※本ページ内の情報は2026年10月時点のものです。

高校時代の文化祭で培った「人を巻き込む力」を原点に独自のキャリアを歩んだAVA Intelligence株式会社CEOの宮崎祐一氏。大手企業やスタートアップでの経験を経て彼が着目したのは、インターネット上の情報収集における非効率さだった。現在同社は「AI×旅行」という領域で、一般ユーザー向けのアプリ提供から自治体・旅行会社向けのシステム開発まで、幅広いニーズに応える革新的なサービスを展開している。宮崎氏の起業への軌跡から、ユーザーファーストを貫く姿勢、そして次世代を見据えた今後の展望までを詳しくひもとく。

周囲を巻き込み同じゴールを描く起業の原点

ーーまずは、これまでのご経歴と起業のきっかけを教えていただけますか。

宮崎祐一:
起業を意識した原点は、高校3年生の文化祭にさかのぼります。当時私が所属していたのは理数科の進学クラスで、受験勉強を優先して個人プレーに走る人が多く、クラスとしてはバラバラな状態でした。しかし、このまま卒業するよりも、将来何かあったときに頼れる最高の人脈をつくって卒業した方がいいのではないかと皆を説得し、一つの出し物に取り組むことを提案しました。結果としてクラスは一致団結し、今でも同窓会を開くほど仲の良いチームをつくり上げることができています。このとき、人を巻き込んで目標を達成するプロセスにやりがいを感じ、将来は企業のトップになりたいと決意したのです。

ーー目標実現に向けてどのようなキャリアを歩んでこられたのですか。

宮崎祐一:
大学では将来の起業を見据えて経営工学と英語を専攻し、卒業後はビジネスの基礎や人脈、資金、営業力を身につけるために大手IT企業に入社しました。大企業で学んだ後は、スタートアップの実態を知るべく5人規模のベンチャー企業へと転職をしています。限られた人数と資金の中で、ゼロからプロダクトをつくり上げ、広めていく難しさと面白さを徹底的にたたき込まれましたね。この両極端な環境での経験が、現在の会社を立ち上げるための強力な土台となっています。

ーー組織をまとめる上でご自身が最も大切にされていることは何ですか。

宮崎祐一:
同じゴールを描けるかが重要だと思っています。無意味な命令で人は動きません。この会社をこうしたい、このプロジェクトでこういう結果を出したいという明確な目標に対し、皆が「それは達成すべきだ」と納得することが大切です。そうすれば自然と能動的に動いてくれます。全員がワクワクしてやってみたいと思える絵を見せることができれば、チームは必ず一つにまとまると確信しています。

情報の取捨選択の非効率を解決する「AI×旅行」の全方位展開

ーー数ある事業の中から旅行分野を選ばれた理由をお聞かせください。

宮崎祐一:
インターネット上での情報収集が非効率に行われていると感じたからです。旅行に行く際、いくつものサイトを読み比べ、自分に合う情報を取捨選択するのは非常に手間がかかります。そこで、自分の趣味嗜好を理解したアバターのようなAIが、代わりに情報を集めて選別してくれれば便利になると考えました。とくに旅行は情報が多岐にわたり複雑さが際立つため、この領域に絞ってサービスを開発しようと決めたのです。

ーー現在展開されているサービスの具体的な内容や強みはどのような点でしょうか。

宮崎祐一:
一言で言えば、「AI×旅行」の領域で必要なことはすべて提供しています。情報の収集や最適なプランの提案、ルートの構築といった事前の計画から、飛行機のチェックイン時間の通知や忘れ物防止など旅行中のサポート、さらには旅行後の精算といったフォローに至るまで、あらゆる場面でAIを活用してきました。また、一般ユーザー向けのアプリだけでなく、toB向けのシステム提供も行っています。私たちがユーザーと向き合って蓄積したデータや知見を活かし、地方自治体や旅行会社に対して、観光客誘致や旅行計画の効率化に向けたシステム開発支援を行っている点が大きな強みです。

一番はユーザーと向き合い続けること 「AI×旅行」の第一人者へ

ーー今後事業をさらに成長させていくために、どのような点に注力していきますか。

宮崎祐一:
一番はユーザーのことをとことん考え、ユーザーの声を聞き続けることです。ただ要望されたものをつくるのではなく、彼らが何に課題を感じ、どうしたいと思っているのかを深掘りすることが重要です。AIはあくまで課題解決のための一つのツールに過ぎません。一見解決が難しそうな課題であっても、私たちが培ってきた技術と知見を組み合わせてどう乗り越えるかを考え抜く。この姿勢を保ち続けることが成長の要だと考えています。

ーー最後に、これからの目標と読者へのメッセージをお願いします。

宮崎祐一:
今後の目標は、「AI×旅行ならAVA Travel」といわれるポジションを確固たるものにしていくことです。AIの進化により、これからの働き方や旅行のスタイルは根本から変わっていくでしょう。最終的には世界中の人々がスムーズに旅行を楽しめるサービスをつくり上げたいと願っています。また、これからの生成AI時代において、当社の環境はAIを活用した新しい働き方が身につく場所でもあります。前例のないことにも工夫して挑戦できる仲間とともに、次世代のスタンダードを築いていきたいですね。

編集後記

最も印象に残ったのは、宮崎氏が語る「ユーザーの真の課題を見据える姿勢」の根底に、揺るぎない情熱があることだ。一見不可能と思われるような壁に直面しても、それをどう乗り越えるかを楽しむかのようにアイデアと行動力で突破していく。その前向きなエネルギーは、間違いなく共に働くメンバーを惹きつけ、同じゴールへと向かわせる原動力となっているのだろう。AIが当たり前となる時代の中で、同社が生み出す新たな体験が世界中のスタンダードになる日はそう遠くないと感じた。今後のさらなる飛躍に期待が高まる。

宮崎祐一/楽天グループ株式会社でインターネット広告事業へ携わった後、ホテル向けDynamic Pricing事業を展開する株式会社空(現:ハルモニア株式会社)へ転職。情報収集の自動化や分析、AI・旅行業界での経験を積み、AVA Intelligence株式会社を創業。