
「資産運用のあり方をデザインし、未来への想いに貢献する」をミッションに掲げる株式会社パートナーズ。同社は不動産売却事業を軸に保険事業など資産運用全般をカバーする総合アドバイジング企業だ。
2011年の設立以来、14期連続の増収増益を達成し、アジア太平洋地域の急成長企業にも選出されるなど実績を築いてきた。人と向き合う姿勢と最新テクノロジーの融合で、さらなる飛躍を目指す代表取締役社長CEOの吉村拓氏に話をうかがった。
挫折と学びを経て、起業を決意
ーー起業までの経歴を教えてください。
吉村拓:
私は大学卒業後、不動産業界に飛び込みました。入社式で「一番売上を出します」と宣言したものの、最初の半年間は売上が全くあがりませんでした。毎日朝から夜遅くまで働き、必死に努力を重ねましたが、それでも成果には結びつかず、当時の私はその結果を、商品が時代に合っていない、営業の仕方が合っていないなど外部環境のせいにしていました。
そんな時、尊敬する上司に食事に誘われ、いろいろと話をした際に自分の至らなさに気づかされたのです。余計なプライドを捨てて、経験豊富な先輩方の話に耳を傾け、素直に学ぶ姿勢に転換したところ、徐々にお客様に選んでいただけるようになっていきました。この経験から学んだ「素直・謙虚・努力・感謝」という価値観は、弊社の行動指針の基礎となっています。
ーー起業を決意した経緯をお聞かせください。
吉村拓:
2011年の東日本大震災での経験が大きな転機となりました。ボランティアで被災地を訪れた際、仮設住宅に移らず、被災した自宅に残る高齢の方と出会いました。その方は「家族全員をここで亡くした。自分もここで終えたい」とおっしゃり、その言葉を聞いたときに人生の儚さを実感したのです。
その1年前には、私自身も親しい後輩を病気で亡くしており、この2つの出来事が重なって「自分も明日死ぬかもしれない」という思いを強く感じました。こうした経験から、安全なところに留まるのではなく、「本当にやりたかった会社経営に挑戦しよう」と決意したのです。
これまでに培った投資不動産での経験を活かせば、どんな大手企業が相手でもお客様に選んでいただける自信があったので、資産運用の総合アドバイジングカンパニーとして弊社を立ち上げました。
年平均56.9%の成長率を実現する組織の力

ーー貴社の事業内容について教えてください。
吉村拓:
弊社は「資産運用のあり方をデザインし、未来への想いに貢献する」をミッションに掲げ、不動産売却事業を主軸として、保険事業など資産運用全般をカバーする事業を展開してきました。
不動産業界の競合他社のCAGR(年平均成長率)が10〜20%のところ、弊社は2022年から2024年にかけて56.9%という驚異的な数字を記録しています。不動産業界は男性が多数を占めているといわれてますが、弊社では女性が3割を占め、平均年齢28歳と若い世代が活躍しています。こうした多様性と若さが、業界平均を大きく上回る成長率を実現しているのでしょう。
また、弊社は、GAテクノロジーズのグループ会社として、同社が運営する不動産投資サービス「RENOSY(リノシー)」の売却部門を担っています。「RENOSY」は、これまでは対面かつ、紙ベースだった不動産取引をオンライン完結で一気通貫のサービスを提供し、脱ハンコなどをはじめとする顧客体験の向上やコスト削減を同時に実現しています。
また、今までにない売り手と買い手を繋ぐマッチングプラットフォームとして新しい価値を提供しています。加えて、2024年4月には「LOVE & TECHNOLOGY」というブランドメッセージを掲げてリブランディングを実施しました。人と向き合うリアルな部分と、最新のテクノロジーを組み合わせることで、不動産業界の常識を覆す革新的なサービスを提供することを目指しています。
ーーテクノロジーの活用ではどのような成果が出ていますか?
吉村拓:
社内では業務改善のためにSaaSなどを活用し、年間約30,000時間の削減にも成功しました。今後は人が行っていた業務の8〜9割をテクノロジーで代替し、残りの1割を人だからこそできる付加価値の高い業務に集中させていく方針です。
誠実な人材が活躍できる環境を目指して
ーー貴社が求める人材像についてお聞かせください。
吉村拓:
弊社は「粋に生きる、愛と本気の11か条」という行動指針を設定しており、これを日々意識して行動できる人材を求めています。たとえば、「未来をとらえ進化せよ」「愛する⼈のために働く」や「人間力を磨こう」などの11項目で、いずれも弊社の企業文化を象徴する大切なものです。この指針に忠実な人材は必ず成長します。
加えて、特に重要なのは「素直・謙虚・努力・感謝」という4つの価値観です。私たちは資産運用という、お客様の人生に大きく関わる仕事を担っています。それだけに、軽はずみな対応は許されず、価値観を共有できる仲間との協力が不可欠です。そのために、定期的な1on1ミーティングを実施し、お互いの考えや課題を共有しながら成長できる環境づくりに力を入れています。
ーー今後の展望について教えてください。
吉村拓:
弊社が目指しているのは、GAテクノロジーズグループとして世界のトップ企業になることです。しかし、それは事業の成長だけを意味するものではありません。どんなに素晴らしい目標を達成できたとしても、それを成し遂げた社員が幸せでなくては意味がないのです。そのために、人事企画部門を設置し、社員がやりがいを感じられるように、組織開発にも注力しています。
私たちは、不動産投資をより身近なものにすることを目指し、主にコンパクトマンションを取り扱ってきました。今後も取り扱う不動産の幅を広げ、多様なニーズに対応していく予定です。また、総合資産運用アドバイジングカンパニーとして、より多彩な資産運用の選択肢を提供し、お客様が投資の可能性を広げられるような機会を創出してまいります。
編集後記
新卒時代の挫折を経て得た価値観が、今でも同社の行動指針の基礎となっている。そこには、人として当たり前のことを大切にする吉村社長の経営哲学が垣間見える。不動産取引の電子化や、テクノロジーの力で着実に成果を上げながらも、人との関わりを疎かにしない。そのバランスのとれた経営姿勢に、同社の真価を見た思いがした。

吉村拓/駒澤大学卒業後、不動産業界でトップセールスとして活躍。2011年に株式会社パートナーズを創業し、代表取締役社長CEOに就任。資産運用総合アドバイジング企業として「リアル(人間力)×テクノロジー」を武器に創業以来、増収増益を続けてHigh-Growth Companies Asia-Pacificや、3年連続Great Place To Work ベストカンパニーに選出され、注目を集めている。