仕事やワークスタイルに対する価値観が多様化し、働き方改革が推進される中、改めて「フリーランス」に注目が集まっている。株式会社PE-BANKは、「フリーランス」という名称が定着する以前、「個人事業主」の時代から独立するITフリーランスの支援、マネジメントに注力してきた業界におけるパイオニア企業だ。

ITフリーランスを全面的にバックアップし、彼らに寄り添うと同時に取引先企業へは責任も果たす。本物のフリーランスとして「プロ基準」を満たすスキルを持ったエンジニアのみ、稼働させている。

また契約内容を透明化させ、フリーランス、発注者双方にメリットを生む共同受注契約を採用しているのも特徴だ。

同社を率いる代表取締役社長・髙田幹也氏は、PE-BANKと同じグループ会社であるシステム開発事業などを展開する、アスノシステム株式会社の前身会社へエンジニアとして新卒で入社。

東京・和歌山拠点の責任者を任された後に営業職へ転身し、エンジニアと営業職という異なる職種で得た経験を生かしてキャリアを積み、2019年にPE-BANKの代表取締役社長に就任した。

そんな髙田社長に、自社の強みとパイオニア企業としての想い、「フリーランス」という働き方の現状と今後について伺った。

プロフェッショナルを輩出するために設けた「7つのプロ基準」

―近年、フリーランスは多様な働き方の1つとして定着し、認知度も上がっているかと存じます。その中で、御社がフリーランスへの業務依頼を推進させるために取り組んでいることなどはございますか。

髙田 幹也:
当社に登録する皆さんには、以下の守っていただきたい事柄を「7つのプロ基準」として掲げております。

1.ITエンジニアとしての「実務経験」
2.正式に開業しているか
3.青色確定申告による申告及び納税
4.顧客との信頼関係を築くための行動
5.当社指定のeラーニングを受講・合格すること
6.顧客企業との契約に対する、自らの判断と責任における、すべての契約条件の確認
7.自身は自営業者(個人事業主)であり、誰にも雇われていないという自覚

これら全ての基準の満たした方には、プロエンジニアライセンスカードを発行しております。

当社では、ライセンスを持つ本物のフリーランスのみにしか就業を認めていません。

なぜならば、認知度や注目を集める一方で、発注者である企業の皆さんにとっては、「フリーランスに依頼して大丈夫だろうか」という不安を払拭できない面もあるためです。

こと日本においては、企業に雇用されている正社員への信頼度が高く、「フリーランスは無責任」というイメージが根強いのです。

そういったフリーランスへの負のイメージを軽減するために、フリーのエンジニアの皆さんにもプロとしての自覚を強く持っていただきたいという思いから、この「プロ基準」を設けました。

基準を満たしているということが発注者側への信頼の証となりますし、「認められている」という証はフリーランス側にとってのモチベーションアップにつながっていますね。

2000名のフリーランスエンジニアがPE-BANKを選択する理由

―御社で就業中のITフリーランスの特徴をお教えいただけますでしょうか。

髙田 幹也:
現在、約2000名超のITフリーランスが就業中です。当社は全国9カ所の拠点を持っていますから、全国各地に活躍する人材が在籍しています。

年齢層は20代後半から50代以上まで幅広いですが、30代半ばから40代と働き盛りのプロエンジニアが主力となっています。職種的に男性が多いですが、女性ももちろんいます。

フリーランスとなるきっかけもさまざまです。エンジニアとして企業に勤務し、スキルを積むうち、そろそろマネジメントする年齢に差しかかり、「生涯技術者でありたい」とフリーランスを選ぶ方もいます。

都市部で働いていたけれど、地元に帰りたい、他の地域で挑戦したいとUターンやIターンを検討し、フリーランスを選ぶケースもあります。また女性の場合は、結婚や出産でいったん退職し、復帰の道としてフリーランスを選択される場合が多いですね。


―御社に登録した場合、どのような支援が受けられるのか具体的にお教えいただけますでしょうか。

髙田 幹也:
一般企業の福利厚生にあたる部分、総務や経理といった事務的な手続きのお手伝いをします。例えば確定申告をはじめとする税務処理のサポートにも対応しています。(※注:本サービスは委託税理士が行います)

またエンジニアはスキルへの探求心が強い方が多く、技術面以外が不十分になってしまう場合も多々あります。しかしフリーになると営業活動も欠かせませんし、見積もりも出さなくてはなりません。

そういった技術以外の部分の裏方として、当社が営業活動もサポートしております。発注者として1000社以上の企業とお取引がありますし、常に5万件を超える案件を扱っていますから、個々人にマッチした案件をご紹介しています。

加えてフリーランスというのは不安定な部分が大きく、いろいろなリスクに備えておく必要があります。そのため、万が一のケガや病気への備えや事業資金の貸し付け等の内容も盛り込んだ共済会制度も充実させています。

その他にも、プロエンジニア同士の交流の機会を設けたり、セミナーや勉強会を主催したりと多方面の支援、サービスを提供しています。

人材のマッチングのみであれば、Webに登録し、利用すれば完結します。ただ当社は、ITフリーランスの幸せのため、血の通ったサービスをご提案できるエージェントでありたいのです。

生活面の相談も含め、皆様に寄り添い、並走できるスタンスは当社の強みでもありますね。

設立当時からの理念を体現した「共同受注契約」とは

―取引先企業との契約内容をオープンにしているのも御社の特徴かと存じます。なぜ、オープンにしようと思われたのでしょうか?

髙田 幹也:
エージェントの中には、取引先企業から受けた案件をフリーランスエンジニアに再委託する形を採用し、もともとの契約内容を公開しない会社もあります。再委託の際には手数料(マージン)などの透明性が確保されていないのが現状です。

この現状を打破しようと、当社は設立からこれまで、「共同受注契約」を採用してきました。共同受注契約とは、当社とITフリーランスが共同で案件を受注する方式です。発注いただいたお仕事を再委託するのではなく、フリーランスと共に請け負うのです。

発注された契約内容をITフリーランスにすべて公開しますから、当然、手数料(マージン)もクリアです。報酬の総額はいくらなのか、当社とフリーランスエンジニアとの分配率についても明確にパターン化されています。

当社とフリーランスが納得の上で契約し、それぞれの責任を果たすわけです。透明性を担保するというのは、当社設立時から掲げてきた理念のひとつです。

またお客様にとっても、共同受注契約のメリットは大きいといえます。私たちが見込んだ高いスキルを持つITフリーランスのみが業務を担当しますから、ご要望にはお答えできる自負があります。

加えて共同契約の代表は当社ですから、安心してお任せいただける利点があります。評価がダイレクトに報酬に反映されますから、フリーランス側のモチベーション面にもいい効果をもたらしているのは間違いありません。

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