※本ページ内の情報は2026年7月時点のものです。

中学生の頃から経営者を志していた佐々木一真氏は現在、インターナショナル保育園を中心に全22施設の教育福祉施設の運営事業を手掛ける株式会社リトルガーデンの代表取締役CEOを務めている。同社は教育・保育・療育を三本柱に据え、独自の農業法人「LC(エルシー)ファーム」を活用した食育や、リトルガーデングアム校との海外拠点連携など、既存の枠にとらわれない施策を次々と打ち出す。「10年後に年商100億円」という目標の裏にある「ソーシャルインパクト」への熱い思いと、これからの保育・教育のあり方に迫った。

大河ドラマで描いた経営者の夢と突然の家業入り

ーー経営者を志したきっかけはどのようなものでしたか。

佐々木一真:
中学生の頃に見た『龍馬伝』という大河ドラマが原点です。そのドラマ内で、主人公の坂本龍馬が日本で初めて株式会社をつくった歴史的背景や、そのストーリー性に強く惹かれました。加えて、父が経営者であり、経営が身近な環境だったことも理由の一つです。実際、中学校の卒業文集にも将来の夢は「経営者」と明確に書いていましたね。

ーー貴社に入社した経緯をお聞かせください。

佐々木一真:
もともとは金融機関などに関心を持ち、関西の大学で就職活動を進めていました。しかし大学4年の6月ごろ、最終面接を控えていた時期に母が病に倒れ、状況が一変したのです。病院へ送迎するなど家族のサポートが必要になり、地元に戻ることを決断しました。「将来は経営者になりたい」という昔からの目標と、「父の会社で働く」という選択肢がここで重なり、その年の秋に家業のリトルガーデンに入社したのです。

「教育・保育・療育」の三本柱と「エルシーファーム」がもたらす価値

ーー貴社の事業の強みについて教えていただけますか。

佐々木一真:
強みは大きく2つあります。1つ目は、インターナショナル保育園からアフタースクールまで、幼児期から小学生まで一貫した英語教育を提供できる体制です。当園では外国人の先生を通常よりも多く配置しています。遊びなどの日常生活を通じて、自然と英語を身につけられる環境と幼少期の頃から異文化交流を通じた国際感覚を養う環境があります。2つ目は、療育施設を自社で運営している点です。未就学児を対象とした児童発達支援に加え、小学生以上を対象とした放課後等デイサービスも開始しました。これら教育、保育、療育の3つを統合した「総合子育て支援」を展開できることが強みです。

ーー貴社独自のサービス展開についてお聞かせください。

佐々木一真:
私たちは、認可・認可外・企業主導型といったさまざまな施設形態でインターナショナル保育園を展開しており、保護者様の多様なニーズに合わせた環境で、幼少期から日常生活の中で自然と英語が身につく独自の教育プログラムを提供しています。

さらに、英語教育と並ぶ独自サービスとして「体験型の食育」を展開しています。子どもたちに種植えから収穫までの体験を届けるため、2020年には農業法人「LCファーム」を千葉県八街市に立ち上げました。自治体との交渉や農作業の実績づくりなど立ち上げには苦労もありましたが、厳しい要件をクリアして農地所有適格法人の認可を獲得しました。今後は英語教育の質をさらに高めるとともに、この自社農園を活用した食育体験の場を一層広げ、子どもたちの豊かな学びと健やかな成長を支えていきたいと考えています。

世界基準のプログラム導入で新たな価値を

ーー新たな施策にはどのようなものがありますか。

佐々木一真:
まずは現在の保育園があるエリアを中心に、アフタースクールや療育施設を増設し、一貫した支援体制を面で広げていくことが第一目標です。その上で、教育の質をさらに高めるために、弊社の認可外保育園を中心に、現在、世界基準の教育プログラム「国際バカロレア」プログラムの導入を進めています。現在は最終的な調整段階に入りました。

目指すのは「ソーシャルインパクト」 視野を広げる社内制度とは

ーー採用活動や社内制度についてお聞かせください。

佐々木一真:
弊社独自の認定制度として「バイリンガル保育士」を設けています。これは、保育士資格と一定の英語力を持つスタッフを正当に評価する仕組みです。福利厚生としてオンライン英会話を導入し、全社的に英語に触れられる環境を整備しました。

また、外国籍の講師も配置しているため、一般的な保育園よりスタッフ数にゆとりがあります。現場の負担軽減に加え、ITツールの積極的な活用で事務作業を短縮し、「子どもと向き合う時間」を増やす環境づくりに注力しています。ただ、私たちが本当に大切にしているのは「視野を広げること」です。自分のいる世界だけが正しいという固定観念にとらわれず、客観的な視点を持ってほしいと考えています。そのため、今年からグアム拠点での海外研修もスタートさせる計画です。日本と海外の保育を肌で比較し、スタッフ一人ひとりの視野が広がることを期待しています。

ーー最後に、今後の展望をお願いします。

佐々木一真:
中長期的な目標として、10年後に年商100億円の達成を掲げています。これは単なる売上高の目標ではなく、社会に「ソーシャルインパクト」を与えられる企業規模になるための最低ラインだと思っています。保育園を運営する中で、外国籍の方の受け入れ先不足や、働く女性のキャリア形成など、多様な社会課題に直面します。これらを一企業として変革していくには、相応の規模が不可欠です。教育・保育・療育の三本柱をさらに強化し、社会課題を解決できる会社を目指して挑戦を続けていく決意です。

編集後記

中学生の頃から経営者を志し、20代で家業へ飛び込んだ佐々木社長。その歩みは常に「社会にどのようなインパクトを与えられるか」という視点に貫かれている。独自の農業法人設立や、グローバルな視野を養う社内制度など、既存の保育業界の常識にとらわれない施策の数々。これらは彼自身の論理的かつ柔軟な思考から生み出されている。10年後に年商100億円という大きな目標へ向け、教育・保育・療育の三本柱で社会課題の解決に挑む同社の未来が、無限に広がっている。

佐々木一真/1995年6月6日東京都生まれ。同志社大学政策学部政策学科卒業。卒業後、株式会社リトルガーデン、株式会社LC-JAPANに入社。2020年に農業法人LCファームを創業。株式会社LC-JAPAN、株式会社リトルガーデン専務取締役に就任。2022年7月、事業譲渡によりリラクゼーション事業を営む株式会社CalCalの代表取締役社長に就任。同年9月、株式会社リトルガーデン代表取締役CEOに就任。