久原本家グループ ~福岡発老舗企業のブランドビジネスから紐解く、企業永続のヒント~

Vol.1 自身の仕事観を変えた転機

久原本家グループ 代表取締役 河邉 哲司 (2019年3月取材)

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【ナレーター】

進化を続ける日本のものづくり。市場の変化を読み解き、消費者のニーズを捉える商品を生み出すことができるかどうかが、企業が生き残るための鍵と言っても過言ではない。

そんな中、創業から120年以上という長い歴史を持ちつつも、自社ブランドによる革新的な商品を次々と世に送り出し、成長を続ける企業がある。久原本家グループだ。

博多らしい味づくりを大切にしたブランド『椒房庵』や、あごだしを使った調味料が強みの『くばら』、化学調味料・保存料無添加の出汁や調味料を扱う『茅乃舎』など、様々なジャンルの商品を開発。

出汁や調味料を贈答用に使用するという新たな流行を生み出し、自社ブランドを育成し続けているほか、ベトナムやアメリカへの進出など、積極的に事業の拡大を進めている。

地方発の老舗メーカーの軌跡と、4代目社長が描く世界進出の全貌に迫る。

―自身の仕事観を変えた転機―

【ナレーター】

1970年代当時、醤油業界の未来は明るくないと思い、家業の醤油醸造業を継ぎたくなかったと語る河邉。しかし、自身が長男ということもあり、大学卒業後、やむを得ず家業を継ぐことになる。

当時の従業員数はわずか6名。多くの競合がいたことから売り上げも徐々に低迷し、これを打破するために新規開拓に奔走。その中のあるエピソードが、河邉の仕事観を変えた。

【河邉】

私の友人宅が我が家の醤油を注文してくれていなかったとわかり、まずは売り込みに行くわけです。「今度、家業を継ぎました」と。そうしたら、「よかったね、おめでとう」と。

「ところで、醤油を…」と言うと、「でもね…」となるのです。「うちは親戚が醤油屋なの」とか、「親しい人のところから買っているから、切るわけいかない」という話になるのです。そこで愕然とするわけです。

これを何度も何度も経験すると、人間不信ではないですが、そのくらい落ち込むわけです。そういう状況でした。

その中において本当にごくわずかですが、「あんたが継いだなら取ってやる」と言って、取ってくださった方もいらっしゃいました。そのときの感動、嬉しさ、これが今でも心に残っています。

ですから、私は企業が大きくなろうと、売り上げが増えようと、それから一人のお客さんが例えば100円のものを買っていただこうと、1000万円のものを買っていただこうと、感謝の気持ちは一緒だと考えています。

この時の私の感動をいかにみなさんと共有するかということが、今の私の最大の仕事だと思っています。

社長プロフィール

President's profile
氏名 河邉 哲司
役職 代表取締役

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