累計60万人以上のユーザー数を誇るオンライン英会話サービスを展開する、株式会社レアジョブ。同社代表取締役社長の中村氏は、オンラインでの英会話学習が普及し、英会話を学ぶ場所が多数存在する状態を「英語教育2.0」と位置付けている。更に、その先にある“英語を話せるようになりたいと望む誰もが、英語を話せるようになる”世の中、すなわち「英語教育3.0」の実現が、同社の目指す世界だ。

そしてそのプロジェクトを担っているのが、2015年に同社に入社した、向晃弘氏である。社長の右腕として、2017年9月、R&D室 Innovation leaderに就任した向氏。英語教育の未来を築くべく日々新たな挑戦を続ける原動力に迫る。

幼少~学生時代まで継続的に学習していたこと

―どのような学生時代をお過ごしになられたのでしょうか?

向 晃弘:
幼い頃から様々な習い事を経験してきました。両親から薦められたものもあれば、自分でやりたいと言い出したものもありますが、バイオリンやピアノなども短い期間でしたが習った記憶があります。その中でも子どもの頃から高校生まで続けていたのが、英語教室でした。高校時代は、特に将来の具体的な目標があったわけではなかったのですが、オンラインゲームをしたり、動画編集やウェブサイトを構築したりといったように、インターネットの世界に興味を持つようになりました。それが後にウェブ関係の仕事に就くきっかけにもなったのだと思います。

高校卒業後、得意な英語の試験だけで合格できるということもあり、大阪国際大学に進学しました。大学では、2年生まで英語のみで授業を受けていたので、そこでも英語力を鍛えることができました。


―その後、新卒で面白法人カヤック(株式会社カヤック)にご入社されたと伺っておりますが、そのきっかけをお教えください。

向 晃弘:
就職活動時には、まだインターネット業界についてそれほど詳しくなく、様々な企業を受けたのですが、なかなか内定には至りませんでした。しばらくして、当時アルバイトで入ったウェブ制作会社から内定を頂いたのですが、同じ頃、たまたまインターネットで面白法人カヤックという企業を見つけ、興味を抱き、応募したという経緯です。同社には5年ほど在籍していましたが、今のキャリアに繋がる経験ができたと思っています。

転職とは“自分を変えること”

―新人時代ということもあり、失敗も含め様々なご経験をされたかと思いますが、思い出深いエピソードはございますか?

向 晃弘:
恥ずかしながら入社当初はほとんどコードを書くことができませんでした。同僚に教えてもらいながら、徐々にエンジニアとしてのスキルを身に付けていきましたが、もちろん失敗もしました。コードを間違えてシステムを止めてしまったこともあります。失敗をしたとしても、大阪から出てきたばかりということもあり、「まだ帰れない」という思いと、カヤック自体が僕にとって憧れの会社ということもあり、自分の夢を叶えている最中に抜け出すわけにはいかないという思いで、挫けそうになった気持ちを奮い立たせていました。


―その後、株式会社デザインワン・ジャパンに転職をされますが、カヤックとの違いに戸惑うことはありませんでしたか?

向 晃弘:
面白法人カヤックは、ソーシャルゲームの開発や、ユーザー投稿と連携した企画など、名前の通り、「面白いこと」をたくさん実現する会社でした。ですが、徐々に自分の中で「面白いこと」だけではなく、それ以外の経験も積んでみたいという思いが膨らんできたのです。そんな中で出会ったのがデザインワン・ジャパンでした。同社が謳っていた地域貢献にも惹かれ、転職を決意しました。

デザインワン・ジャパンにはディレクターとして入社し、サイトにおけるユーザーエクスペリエンスやセールスマーケティングなどを担当していました。カヤックの社風とデザインワン・ジャパンの社風は異なっていて、転職直後は戸惑うこともありましたが、「転職するということは、自分自身を変えることだ」と強く思っていたので、順応させるようにしていきましたね。

教育事業=世の中を渡り歩くための“強み”をつくる

―御社との出会いについてお聞かせください。

向 晃弘:
カヤックに在籍していた時、ふと「そういえば、英語を使っていないな」と思ったんです。それで『レアジョブ英会話』のユーザーになったというのが最初の出会いです。その後、デザインワン・ジャパンに転職し、30歳を目の前にした時、改めて自身のキャリアプランについて考えました。自分の人生を振り返ってみると、高校・大学と、特に目標があったわけでもなかったのですが、唯一、英語が得意だという強みがあったんです。そのことに気付き、世の中を歩いていくための強みを教育によってつくることができるなら、今度は自分がそれを提供する立場に立ってみたいと思ったのです。そして、幼い頃から英語を学ばせてくれた両親への感謝の気持ちも込め、レアジョブへの転職を決意しました。更に、当時レアジョブが募集していた職種がアプリのディレクターだったのですが、そのアプリを見ると、自分の経験を活かしてできることがまだあるはずだと考えたというのも理由の1つですね。


―中村社長と初めてお会いした時は、どういった印象でしたか?

向 晃弘:
最終面接の時、初めて中村と会ったのですが、非常に理知的で、すべて見透かされているような気持ちになりました。下手に取り繕っても、この人の前では意味がないだろうと感じました。

場数を踏み、挑戦を続けることで掴んだキャリア

―ご入社された後はどのような業務に就かれていたのでしょうか?

向 晃弘:
アプリのディレクターとして入社した後、マーケティングなどにも関わるようになりました。サイトの改善や自社の求人メディア、ブランディングなど、様々なプロジェクトに携わる機会を頂きました。


―現在、R&D室 Innovation leaderでいらっしゃいますが、任命された背景は何だとお考えでしょうか?

向 晃弘:
R&Dは中村の発案ではありますが、その責任者を任されたのは、おそらくそれまで多くの場数を踏んできたからではないかと思います。カヤックにいた当時から、多くのサービスに携わり、トライを続けて形にしてきたという実績が評価されたのだと考えています。また、広報や人事関係で中村と接する機会も多く、その中で「もっとこうしたら良くなる」という思いで仕事をしてきた姿勢を、近くで見てもらっていたというのもあるのかもしれません。

“誰の”“何の”ための課題を解決するのかを考える

―中村社長との会話の中で、心に残っているお話などはありますか?

向 晃弘:
プロジェクトの関係で中村と共に仕事をする時間が多いのですが、その中で「『“誰の”“何の”ため』のものかということを意識しなければならない」という話が印象に残っています。一体誰の何の課題を解決するのかということを考えないと、モノづくりは難しいということを中村はよく言っています。今のレアジョブを築き上げたから中村だからこそ見えているものもあるでしょうし、逆に私ならではの観点というものもあると思いますので、そうしたものを合わせるために議論を重ねる中で「“誰の”“何の”」を共通言語にしながら仕事をしています。


―ほかにも中村社長から受けた影響はありますか?

向 晃弘:
中村は、「やればできる」と信じていますし、実際にその通りだと私も思います。その影響を受けてか、私自身もそういったマインドになってからは、何か失敗をしても、落ち込みはすれども心が折れることはなくなりました。続けていけば必ず未来が見えると思うようになったのです。想像するのは簡単ですが、実際にその現場にいたら、「そんな簡単にはいかない」と思ってしまうものです。しかし、実際にやり遂げた人が隣にいるという今の環境の中に身を置くうちに、例え失敗が続いても「次はうまくいくかもしれない」という気持ちで再び挑戦を続けることができるようになりました。

“優秀な人材”の共通点

―今まで様々な経験を積んでこられた向様が考える、“優秀な人材”の共通点は何でしょうか?

向 晃弘:
素早い思考と実行力を持つ人だと思います。中村もそうですし、カヤックの社長も、イメージしたものをすぐに形にする能力がありました。そうした思考力と、それを最後までやり遂げる人が優秀なビジネスパーソンだと思います。弊社にも、考えることも、実行に移すこともスピーディーな人がたくさんいます。そういう人たちと共に働くことができて良かったと感じています。


―向様が共に働きたいと思うのはどんな方ですか?

向 晃弘:
今申し上げた、素早く思考し、イメージを適切な形に落とし込むためには、弊社が描いているビジョンやミッション、そしてR&Dが担っているものに共感していただけることが必要です。スキルも大切ですが、私は「思いに勝るものはなし」だと考えているので、英語教育を変えていきたいという強い思いを持って、成長していける仲間と働けたら嬉しいですね。

「英語教育3.0」を実現するために

―最後に、御社で成し遂げたい目標は何ですか?

向 晃弘:
「英語教育3.0」を実現することが自分のミッションだと思っています。まだそこのゴールが何かは決まっていませんが、おそらく英語を話したいという人が確実に話せる機会をつくりあげることが、ゴールなのではないかと考えています。そのためにも、ありとあらゆる手段をとりながら地道にトライ&エラーを重ねていくつもりです。

このミッションを完遂させるには仲間が必要ですし、何より中村の存在があってこそ、私もそこに強くコミットすることができると思います。今は、個人の成功が組織の成功に繋がる良い状態なので、その恵まれた環境を生かして、なるべく早い段階で「英語教育3.0」を完成させたいですね。それが出来上がった時には、また次のステージが見えているはずなので、そこに全社として向かっていけるようにしたいと思います。

編集後記

心から尊敬できる社長や、高めあえる仲間とともに仕事を楽しんでいる向氏。新しいものをつくり出すことの厳しさや苦労も、自身の成長と捉える前向きな姿が印象的だった。英語教育の新たな形に向けて突き進む向氏の今後の活躍に期待したい。

向 晃弘(むかい・あきひろ)/1985年生まれ、大阪府出身。
2008年、大阪国際大学卒業後、新卒で面白法人カヤック(株式会社カヤック)にエンジニアとして入社。2012年にディレクターに転身し、幅広いサービスの開発を手掛ける。同社退職後、株式会社デザインワン・ジャパンにディレクターとして入社。2015年、株式会社レアジョブに転職。アプリ領域の新規事業におけるUXディレクターを経て、マーケティングなどにも従事。2017年9月より、R&D室の責任者として、「英語教育3.0」の実現に向け奮闘中。座右の銘は「やりたい人はやっている」。

※本ページ内の情報は2018年2月時点のものです。

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