インタビュー内容
社会貢献とビジネスが同時に成り立つ仕組み
【更家】
私共のヤシノミ洗剤ってね、当時、河川の汚濁っていうかね。石油系の特に分解の悪い洗剤燃料が、値段は安いんだけど、そういう原料が多くてですね。琵琶湖の水質問題とか、川で魚が死んだりとか、泡が取れないとか色々な環境問題が起こってましてね。
そういうことを踏まえて、植物系のヤシノミ洗剤を世の中で一番早く出したと思いますけど、これでうちはヤシノミ洗剤が環境に優しいですってことをずっと会社の誇りにもして、そういう環境のいい商品ということをずっと心掛けて作っていたんですね。
【更家】
2005年なんですけど、テレビの取材がありましてね、そこでサラヤさん、あんたのところは環境に優しいヤシノミ洗剤を作っているけれども、実は環境に悪いんじゃないですかって言われまして、何でですかってお聞きしましたらですね、実はヤシノミ洗剤の原料はパームでしょ、パーム園がどんどん広がって、そのおかげで象がえらい目におうてますと。
だもんで、ヤシノミ洗剤の原料のパームのせいで象がえらい目にあう、ヤシノミ洗剤は環境に悪いという、こういうロジックでちょっとこうアピールされたもんで、ただアピールがあったんですけれども、わからないじゃないですか。
だもんで、調査員の方を雇って、現地調査をやったんですが、実際すごく今スピード速くパーム園が広がっていたので、確かにオラウータンや象などの野生生物がやられている可能性があるというので、なんとかせにゃいかんなというので、現地と話をしていて、とにかく子象がですね、罠にかかって、ロープを引きちぎって逃げたりとか、足にロープを付けたり、そういうのが結構多くてですね、象を捕まえて治療して話しましょうと、こういうプロジェクトから入りまして。
で、当時の野生生物局とずいぶん話を深めた時にやっぱり1個づつの対症療法もいいけれども、全体として環境をちゃんと整えてあげることが一番いいことなんだということで、そこで野生生物局と一緒にボルネオ保全トラストというのを2006年の9月に認証を受けて、1年ぐらいでそういう団体ができて、ただしその団体はお金がないので、ヤシノミ洗剤の売り上げの1%を全部寄付しましょうという話になって、そこから運動がスタートしましてね。
それから日本でもそういうことをどんどんやって頂く団体、ボルネオコンソレーショントラストジャパンというのが2008年に生まれて、日本で運動がどんどん、これはNPOとして展開される。これをご支援する、そのうちにはうちだけじゃなくてね、いろんな会社さん、キリンビバレッジとか、ハンティングワールドとか伊藤忠商事とかですね。
あとはどこがあったかな、いくつかどんどんお入りなられて、今はね、割と運動としては広がりが出てきたなと、現地の方もそういった中で植林を毎年やっています。これも何千ヘクタールになってきた、4000か5000ね。で、特に象が移動する時に邪魔にならないようにネックになる土地を買収して埋めていくんですね。
それから象の保護園、これはボルネオエレファントサンクチュアリ、これが2013年に出来まして、これの運用が始まっているというので徐々にね、運動が増えてきてます。これが1つの10年間、2006年からすると10年間なんですけど、2005年からすると11年、こういうことで動き始めたなということなんですね。
今年はBCTとか、それから業界、マレーシアパームオイルカウンシィルっていうこれは、プランテーションのオーナー達をを中心とした会社ですけど、政府系のグループなんですね。ここも、賛同して頂いて、要は開発と保全がうまくテーブルの上で話をしながらやろうと言うので、できたら今年はBCTの10周年なんでね、シンポジウムやりませんかと話を申し上げていまして、秋ぐらいに出来たらいいなと思っているんです。もうちょっとコーディネートしながらやります。
【更家】
お客様がそういう活動を支持して頂いたりとか、もちろんトータルの中で出られないとかですね、使っててそれなりの満足感を頂けるんだけどプラス環境に貢献しているみたいなね、1%の中で、やっぱりそういう意識を持って頂く。逆に言うと私共としては現場のそういうことをありのままにお伝えして、そういった中でご理解いただく。
だから発信力の強い方を、トップスターってわけじゃないけれども、発信力の強い方に現場に来て頂いて、自分の見た目で発信して頂くような取り組みもずっとやってきていますんで、お互い努力しながらですね、環境がよくなっていくというこういう感じですよね。
この運動が維持発展していくのに、お客様のご理解って非常に大事なんですね。ですので、お客様は1%の売り上げは私共お客様のお金を頂いているわけですから、こういう運動に使うと、そのことのご理解の中で、商品が売れて、実際にそれを使って、エビデンスも含めて、ちゃんとまたお伝えして、このように改善しているよと、ですので現場とお客様との消費がうまくサイクルになって、回っているというのがこの環境ビジネス的なこととビジネスプラス社会貢献がうまく回っているということなんですね。

経営者プロフィール

氏名 | 更家 悠介 |
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役職 | 代表取締役社長 |
生年月日 | 1951年5月30日 |
出身地 | 三重県 |
著書 | 『これからのビジネスは「きれいごと」の実践でうまくいく』(東洋経済新報社) |
日本青年会議所会頭などを歴任。ゼリ・ジャパン理事長、大阪商工会議所常議員、関西経済同友会常任幹事、ボルネオ保全トラスト理事、日本WHO協副理事長、ウガンダ共和国名誉領事などを務める。2010年に藍綬褒章、14年に渋沢栄一賞受賞。
会社概要
社名 | サラヤ株式会社 |
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本社所在地 | 大阪府大阪市東住吉区湯里2-2-8 |
設立 | 1952 |
業種分類 | 化学工業 |
代表者名 |
更家 悠介
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従業員数 | 2,283名(連結2社 2024年2月現在) |
WEBサイト | https://www.saraya.com/ |
事業概要 | 1.家庭用及び業務用洗浄剤・消毒剤・うがい薬等の衛生用品と薬液供給機器等の開発・製造・販売 2.食品衛生・環境衛生のコンサルティング 3.食品等の開発・製造・販売 |