【ナレーター】
海外展開のプロジェクトについて「エキサイティングな仕事だった」と振り返る金銅。当時の経験から得た学びとは。
【金銅】
「国が違えば事情も違う」と。
情報を集めたら「なるほど、日本ではこうしなければいけないが、こちらではこういう方法なんだ」というような気づきがありましたね。
たとえば今、上海にボトリング工場があるんですけれども、普通は土地を買い求めて、その上に工場を建てますが、中国の場合は土地が買えないので借りる形なんですよね。
日本のように変わらないものをつくり続けていこうという工場建設の方向とは違うものを見出さなければならなかったので、逆にいえば、自分で考えの転換をしなければならなかった分だけ刺激があったといいますか。
ヨーロッパでは委託工場からスタートしたのですが、当時の日本は委託ができないわけではなかったんですけれども、「アウトソーシングをしてものをつくる」ことにあまり積極的ではなかったんですね。
一方で、ヨーロッパはインフラが整備されていて、企業がアウトソーシングをするための分業体制もできていました。そういう意味では、新しい試みにも取り組んでいました。
国内とは違った事情のため、物事を見る観点が変わりましたので、仕事は非常にエキサイティングで面白かったですね。
【ナレーター】
『CHOYA』ブランドを世界に浸透させることに成功したチョーヤ梅酒は、梅酒市場のパイオニア企業としての地位を確立し、世界のニーズに応えるため、絶えず商品開発を進めている。
その中で、金銅が語る挑戦したい2つのこととは。
【金銅】
梅酒を飲まれる方はあまりアルコールを望まれていないんですよね。
「ビールを飲みたいけれども、飲めないから代わりにノンアルコールビールを飲みましょう」、それがノンアルコールへの基本的な考えだったと思うのですが、梅酒の場合は逆に、「梅酒なら飲めるけれど、本当はアルコールは必要ない」という方がかなりいらっしゃるんです。
経験的、感覚的な見積もりですが、もしかしたら将来は約7割の梅酒ファンの方が、アルコールが入っていない梅酒を望まれるのではないかと想定しています。その方々にお応えできるような梅酒をつくりたい。
今は時代背景からアルコール飲料に健康というワードは使えないものですから。ノンアルコールにして、もう一度「これは健康な飲み物なんですよ」ということをアピールしていきたいと思っています。
-大切にしている言葉-
【金銅】
“人生は芝居の如し”という言葉が好きでして。
理由は、私自身が失敗の多い男で、さまざまなことをして、目に見えない失敗をたくさんして、自分で「しくじったな」と思っているんですけども。
ただ、結構人間ってやり直しが効くんですよね。
“人生は芝居の如し”というのは、役者さんの人生のように、また次のステージでやり直しができますよと。だから失敗しても、やり直しはいくらでも効くものなんですよという。
その言葉に私の人生も助けられて、もう一度自分を鼓舞してやってきているという背景がありますので、“人生は芝居の如し”という言葉が一番好きですね。