大手企業向けERP(基幹業務パッケージソフトウェア)でトップシェアを誇る『COMPANY』や、世界初の人工知能型ビジネスアプリケーション『HUE』を提供する株式会社ワークスアプリケーションズ(http://www.worksap.co.jp/)。同社は2017年にGreat Place to Work Institute Japanが実施した「働きがいのある会社」ランキングで第1位に選出され、かつ10年連続「ベストカンパニー賞」を受賞した。

フレックスタイム制や社内託児スペース『WithKids』など、社員にとって理想の労働環境を実現するための施策でも知られるワークスアプリケーションズだが、連結従業員数7,000名を超える規模となり、社員の多様化が進んでも受賞できた理由は、男女の別なく「働きがいのある」環境を実現しているからに他ならないだろう。

それを象徴するように、難度の高い業務においてブレイクスルーを起こした社員として2017年に社内賞を獲得したのが、セールス&マーケティング部門の国内既存顧客向け営業戦略チームに所属する森本彩加氏だ。入社数年で業界トップクラス企業の担当に抜擢され活躍を続ける森本氏に、自身のキャリアや今後の展望、そしてワークスアプリケーションズの魅力を伺った。

進路の道標になったCEOの言葉

-東京大学卒業後、初めて就職されたのがワークスアプリケーションズでした。きっかけはどのようなものでしたか?

森本 彩加:
就活が始まる頃になっても、将来なりたい自分像が明確に描けていないことに気が付きました。自分はどうやって生きていきたいのか。今後結婚や子育てを経る中で、本当に海外を飛び回る仕事をしたいのか。メディアに勤めていた父親の影響で漠然と同じ道を希望していたが、実はそれほど興味を持っていないのではないか。そう悩みながら就活をしていました。

そんな中、弊社のトップセミナーでCEOの牧野が「新卒が就職する時期はまだ自分がやりたいことの軸が定まっていない人が多い。そういう人は、将来社会で活躍していくための基礎を身に付ければいい」と話していて、胸にストンと落ちたのです。若いうちから様々な経験ができそうだと思って入社を決めました。何より牧野がパワフルで、とてもオーラを感じました。これは入社してからも全く印象が変わりません。

固定観念を変えた就職前の海外経験

-超難関のインターンシップで高評価を受け、期限内ならば任意のタイミングで入社できる「入社パス」を取得されました。どのように活用されましたか?

森本 彩加:
大学卒業後は、以前から興味のあったニューヨークへの語学留学などを体験し、半年後にパスを行使して入社しました。他国の人を見て感じたのは、自分にすごく自信を持っていること。例えば日本のように男女はそれぞれこうあるべき、といったことを気にしません。高校時代の1年間の留学も含めた海外経験によって、日本人だから、女性だからという思い込みが外れ、自分の意見は言っていいのだと認識できたのは良かったと思います。

プレッシャーに打ち勝つための心構え

-入社後、セールス&マーケティング部門の営業戦略チームに配属されました。新人には厳しい環境ではありませんでしたか?

森本 彩加:
弊社は取引先が多いので、いろいろな会社の風土を学びながら社会人としての基礎力を付けたいと考え、入社後の研修を終えたときに営業職を希望しました。弊社では、入社1年目でも規模の大きい企業の担当を任され、その企業の案件に責任を持ちます。当初はまだまだ力不足で、やりたいことがたくさんあるのにお客様にうまく伝えられないことが辛かったですね。ただ、会社からは多くのチャンスを与えてもらえていたと思います。


-営業として独り立ちされたのは、いつ頃ですか。

森本 彩加:
ここ1、2年です。当初から1人でお客様を担当していましたが、先輩にアドバイスをもらったり同行をお願いしたりすることが多々ありました。その後、自分1人で案件をマネジメントすることが増えるに従って、今度は自分から先輩に意見を発信し、同意を得られることが増えてきました。

大きなきっかけは、現在の部署に異動し、各業界の中でもトップクラスの大企業を任されるようになったことでしょうか。社内からの期待も高い大型案件なので、ずっと戦略を考え続ける日々でした。


-大型案件を任されたプレッシャーはありましたか?

森本 彩加:
自分が動かないと案件は進まないのでプレッシャーはありました。だからこそ、より良いと思う自分の提案を社内にもお客様にも発信し続けました。受注を獲得した後、先輩から「森本さんがいたから取れた案件だ」と言われて嬉しかったし、お客様からも「これからはパートナーとして一緒に頑張っていこう」というお言葉をいただけたときは目頭が熱くなりました。「絶対この人たちを幸せにする!」と思いましたね。

難しい課題を解決するための行動指針「スピルバーグ」

-仕事をしていく上で大切にされていることは何ですか?

森本 彩加:
大切にしているのは、お客様の立場になることです。例えば、製品の標準機能が豊富であっても、それぞれのお客様に合った使い方を提案できなければ十分なメリットを感じてもらえません。今の提案のままではお客様のメリットが最大化しないと感じたらお客様には隠さず課題を伝え、お互いにやるべきことを話し合いますし、弊社の開発にもお客様の声を伝えて、どうすればお客様により良いメリットを提供できるかを相談することもあります。お客様を代表して、どれだけ自分が社内にアピールしていけるかが重要です。

メーカーである弊社の営業の名称「セールス&マーケティング」のとおり、お客様の声に一番近い立場で、お客様のニーズを汲み取りフィードバックしていく役割も担っています。お客様のニーズを知ることができれば、開発はさらに良いものを作れますし、逆に開発によいアイディアがあれば、どうすればお客様の心に刺さるように伝えられるかを私たちが考えます。会社と外のマーケットをうまくつなげるのが、弊社の営業の仕事なんです。


-外部の対応はもちろん、社内のコミュニケーションも大切にされているのですね。

森本 彩加:
とても大事ですよね。私は、まず自分で理想の道筋を頭に描いて、それを応援してくれそうな社内の人間は誰かを考えます。例えば、味方になってくれそうな人を交えたミーティングを設定して、その人が皆に対して私の進めたい方向の発言をしてくれたら計画成功です(笑)。

弊社では、新人の時から職種に関わらず「Works Way」という行動指針を軸に仕事を進めていく文化が根付いています。その行動指針の中に「スピルバーグ」という項目があります。自分1人で解決しようとするのではなく、理想のストーリーを描き配役を考えながら、他者の協力を得て難しい課題を解決していくという方法です。映画監督のスティーブン・スピルバーグ氏にちなんで名付けられた行動指針なのですが、私はお客様に対しても社内に対しても、この「スピルバーグ」という方法にこだわるようにしています。

また、社内外で何かを聞きに行く前に自分の中で仮説を立ててからアクションを起こす「仮説思考」にも気を付けています。やみくもに聞いていると、相手の時間も自分の時間も浪費するだけでなく、違った方向に話が流れてしまうことが多くなるからです。


-「スピルバーグ」や「仮説思考」といった御社の行動指針を実践しつつ、ご自身が特にこだわっているのはどのようなことでしょうか。

森本 彩加:
しつこさでしょうか(笑)。お客様に説明するために必要であれば開発の上層部にまで行って直接話するなど、あの手この手で納得できるところまで持っていきますね。

ベンチャーの文化で巨大マーケットに挑める魅力

-御社の魅力を教えてください。

森本 彩加:
弊社には自ら手を挙げてビジョンを描きさえすれば、バックアップしてくれる環境があります。「上役や先輩は使うものだ」というメッセージを上司自ら発信してくれますし、実際に私が直接経営層や役員のもとに赴き、具体的な案件の内容を相談することもあります。

弊社には月に一回、企業文化や制度などについて、CEOが全社員に向けて説明をする集会があり、その熱意を社員は直に感じています。何か悩むことがあったら直接ぶつけていいのだと思える信頼感があるのです。やる気さえあればいくらでも社内は調整できるので、自分が中心となって考えアクションに移していくことを楽しみに感じられる人はきっと活躍できます。

また、取引先となる企業が各業界を率いるトップクラス企業ばかりなので、自分の仕事が世の中にすごく大きなインパクトを与えているという感覚が持てることも魅力です。ベンチャー企業に入れば個人の裁量が大きく、やりたいことが何でもやれるというイメージもありますが、何人かの友人の話を聞いていると、人数が少なく周囲の協力を得にくかったり、社長のワンマン経営でやらせてもらえることが限られたりと、必ずしも理想の環境だとは限らないと感じています。自分が望めばどんなことでもできる環境でありながら、マーケットが大きく、開発や営業に非常に優秀な人材が揃っているワークスアプリケーションズは、私にとって最良の会社だと思っています。

プライベートの時間を生み出す仕事術とは

-多忙な中、プライベートではどのようにしてマインドチェンジされていますか?

森本 彩加:
お酒も好きですし、弊社はフレックス制なので、自分でタイムマネジメントをして時には午後3時に帰ってホットヨガをしたり料理を作ったりしてリフレッシュすることもあります。ここ1年では梅干し、お味噌、ぬか漬け、おせちと今までやってみたかった4つを全て作ることができて大満足です(笑)。


-プライベートの時間を捻出するための仕事術や工夫はありますか?

森本 彩加:
タスクを貯めないことです。最近では、メールを見たらすぐ返すこと、ToDoを振られたら1分以内に判断してできるところから指示を出すなど、仕事を止めないことを意識しています。判断に時間が必要なものはメモを残しますが、基本的には移動などの隙間時間を活用してポンポンと終わらせてしまいます。余計な仕事をもらわないためにも、先ほどの仮説思考のように自分でストーリーを描いてその通りに運ぶよう準備することも大切ですね。すぐに終わる性質の仕事と、人への依頼や会話が必要な仕事とを明確に分けて対応しています。

マーケットを動かすエンジンになりたい

-今後の展望についてお聞かせください。

森本 彩加:
今は私が営業したお客様に、やはり買ってよかったと思っていただけるようなフォローを続けていきたいです。お客様を幸せにできるところまで、開発など社内との架け橋を務めたい。新しいチャレンジとしては、いかにして『HUE』のマーケットを作っていくかを進めていきたいですね。市場のニーズをキャッチして開発に伝え、良い製品を世に出してお客様に使っていただくという流れを支えるエンジンになりたいです。そろそろマネジメントへのチャレンジにも声をかけていただいていることもあり、後輩にどのようにして楽しく仕事をしてもらうかなども考えていますね。


-御社には社内託児所の『WithKids』、職場復帰時のボーナス支給や小学校卒業まで時短勤務が認められる『ワークスミルククラブ』など、女性が働きつづけるのに必要な環境が整っています。

森本 彩加:
働き続けられる制度がたくさんあるので、出産したらぜひ利用したいです。当初は基礎力を付けたいと思って入った会社だったので、先々は起業という選択肢もあるかもしれません。私はいつでもどこでも働けるような人間になりたいという思いがあるので、そういったライフプランが実現できる仕事は何だろうと模索している部分もあります。ただ、どのような仕事に就いても今の仕事の進め方は必ず生きると感じているので、まずは目の前の仕事をブラッシュアップしていきたいと思います。

編集後記

軽やかな声音ながら、営業らしくハキハキと言葉を紡ぐ森本氏。その姿から、「問題解決能力の高い人材」を発掘するという高難度のインターンシップで好成績を上げるほどの能力をベースに、社内外を軽快に跳びまわる様子が容易に想像できる。社員に近い経営層の存在や、柔軟な働き方を支援する制度の創設などによる会社への高い信頼感が、しなやかな森本氏の働き方をさらに伸びやかなものにしていると感じた。

森本 彩加(もりもと・さいか)/1989年生まれ。東京大学文学部卒。
ワークスアプリケーションズの超難関インターンシップを通過し入社パスを取得。大学卒業後、海外留学を経て2013年10月に同社へ入社する。セールス&マーケティング部門の国内既存顧客向け営業戦略チームへの配属後、超大手企業を対象とするチームのメンバーに抜擢。複数の大型案件を成功に導くなど目覚ましい活躍を見せている。2017年には業務においてブレイクスルーを起こした社員に贈られる社内賞も獲得している。座右の銘は「好きこそものの上手なれ」。

※本ページの情報は2018年3月時点のものです。

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株式会社ワークスアプリケーションズ 代表取締役最高経営責任者 牧野 正幸