※本ページ内の情報は2026年7月時点のものです。

1992年に大学を卒業後、総合商社に入社し、長年鉄鋼製品の流通や事業投資に携わってきた北村京介氏。数十年来の付き合いがあった京葉ブランキング工業の創業者からバトンを受け継ぎ、2026年に代表取締役社長に就任した。同社は鉄鋼の中間加工業者として、独自の設備ラインナップと蓄積された技術力を武器に多岐にわたる産業サプライチェーンの一翼を担っている。強力なトップダウンで成長してきたオーナー企業を「社員が自ら考え歩く自立自走型組織」へと導く北村氏に、これまでの歩みと今後のビジョンを聞いた。

総合商社で学んだ「知恵の絞り方」と若き日に見た創業者の背中

ーーまずは、これまでのご経歴についてお聞かせください。

北村京介:
1992年に大学を卒業後、総合商社に入社しました。「簡単には理解出来ない業種だからこそ、毎日新しい発見があって面白そう」と感じたことが入社の経緯です。入社当時、情報力・資金力以外に実業としての確固たる武器を持っていなかった商社において、足りない要素は何か。何を武器にしてどう収益化していくのか。そういった「知恵の出し方」や「頭の絞り方」と日々向き合えることは、私にとって非常に刺激的でした。鉄鋼関連事業投資にも長年従事し、事業のスクラップ&ビルドを繰り返しながら新陳代謝を維持継続させる経験を積みました。

ーー貴社へ入社した経緯を教えてください。

北村京介:
弊社とは、私が総合商社に入社した直後の1993年頃から接点がありました。創業者は、一代で弊社を飛躍的に成長させた辣腕で、同時に非常に厳しい経営者でもあります。社会人駆け出しの私から見ると「とても真似できない、ついていけない」と感じるほどの熱量を持っていたのです。そうして数十年のお付き合いを経たのち、昨年縁有って弊社へ就職、弊社の事業形態も或る程度は理解していましたので、今年3月社長就任をお引き受けした次第です。

広範な業界と接点を持つ「中間加工」の強みと一流企業に対峙するスピード感

ーー改めて、貴社の事業概要と強みについて教えてください。

北村京介:
弊社は、鉄鋼の中間加工業を主軸として展開しています。かつてはOEMで最終製品まで手がけていた時期もありましたが、現在はこの中間加工に特化しています。なぜならこの領域こそが、私たちが最も存在価値を発揮できるポジションだと考えているからです。中間加工の強みは、お取引先となる対面業界が非常に広範である点にあります。具体的には自動車をはじめ、建築、土木、建設・産業機械、容器、造船など、多岐にわたる業界に向けて中間部品を加工・製造しています。特定の業界に過度に依存しないため、強靭な販売ポートフォリオを構築できていることが特徴です。直接最終製品をつくるわけではありませんが、多岐にわたる産業セグメントと接点を持ち、それぞれの分野に於いて様々な形で貢献出来る点は、中間加工ならではの特筆すべき遣り甲斐だと考えています。

ーー多くの一部上場企業と取り引きをされていますが、心がけていることは何ですか。

北村京介:
一流企業とお付き合いする以上、私たち自身も一流でなければならないということです。そのためには、指示待ちではなく「自分で考える癖」をつけることが重要です。弊社には20名以上の工学部出身者が在籍し、彼らが中心となってバラエティに富んだ「技術営業」を展開しています。お客様から厳しい仕様の要求があっても、出来る限り対応可能との解を見出す努力を実践し、と同時に時にはより効率的・効果的と思われる遣り方をお取引先にカウンター提案する。そしてこう言ったパフォーマンスを短時間且つ精緻にアウトプットする。口幅ったいですが、これが弊社の強みであると整理しています。

「自分で考える組織」が会社を自動的に成長させる

ーー社長としてどのような組織づくりを目指していますか。

北村京介:
今後のビジョンに「従業員のエンゲージメント強化」と「リーダーの育成」の2つを掲げています。エンゲージメント強化とは、シンプルに言えば「自分が所属している会社を愛してもらう」ことです。待遇面での還元はもちろんですが、会社に定期的な有形無形の変化を起こし、愛社精神を育む刺激を与えていきたいと考えています。

また、リーダー育成においては「自分で考える文化」をつくることが目標です。これまでの良さは残しつつ、社員が自分の足で歩けるようにしたいですね。弊社の社員はもともと非常に高いポテンシャルを持っています。だからこそ、私から一方的に指示を出すのではなく「あなたはどうしたいの?」と問いかけることで、彼らが自ら考え、発言できる「ポテンシャルの箱」を開けていくような感覚で向き合っています。

ーー最後に、中長期的な展望を教えていただけますか。

北村京介:
社員同士で常に自由闊達な意見が飛び交う会社にしていきたいと考えています。全体最適の下、社員一人ひとりが責任と自覚を持って提言できる環境が整えば、会社も自然と成長していくはずです。また、かつて海外に事業拠点があった時期もありました。ゆくゆくは再び海外事業展開にも挑み、グローバル経済の一端にも触れてみたいと朧気ながら夢見ています。

編集後記

総合商社で培った「知恵を絞る」力と、長年傍で見てきたオーナー企業への畏怖の念。北村社長の言葉の端々からは、これまでのトップダウンの歴史を否定するのではなく、その土台の上に「自立」という新しい芽を育てようとする強い意志が感じられた。「一流の企業には一流で返す」という矜持と、それを支える技術者集団の精緻かつ迅速な対応力。自ら考え行動する社員が一つ一つポテンシャルの箱を開けていく京葉ブランキング工業が、今後どのような成長を遂げ、羽ばたいていくのか、その行く末が楽しみだ。

北村京介/1968年、兵庫県姫路市生まれ。東京大学法学部卒業。1992年、総合商社に入社後、主に鉄鋼製品のトレーディング・事業投資関連業務(M&A、グリーンフィールドからの立ち上げ、撤退作業など)に携わる。総合商社の事業投資先社長を経て同社退職後、2025年3月に京葉ブランキング工業株式会社に入社。約1年間営業管掌業務を担った後、2026年3月に代表取締役社長に就任。現在「質的成長」をキーワードに事業運営を牽引中。