
1999年生まれという若さで2025年4月株式会社LC-JAPANの代表取締役社長に就任した佐々木浩介氏。大学に在学中から同社の経営に参画し、入社後はグループ全社のDX化および同社における架電中心のアウトバウンド型営業組織からWEB広告やSNS運用によるインバウンド型営業組織への転換を進める。主力の再生可能エネルギー(以下、再エネ)事業での飛躍や、SNSを通じた独自の広報活動、新たな人事制度など、次世代の企業成長を見据える同氏に、経営への思いと今後の展望を聞いた。
中学生から見据えていた経営への道と創業メンバーへの敬意
ーーまずは、貴社に入社した経緯を教えていただけますか。
佐々木浩介:
中学2年生の頃には父が経営する同社を継ぐことを考え始めました。その後は同志社大学の経済学部に進み、在学中からオンラインで会社の仕事を手伝うようになりました。そして、2年半で卒業要件を満たしたことと、コロナ禍で留学手続きが難しくなったことが重なったこともあり、時間を無為に浪費するのではなく早期に実務経験を積もうと入社を決意した次第です。さまざまな理由で対社内、対社外的にも大手で経験を積むことが後継者としてのセオリーでありましたが、私は1日でも早く“経営者”としての感覚をつかむことのできる環境に身を置きたかったこともあり、そのような判断となりました。
ーー数ある選択肢の中で、貴社の経営に参画することを選んだ一番の理由は何ですか。
佐々木浩介:
私自身、グループ会社の株式会社リトルガーデンが運営する保育園の第2期卒園生でした。この保育園は、当時、共働きであった両親が私たち兄弟を預けようとしたところ、共働きであることを理由に入園を断られたり、専業主婦世帯の保護者から白い目で見られたりと共働き世帯が保育施設を利用しづらいという状況に疑問を抱いた父が延長保育や休日保育を積極的に受け入れ、働くパパとママが安心して働ける保育園を作ろうと立ち上げたのが同社設立のきっかけです。もちろん、この理念に共感し支えてくださった現場の方々のご尽力あってのことですが、そういった意義のある事業を生み出す仕事に憧れたのが一番の理由です。
ーー入社後はどのような業務から着手されましたか。
佐々木浩介:
入社当初は、グループ会社である株式会社リトルガーデンにて、保育補助として各園のヘルプ業務を行ったほか、園バスのドライバーとして送迎業務にも携わりました。その後、株式会社LC-JAPANでは、管理発電所における草刈りやパネル洗浄などの現場業務を経験し、発電所管理の実態や現場で発生する課題の把握に努めました。現在も、園のイベントや工事現場で人員が必要な際には、できる限り現場に顔を出すようにしています。
本社に戻ってからは、現場のヘルプ業務を続けながら、長期間更新されていなかったグループ各社のホームページを抜本的にリニューアルしました。デザイン変更にとどまらず、顧客導線の整理、リンク網の構築、キーワード選定などのSEO対策、Web広告運用を実施し、問い合わせ獲得に向けたWeb基盤を整備しました。また、Googleアカウントの整備やGoogleマップ上でのMEO対策にも取り組み、Web経由の集客導線を強化しました。
社内業務においては、電子契約、勤怠管理、CRM、SFAなどのクラウドサービスを活用し、DX化を推進しました。あわせて業務フローや承認権限も整理し、アナログ中心だった業務運用を見直した結果、現在ではデジタルを活用した業務体制が社内に定着しています。
ーー抜本的な改革の中で、創業メンバーの方々とはどのように信頼関係を築いたのですか。
佐々木浩介:
創業メンバーをはじめ、働く皆さんが尊敬する会長に対する敬意を最重要視しました。二代目の私が経営トップと対立し、組織の意思決定が混乱するという事態はなんとしても避けたかったからです。会長と創業メンバーが長年築き上げてきた信頼関係を、壊すことなく引き継ぐという意識を持っていたことで皆さんに受け入れていただけたのだと勝手ながら自負しております。
「ボス」ではなく「リーダー」になるための合意形成

ーー組織をまとめる上で、大切にしている考え方を教えてください。
佐々木浩介:
大切にしているのは「ボスではなく、リーダーになる」という考え方です。トップダウンで単に指示を出すのではなく、「なぜそれを行うのか」という意義を説明して組織を引っ張っていく必要があります。私はこれを「合意形成」と呼んでおり、組織全体を動かす上で、特に二代目には不可欠な能力だと捉えています。前提条件として人格としての適性はあると感じますが創業者には過去積み上げてきた実績があるため、「ボス」のやり方でも人はついてくるでしょう。しかし、二代目が同じ方法をとってしまえばたとえそれが正論だとしても反発が生まれかねません。正論だけでは通じない部分もあるからこそ、リーダーとして合意形成を図ることは常に意識しているところですね。
ーーその考えを組織全体に浸透させるために、どのような工夫をされていますか。
佐々木浩介:
社員には、それぞれの業務の中で、できる限りリーダーの役割を経験してもらうようにしています。人を動かす難しさや、リーダーとしての自分の考えが簡単に受け入れられない経験を通じて、リーダーの立場にある人の考えや苦悩を理解できるようになるからです。
そうした経験があれば、自分がリーダーではない場面でも、相手の判断の背景を察し、組織全体の目的を踏まえて主体的に動けるようになります。その積み重ねが、結果として組織運営の効率化につながると考えています。
内製化のスピードとSNS発信で再エネ特需を捉える
ーー改めて、現在のメイン事業とその強みについて教えてください。
佐々木浩介:
現在のメイン事業は、太陽光や風力を中心とした再生可能エネルギー事業です。弊社では、用地開発、設計、施工、電力申請、保守管理、保険対応、既存設備の売買や撤去まで、再エネ設備に関する幅広い業務を一貫して行っています。
再エネ業界では各工程を外部業者に依頼するケースも多い中、弊社はこれらの業務をグループ内で内製化しているため、状況に応じたスピード感のある提案・対応が可能です。また、広告、デザイン、Web制作、SEO・MEO対策、Web広告運用、SNS発信も社内で対応しており、事業環境の変化に合わせた情報発信や集客施策を迅速に展開できる点も強みです。
ーー今後の事業の展望をお聞かせいただけますか。
佐々木浩介:
現在注力しているのが、需要が急増している系統用蓄電池事業です。今後AIが普及し、データセンターが増加する中、電力自給率を上げるために再エネは不可欠です。しかしそれらの発電は天候に左右されるため、需要と供給バランスが崩れると大規模停電のリスクが生じます。それを防ぐための蓄電池が必要とされており、国も推進しています。この需要の波を捉えていきます。
また、10年から15年後には卒FITを迎え地上権の期間を満了する発電所が増えていきます。その際には、弊社で設備を改修、所有し、発電した電気を需要家へ供給する小売り電気事業者としてのビジネスモデルも視野に入れています。
2つの人事評価制度と未来をともにつくる人材
ーー組織を拡大していくにあたり、採用ではどのような人材を求めていますか。
佐々木浩介:
採用で最も重視しているのは、人間力です。どれだけ専門的な知識や特殊な能力を持っていたとしても、まずは人として信頼される人間性が大前提だと考えています。お客様からも、社内の仲間からも信頼されることが、すべての仕事の土台になるからです。そのうえで、素直に学び続けられる方、自分の役割を限定せずに柔軟に動ける方、周囲と協力しながら物事を前に進められる方と一緒に働きたいと考えています。
弊社は再生可能エネルギーを中心に、今後も新しい分野に挑戦していく会社です。そのため、現時点での経験や年齢だけで判断するのではなく、誠実さや向上心、変化に対応できる柔軟性を大切にしています。
ーー採用の強化に伴い、人事制度についてはどのようにお考えですか。
佐々木浩介:
人事評価制度は、今後の組織拡大において非常に重要だと考えています。現在も簡易的な評価制度はありますが、本格的な制度については整備を進めている段階です。
私の中では、組織の壁として一つのラインは50人だと思っています。50人程度までは、代表が一人ひとりの業務内容を直接把握し、日々のコミュニケーションの中で評価することも可能です。しかし、それを超えると「何をすれば評価されるのか」「何をすると評価が下がるのか」が不明瞭になり、自発性が失われ、結果的に組織の推進力が低下しやすくなります。だからこそ、透明性の高い人事評価制度が必須だと考えています。
また、働き方についても一律にするのではなく、仕事と生活のバランスを大切にしたい人と、より仕事に打ち込み、成果や裁量を求めたい人の双方が納得できる制度を実現させようと考えています。「もっと働いて成長したいのに働けない」「プライベートを重視したいのに帰りづらい」といった状態をなくし、それぞれの価値観に合った環境をつくっていきたいと考えています。
ーー最後に、読者へのメッセージをお願いします。
佐々木浩介:
「会社や上司に言われたから勉強する」のではなく、自身の経歴やスキル向上に対して常に思考を巡らせる。そうして主体的に動ける方と一緒に働きたいですね。努力に対して、それに見合ったステージを提供し、裁量を持って活躍できる環境を用意しています。私たちの目標に共感し、ともに成長していける方からの応募をお待ちしています。
編集後記
若くして経営のバトンを受け取った佐々木社長の言葉には、創業メンバーへの深い敬意と、自らが組織を引っ張っていくという強い覚悟が滲んでいた。「ボス」ではなく「リーダー」として共感を生み出すマネジメントは、変化の激しい現代において非常に理にかなっている。内製化によるスピード感を武器に再生可能エネルギー市場の需要を捉え、SNSを通じた広報活動や新たな人事制度など、次々と新しい一手を打つ同社の成長軌道に注目していきたい。

佐々木浩介/1999年、千葉県生まれ。同志社大学経済学部卒業。2年半で同大学の卒業要件を満たし、コロナ禍を機に早期に実務経験を積むことを重視。在学中より株式会社リトルガーデン、株式会社LC-JAPANに参画。両社のブランディング・マーケティングやDX推進を担当し、Webサイト構築やSEO・MEO、Web広告運用を推進。LC-JAPANではインバウンド型営業への転換を主導し、2025年4月、代表取締役社長に就任。