卓球と前職から学んだ、人として強くなるために必要なこと

―先ほど、御社で稼働するITフリーランスの方々は、キャリアの節目でフリーランスを選択された方が少なくないというお話がありました。社長ご自身のキャリアの中での転機、これまでに至るまでの経緯をお聞かせいただけますでしょうか。

髙田 幹也:
私は小学校からずっと卓球に打ち込んできまして、中学、高校も卓球漬けの毎日でした。

インターハイにも出場した経験もあり、そのまま推薦で大学へ進学できたのですが、正直卓球を続けるか悩みました。何となく決まった道に魅力を感じなくなってしまったからです。

とはいえ、ずっと卓球一筋だった私は、高校卒業後は自由に過ごしたかった気持ちもあり、4年制のコンピューター専門学校を選びました。

4年後に迎えた就職活動は思いのほか、順調に進みました。ちょうどバブルが崩壊し、企業が新卒の採用を控えた時代を経て、採用を復活したことが大きかったと思います。型通りのリクルートスーツ、型通りの受け答えで臨むとどこも通るのです。

そこで、魔がさしたといいますか、これで良いのか?と思うようになりました。リクルートスーツを脱ぎ、髪を染めて髭をはやし、おおよそリクルートスタイルとはかけ離れた装いで受験したら、今度は面白いように不合格。

しかし、中に1社だけ、面接のあと残るように指示された会社がありました。それが、当社のグループ会社であるアスノシステム株式会社の前身の会社です。多くのご指摘を受けたのを覚えています。

ですので、次はないなと思っていたら、2次試験の案内が来たのです。きちんとした姿勢で臨まなかったにもかかわらず、チャンスをくださった。「人」を見る会社なのだと好感を持ったのが入社のきっかけですね。

同時に、物事を真正面から見るのはもちろん、ななめか後ろ、また別の角度から見る私を評価してくれる場はあるのだと知りました。

そして卓球を続けてきた経験から、強くなるには「人と同じ」ではだめなのだと思いました。これは、自分のスキル1本で道を切り拓いていくフリーランスにも通じる部分だと思っています。

全社員との面談を通じて得た気づき

-その後、アスノシステム社の専務取締役を経て、2019年に同じグループ会社である御社の代表取締役社長に就任されました。就任後、全社員と面談をされたと伺いましたが、どのような意図がおありだったのでしょうか。

髙田 幹也:
実は、当時の社員で面識のある者は1割に過ぎないという状況でした。そのため、まずは社員のことを知ろうと、就任から1か月以内に、全社員と1人30分、顔をつきあわせ面談をすることにしたのです。

面談を経てわかったのは、社員は皆、ITフリーランスの方々のサポートにやりがいを感じ、幸せを提供したいというモチベーションの高い人材ばかりだということでした。

彼らとの対話をきっかけに私も代表として、ITフリーランスのワークスタイルの定着、さらなる地位の向上に貢献していきたいと思いを新たにしましたね。

「本物のフリーランス」を世の中に広めるために

―今後の展望や構想についてお教えください。

髙田 幹也:
多様な働き方の1つとして「フリーランス」は周知されるようになりました。

しかし、今でもマイナスイメージを持つ企業はあります。もちろん、そういった企業の皆様にフリーランスを正しい形で広めていくのは重要な課題ともいえます。

一方で、フリーランス自身の意識改革も重要だと感じています。
例えば「フリー」=「自由」というわけではありません。フリーランスとして働くためには、もちろん責任も伴うからです。当社で就業する方々には、フリーランスとしての責務、プライドを持って働いてもらいたいです。

だからこそ厳しいかもしれませんが、「プロ基準」を満たせるITフリーランスとのみ契約していく方針を貫いていきたいですね。

フリーランスは個人事業主、1人ひとりが社長です。誇りを持って働くフリーランスの裏方としてさらに便利なシステムを整え、貢献を続けていきます。

フリーランスの地位向上のため、さらに便利な仕組みを整え、「本物のフリーランス」の存在を多くの企業の皆様に知っていただきたいと考えています。

今後は弊社で働くITフリーランスのみならず、一般のフリーランスの方々にこれまで培ったサービスをご提案していく予定です。

エージェント事業から幅を広げ、多くのフリーランスの方々と関わり、「幸せ」を感じてもらうためのバックアップ体制を強化していきます。

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編集後記

朗らかで快活な雰囲気をお持ちの髙田社長。

常に物事を俯瞰しようとするその姿勢は、従来の枠にとらわれない自由な存在でありながら、プロフェッショナルとしての責任も担う同社所属のITフリーランスたちにも通じるものを感じた。

2019年に30周年を迎え、有名俳優を起用したユニークなCMが話題を呼んだPE-BANK。ITフリーランスのマッチングプラットフォーム事業の先駆者としての、新たなチャレンジに期待が高まる。

髙田 幹也(たかだ・みきや)/和歌山県出身。新卒でナイキ情報サービス株式会社(現グループの前身、その後、アスノシステム株式会社に社名変更)に新卒で入社。社名変更と同時期に東京と和歌山の責任者を兼務、2015年には同社常務取締役、18年に専務取締役を歴任。2019年11月より株式会社 PE BANK の代表取締役社長に就任。フリーランスエンジニアの(個人事業主)のブランド化プラットフォーム事業を展開、フリーランスの地位向上を目指す。

※本ページ内の情報は2020年3月時点のものです。