※本ページ内の情報は2026年6月時点のものです。

19期連続増収黒字、2019年に東証マザーズ(現グロース)上場を果たしたブランディングテクノロジー株式会社。総合広告代理店によるベンチャー買収など寡占化が進んでいるIT・広告業界において、同社は中堅・中小企業向けのブランディング、デジタルマーケティング伴走支援領域で独自の存在感を放つ。20代中盤という若さで起業し、数々のシビアな局面を突破してきた代表取締役の木村裕紀氏。同氏が語る、AI時代にこそ求められる「人」の介在価値と、次世代リーダーたちが躍動する連邦型組織の展望に迫った。

「大変なのに儲からない」現場作業から這い上がった20代

ーーまずは、起業に至るまでの原体験からお聞かせください。

木村裕紀:
原点にあるのは、「必ず今日より明日と成長していきたい」という強い向上心、いわばハングリー精神です。私は大学を中退した後、一時期建築系の現場で働いていました。マンションの修繕などで高所に上ることもあったのですが、ある休憩中に屋上で求人誌を眺めながら痛烈に感じたんです。「この業界で独立を考えていたが、過酷な環境で汗を流しても、2次請けなど下請け構造の仕組み上あまり儲からないな」と。

「こんなに大変なのに儲からないなら、当時伸びている産業に飛び込んで修行しよう」。そう決意して、稼げると直感した営業系のIT企業へ飛び込みました。その後、25歳で個人事業で独立し、27歳で今の前身となる会社に出資してCOOとして参画しました。そこからの3年間は無我夢中で走り抜け、結果的に売上高を3億円から20億円規模へと急成長させることができました。

2009年4月から社長を引き継ぐことになったのですが、あの建築現場で感じた「這い上がってやる」という情熱と向上心が、今でも私のブレない原動力になっています。

ーーそこから上場までは、順風満帆だったのでしょうか。

木村裕紀:
決して平坦な道のりではありませんでした。2019年に上場を果たしましたが、その裏には数え切れないほどの壁がありました。

特に苦しかったのは2014年頃ですね。創業メンバーの独立などが重なり、離職率が25%にまで跳ね上がりました。業績的にも当然厳しく、本当にシビアな局面でした。でも、そこで歩みを止めるわけにはいきません。新たな経営陣を育成し再成長するという意志をもち、そこから3年という時間をかけて、組織の仕組みを根底から丁寧につくり直したんです。「絶対に立て直す」という執念があったからこそ、今の連邦型経営組織の基盤ができたのだと考えています。

ーー大手がひしめく業界で、貴社が生き残り続けられる理由はどこにありますか。

木村裕紀:
一言で言えば、「伴走支援型」のパートナーシップを徹底的に貫いているからです。私たちは、単なるWeb制作や一過性の広告運用といった受託業務で終わらせるつもりは毛頭ありません。

中堅・中小企業様をはじめ、歯科医院や住宅不動産業界といった特定業界の経営者様と「共存共栄」の理念を土台に「人対人」で深く向き合います。私たちはこれを「自然体経営」と呼んでいます。たとえば、20年以上お付き合いのある歯科医院のお客様は、業界トップクラスの成功を収められていますが、先日30周年を迎えられた翌月に「過去最高の売上高を達成した」と嬉しいご報告をいただきました。

小手先のテクニックではなく、中長期的な視点でお客様の事業成長に責任を持ち、タッグを組んで共に歩む。この理念に根差した企業姿勢こそが、大企業による大手市場での寡占化が進む市場においても、私たちが中堅・中小企業市場で独立を保ち、選ばれ続ける理由となっています。

AI時代だからこそ際立つ「ヒューマンタッチ」の絶対的価値

ーー人付き合いを重視される一方で、AI技術の導入にも力を入れている理由を教えてください。

木村裕紀:
人間が「ヒューマンタッチ」の領域に集中するためです。現在、外部のAI専門企業と資本業務提携し、AIエージェントの開発に積極的に投資しています。目的は人を減らすことではありません。競合分析やレポート作成、制作業務など、標準化できる作業はどんどんAIに任せる。そうすることで生み出された時間を、人間はお客様との会食や、深い業務課題の解決といった高度な信頼関係の構築に充てることができるようになります。AI技術が進歩して便利になればなるほど、人間同士の「信頼関係」という本質的な価値がより一層際立ってくると考えています。

ーーそんな貴社で働く若手社員にとっての「最大の魅力」は何だとお考えですか。

木村裕紀:
若いうちから、企業のトップと直接ひざを突き合わせて商談し伴走支援できる。これに尽きますね。私たちのお客様の多くは、中堅・中小企業の経営者や開業医の方々です。彼らの経営理念を言語化し、事業成長、マーケティングの仕組みづくりまで深く入り込むため、若手であっても経営者視点でのビジネス視座が身に付きます。同時に、気後れせず堂々と提案できるサポート体制も整えています。営業プロセスのパイプライン管理を徹底し、オンライン商談のAI議事録を活用してファクトに基づくフィードバックを行うなど、属人化しない仕組みをつくりました。さらに、経験豊富なマネージャー陣が目標管理制度に基づき、個別の面談を行うなど、実務を通じた手厚い教育投資を行っています。この「挑戦」と「サポート」のバランスが、自立し、成長できる環境をつくっていると自負しています。

超スピード抜擢 「グループ内に経営者」が次々と生まれる連邦型組織

ーー次世代を担う若手社員には、今後どのような活躍の場が用意されていますか。

木村裕紀:
年齢や社歴は関係ありません。若くして経営を担うポジションをどんどん用意しています。実際に、2014年に新卒入社した社員が、32歳という若さで事業を牽引する役員に就任したケースもあります。今、弊社は専門領域ごとに会社を分ける「グループ連邦型経営」を推進しています。ちょっと大袈裟な表現となりますが、私は全体を支援する“大統領”のような立場で、各事業を統括する“州知事”のようなポジションをグループ会社の社長や役員に任せています。今後数年で事業ユニットを増やし、10年後には15社から20社規模へと拡大する予定です。グループが拡大すれば、次世代のリーダーが経営陣として活躍できる機会はさらに増えていくはずです。

ーー最後に、求める人物像についてお聞かせいただけますか。

木村裕紀:
ビジネスとして「いかに儲かるか」ではなく、「先義後利」でお客様である社長に喜んでいただくことにやりがいを感じられる方に来ていただきたいです。中堅・中小企業の社長に伴走し、顧客が伸びる仕組みや独自の強みを共につくり上げます。単発の取引ではなく、中長期的な視点でお客様の会社を成長させていく道のりです。お客様と共に成長する喜びを共有し、真剣勝負の中で自らの介在価値を感じられる方。そんな仲間と共に、新しい挑戦を続けていきたいと考えています。

編集後記

「今日より明日と成長していきたい」という原点のハングリー精神を原動力に、力強く道を切り拓いてきた木村氏。そのブレない向上心があるからこそ、顧客と深く向き合い、共に事業を伸ばして利益を分かち合う「伴走支援」の姿勢が生まれたのだろう。AIによる業務効率化の目的を「より人間的な関わりへ注力するため」と言い切る姿には、デジタル時代であっても変わらぬ「人」への深い信頼が窺える。次々とグループ会社の経営トップを生み出す連邦型組織の中で、次世代のリーダーたちがどのような旋風を巻き起こすのか。同社のさらなる飛躍が楽しみだ。

木村裕紀/1977年神奈川県出身。ブランディングテクノロジー株式会社代表取締役社長兼グループCEO。國學院大學中退後、創業期ITベンチャーでの新規事業立ち上げや部長職を経ての独立。「ブランドを軸に中堅・中小企業様のデジタルシフトを担う」を掲げた、ブランド・デジタルマーケティング等による事業成長支援。2019年6月21日、同社の東証マザーズ上場。