全国の幼稚園・保育園で体育指導や課外クラブ事業を行う幼児活動研究会株式会社。長年培ったノウハウをもとに、園に対するコンサルタントや、『YY塾』という教育プログラムの実践、直営の保育所運営なども行っている。1984年に同社に入社した川田氏は、営業や体育指導員などの事業部を経て、現在では同社取締役管理本部長兼総務部長に就任している。川田氏が現在の地位に上り詰めるまでには、新入社員時代に感じたある“苦手意識”との戦いがあった。
子どもに関わる仕事を求めて
―御社へご入社した経緯をお聞かせください。
川田 伸:
大阪体育大学に進学し、体育の教員になることを夢みていたのですが、残念ながら教員試験には失敗してしまいました。それでも、子どもに関わる仕事をしたいという思いで就職活動をしていた際、幼児活動研究会に出合ったんです。また、私が入社する年に広島支部が設立されるとのことでしたので、広島県生まれの私にとっては、将来地元に戻ることができる可能性があるというのも、入社動機のひとつでした。
苦手な営業で成果を出したきっかけ
―ご入社後はどのようなお仕事をされていたのでしょうか?
川田 伸:
もともとは大阪支部での配属を希望していたのですが、新設された広島支部へ配属となりました。新しくできたばかりの支部ということもあり、子どもたちへの体育指導と並行して、幼稚園・保育園に対する営業活動も行っておりました。私が入った時点で、まだ契約している園は3、4園くらいしかありませんでしたから、いろいろな園を回り、1から開拓をしなくてはなりませんでした。ただ、私は営業がとても苦手だったんです。
まだ幼児活動研究会の知名度が低かったこともあり、門前払いをされることも少なくありませんでした。たとえ中に入れていただくことができたとしても、懸命にサービスをアピールしたところで契約にはなかなか繋がりませんでした。そんなことを繰り返しているうちに、営業をして断られることへのトラウマができてしまったんです。
―苦手意識を克服したきっかけはどのようなことだったのでしょうか?
川田 伸:
入社して1年経つ頃には指導に少し自信がついてきました。そのころから営業用の飾った会社の説明をするのではなく体育指導で子供たちに伝えていること挨拶をしっかりすること、靴を揃えること、明るく元気よくすること、何も飾らずいつもの体育の先生としての自分を見てもらうようにしました。そうするとデモ指導もさせてもらえるようになり契約をしていただけるようになりました。
子どもたちとのかけがえのない絆
―営業と並行されて指導員もされていたとのことですが、思い出に残るエピソードはありますか?
川田 伸:
指導員時代の楽しい思い出はたくさんあります。弊社の『コスモスポーツクラブ』は幼稚園・保育園から小学校6年生までの子どもたちが通っているのですが、長年通ってくれた6年生の子たちから感謝状をもらったことがあります。当時のスクール生たちの中には、大人になった今でも年賀状を送ってくれる子もいます。「コスモスポーツクラブが一番好きだ」「コスモの先生が一番好きだ』と言ってくれる子どもたちや、子供たちが頑張って鉄棒などできたときの「できた!」の声、私自身、そういった声を励みにしていました。
貪欲に知識を吸収して掴んだチャンス
―キャリアアップを実現したきっかけはありますか?
川田 伸:
弊社では「指導級」というものがあり、私は当時、最高値だった1級を取得しました。1級の指導員たちが集まり、今後の指導方法などを決める重要な場であった「1級会議」にも、広島から参加していました。私は指導に関しては誰にも負けないくらいがむしゃらに勉強をしたと思っています。研修があると聞けば、開催地が遠方だったとしても必ず参加しました。知識を吸収するチャンスは逃したくはなかったんです。自分ができることに対して最大限の力で臨むということを続けるうちに、会社の中で中心的なポジションに入ることができるようになりました。
また、部下に自分の考えやノウハウを伝え、育てていくということにも注力していました。厳しいことも言いますが、何とか成長させてあげたいという思いで接し続けました。部下が成長して、「この会社で働けてよかった」と思ってもらえることが、私自身の喜びにもなります。そういった、自分が得意とすることを見つけて掘り下げていく中で、キャリアを築くチャンスを掴んだのだと思います。