
宝飾品の営業として活躍した後、美容業界へ転身した経歴を持つ株式会社Plan S代表取締役の石井誠一氏。現在はアイラッシュサロン運営、メーカー業、コンサルティング業の3柱で事業を展開する。石井氏の経営の根底にあるのは、現場の技術者(サロンワーカー)たちへの「LOVE&RESPECT」だ。自社製品が人気を集める裏で、現在同社が注力するのが不正転売の撲滅である。「サロン専売品の価値を守り、ブランドを育ててくれた技術者へ恩返ししたい」と語る石井氏に、これまでの歩みと展望をうかがった。
宝飾品の営業から美容業界へ職人へのリスペクトが原点
ーー美容業界で起業される前は、どのようなキャリアを歩まれてきたのでしょうか。
石井誠一:
宝飾品の営業マンとして10年近く働いていました。その後、当時の会社が時代に合わせた方向転換としてネイルサロンを立ち上げることになり、私もその事業に携わることになったのが美容業界との出会いです。
ーー美容業界に転籍されてからはどのような課題にぶつかりましたか。
石井誠一:
数字がすべての営業の世界とは違い、職人である女性技術者をマネジメントし教育することには難しさを感じました。当時の苦労を通じて、確かな技術を持つ職人の方々に対するリスペクトの念が強く芽生えたのです。その思いを胸に、30歳を迎えた年に独立し、表参道でまつ毛エクステサロンをオープンしました。当時は手探りで、女性アイリストたちの教育の難しさに改めて直面しましたが、真摯に向き合い続けました。現場のプロフェッショナルへ敬意を払う姿勢は、今でも私の経営の根幹にあります。
現場の生の声が最大の武器「LOVE&RESPECT」を掲げる理由

ーー改めて、現在の事業内容と貴社ならではの強みについてお聞かせください。
石井誠一:
現在はアイラッシュサロンの運営にとどまらず、自社製品を開発するメーカー業、そしてコンサルティング業も展開しています。私たちの最大の強みは、メーカーでありながら、グループで表参道や恵比寿にサロンを構え、自ら運営している点です。現場の最前線で働くアイリストたちのリアルな意見やお客様の声をダイレクトに拾い上げ、製品開発に活かすことができます。現状の現場が抱える課題を肌で理解できるのは、自社サロンを抱えているからこそですね。
ーーなぜ現場の声を大切にするのでしょうか。
石井誠一:
メーカーとして化粧品をつくる際、その良し悪しを正確に判断してくれる現場のプロの力が不可欠です。私の名刺にも「LOVE&RESPECT」という言葉を入れているように、彼女たちへの愛情と尊敬は常に忘れないようにしています。そういった姿勢が「サロンファースト」のサービスに直結すると考えています。業界に長く身を置いているため、同じように悩むサロンオーナーから人材教育や集客のご相談を受けることも多いですね。
サロン専売品を守り抜く育ててくれた技術者たちへの恩返し
ーー今、貴社が最も注力されている取り組みは何ですか。
石井誠一:
現在の一番の課題であり、最も力を入れているのが「転売対策」です。ありがたいことに自社製品をご好評いただき、多くの方に支持されています。しかし本来サロン専売品として卸している商品が、ネット通販等で不正転売されているのです。これをどうにかして撲滅するための取り組みを進めています。
ーー転売は具体的にどのような問題を引き起こすのでしょうか。
石井誠一:
品質管理の観点でお客様のリスクになるのはもちろんですが、最も大切なお取引先の利益を大きく損なってしまいます。大々的な宣伝をしてこなかったにもかかわらず商品が売れるようになったのは、ひとえに現場のアイリストの皆様のおかげなのです。
だからこそ、ここまで育ててくれたサロンの方々に恩返しがしたい。転売を防ぐための流通の交通整理を徹底するとともに、私たちが主体となってブランディングやマーケティングを強化します。「黙っていても売れる」強いブランドへと育て上げていくことが、最大の恩返しになると信じています。
ーー最後に、これから一緒に働きたい人物像について教えてください。
石井誠一:
採用基準は明確で、誠実な人に来てほしいですね。たとえば、在庫管理ひとつをとっても、ルールを無視して転売しようと思えばできてしまう環境かもしれません。しかし、それを絶対にやらないという信頼関係のベースが何よりも重要です。常に穏やかで、ずるいことをせず、誠実に仕事に向き合える仲間とともに、会社の次のステージをつくり上げていきたいです。
編集後記
現場の技術者たちへの深いリスペクトを原動力に、事業を牽引する石井氏。自社の利益だけでなく、業界全体や提携サロンの未来を見据えて「転売対策」に本気で取り組んでいる。その姿勢からは石井氏の強い責任感と誠実さがひしひしと伝わってきた。育ててくれた現場の技術者たちへの恩返しとして、強固なブランド構築を目指す株式会社Plan Sのさらなる躍進から目が離せない。

石井誠一/1975年千葉県出身。高校卒業後、アパレルや飲食店などの販売員、宝飾品の営業マンを経て、30歳で独立。2006年10月、表参道に当時は珍しかったまつ毛エクステサロンをオープン。翌年、株式会社Plan Sを設立し、化粧品メーカー業も開始する。