入社して以来、20年近くにわたり用地の仕入れといったフロント業務の最前線に従事してきました。その後、2022年に代表取締役社長へ就任することとなります。

ーーこれまでのキャリアの中で、大きな転機となった出来事はありましたか。

森毅:
45歳頃に経験した「一人だけの部署」での2年間が、私にとって最大の転機でした。当時は新しい挑戦に慎重な体制に対し、仕事に対して強い閉塞感を抱いた時期です。自ら「土地に関わる部署から異動させてほしい」と申し出ました。ところが、当時のトップから返ってきたのは「土地の仕事のまま、一人でやるなら、何をやってもいい」という意外な通告だったのです。結果として、誰の干渉も受けずに実務に向き合う、特殊な環境を与えられることになりました。

この時期、組織の枠に縛られず自由に物件と向き合う中で、「こうすればこの物件はもっと儲かるのではないか」という商売の本質を掴む感覚が研ぎ澄まされました。斜に構えていた自分が、自らの視点で価値を見出す手応えを知り、後の社長就任にもつながる「俯瞰して見る力」を養えたことは、キャリアにおける極めて重要な転換点となりました。

デザイン力とボトムアップ型組織がもたらす変化

ーー貴社の強みは、どのような点にあると考えていますか。

森毅:
私たちの強みは、デザイン力にあります。外部の方からも「サンウッドのマンションは外観が非常にかっこいい」と高く評価していただくことが多く、広告を出した際の反響にも手応えを感じています。このデザインへのこだわりが強固なブランド価値となり、お客様に選ばれる理由の一つになっています。

ーー社長に就任されてから、社内の雰囲気に変化はありましたか。

森毅:
かつてのサンウッドは、トップダウンの気風が強い組織でした。しかし、現場の活力を引き出すためにはボトムアップ型への転換が不可欠です。そのため現在では、物件の取捨選択について現場の責任者に大きく権限を委ねています。彼らが「やりたい」と判断したものについては、基本的に任せるルールにしました。こうした取り組みを通じ、社風は以前よりも格段に明るくなり、若手社員が自発的に意見を出し合える活性化した組織へと変化しています。

京王グループ入りによる資金力の拡大と第2の柱

ーー2024年に京王グループの一員となって、会社にはどのような影響がありましたか。

森毅:
計り知れないほど大きな変化でした。独立系デベロッパー時代は資金調達を自前で行う必要があり、挑戦できる規模に限界がありました。しかし、グループの一員となったことでグループファイナンスを活用できるようになり、資金調達能力は以前の数十倍にまで拡大しました。今まで手が出せなかった大規模なプロジェクトにも、積極的に挑戦できるステージへと引き上げられたのです。

ーー豊富な資金力を背景に、今後はどのような展開をしていく予定でしょうか。

森毅:
現在の主力であるマンション分譲事業に加え、事業の第2の柱を育てたいと考えています。具体的には、ホテルコンドミニアム領域への進出です。人口減少や市場の変化を見据え、既存の事業にとどまらず、時代に合わせた新たな価値を提供していく必要があります。

その戦略として、海外のマーケットを見据え、外需を取り込む知見を持つ企業などとのジョイントベンチャー(JV)を模索しています。いきなり単独ですべてを行うのではなく、協業によってまずは販売網やノウハウを蓄積する。将来的には、そこで得た経験を分譲マンション事業にも還元し、より幅広いお客様に価値を届けていきたいですね。

仕事は「螺旋状のつながり」次世代へつなぐ未来

ーー若手社員の育成については、どのような思いを持っていますか。

森毅:
若手社員には「仕事は螺旋状のつながりだ」といつも伝えています。仕事は一過性のものではなく、すべてがつながっている。1年目に経験したことや壁にぶつかったことは、その場では意味がわからなくても、数年後に必ず形を変えて目の前に現れます。点と点に見えていたものが、実は螺旋階段を上るようにつながっており、過去の経験が必ず活きる時が来るのです。だからこそ、目の前の仕事を俯瞰して捉え、大切に取り組んでほしい。そうした視点を持てば、仕事はもっと楽しく感じられるはずです。

ーー最後に、会社としての将来のビジョンをお聞かせいただけますでしょうか。

森毅:
私たちが目指しているのは、50年後もこの東京の地で確固たる存在感を放つ、老舗デベロッパーになることです。「東京のことならサンウッドが一番よく分かっている」と言われるような、信頼される地位を確立したいと考えています。そのために、これまでの経験とグループの相乗効果を最大限に活かし、社員とともに新たな挑戦を続けていきます。

編集後記

長年の営業現場やフロント業務で培われた鋭い感覚と、一人部署で養われた「俯瞰する力」。森氏の言葉からは、不動産ビジネスの本質を見抜く冷静さと、事業への熱い思いが伝わってきた。独立系デベロッパー時代の強みであったデザイン力に、京王電鉄グループという強力な資金力が加わった現在のサンウッド。ボトムアップで活気づく社内から、今後どのような革新的なプロジェクトが生まれ、東京の街を彩っていくのか。ホテルコンドミニアムという新たな柱とともに、都心の老舗デベロッパーへと歩みを進める同社の未来から目が離せない。

森毅/1967年4月4日生まれ。1990年4月にアーバンライフ販売株式会社に入社。その後、1997年4月に東京アーバンライフ販売株式会社、2000年4月に昌立地所株式会社を経て、2005年3月に株式会社サンウッドへ入社。同社においては、2017年4月に開発本部開発部長、2019年6月に執行役員開発本部長、2021年6月に取締役開発本部長と開発部門の要職を歴任。新たな経営体制への移行と事業環境の変化に迅速に対応するため、2022年6月23日をもって同社代表取締役社長 兼開発本部長に就任した。