※本ページ内の情報は2023年12月時点のものです。

株式会社キャットアイは、サイクルアクセサリーや交通用品のものづくりを通じて、人々へ安全な自転車走行の体験を提供してきた。

70年の歴史を持つ同社の代表取締役社長に就任した荒木昌浩氏は、同社の強みの1つを「新しいものへの感度が高いこと」と話す。

キャットアイが革新的な製品を次々に生み出してこられたのはどのような背景からなのか、社長としての考え方や社内改革の取り組みについて聞いた。

世界に通用する商品の開発で感じた「ものづくり」の楽しさ

――キャットアイへ入社される前は、ゴムの開発・製造会社で働いていたとうかがいました。どういった経緯で転職されたのでしょうか。

荒木昌浩:
親族が先代の社長だったので、声をかけてもらったのが入社のきっかけです。あと私はもともとものづくりが好きで、「新しく何か別のものをつくってみたい」という思いがありました。前の会社では決められたものをつくることが多かったのですが、キャットアイは自社開発なので、自分たちのつくりたいものをつくれるのが魅力的に映りました。

入社後、リフレクター(反射板)の担当になったとき、その性能の高さに驚いたのを覚えています。精密でありながら、洗ってもその高い性能を維持できる。世の中にはデジカメのレンズなど精密な製品は多くありますが、リフレクターのような「世にあまり注目されていないけれどこだわりがある」という商品をつくるのも面白いなと思いました。

――貴社のリフレクターはさまざまな国の規格をクリアしていますね。

荒木昌浩:
弊社のリフレクターの品質の高さには自信があります。製品品質の元となる金型からすべての工程を自社で手がけているため、他社が真似しようと思っても容易には真似出来ないと思います。

チーム編成を変えることで多様な意見を吸い上げる

――2023年に社長に就任されたばかりかと思いますが、就任後に実施した社内改革などがあれば教えてください。

荒木昌浩:
今までは商品開発の際、リフレクターチームやランプチームなど、製品ごとにチームを分けていました。しかし、それだとチームを越えてそれぞれの製品の技術を共有するのが難しかった。ですので、今は製品ではなく、基盤チームや光学チームなど、技術ごとにチームを分けるようにしました。技術ごとにチームを分けることで、それぞれの社員がいろいろな製品に触れられるようになりましたし、社員同士が互いの技術を共有しやすくなりました。

また、新たに「ママさんチーム」によるプロジェクトをつくったことも挙げられます。日本で売れている自転車の多くがママチャリなので、子どもを送り迎えするママさんたちに意見を聞いたほうが良いと思ったのがきっかけです。

――多様な意見を取り入れるよう意識しているということですね。

荒木昌浩:
昔はスポーツバイクといえば男性の乗り物でしたが、昨今は女性も乗るようになり、女性も意識した中性的な見た目が必要になってきています。今までと同じ考え方、同じメンバーでやっていても今までと違うものづくりはできないので、従来とは違うメンバー構成も意識しています。性別や年齢、役職を問わず、誰でも自由に発言できるようにしていきたいですね。

自由な発想で製造から販売まで一貫して行うのが強み

――貴社の強みについてお聞かせください。

荒木昌浩:
1つは新しいものへの感度が高いことです。たとえば車で使われていたハロゲン電球や白色LEDを自転車に最初に使い出したのは弊社ですし、プラスチックでリフレクターをつくったのも弊社が最初。新しいものが好きで、自由な発想ができるのが強みだと思います。

あとは、金型や成形、組み立てなどを社内ですべて一貫して手がけられるのも、弊社の強みになっています。商品の起案から製造、販売まで全部社内で行うため、多岐にわたる情報が集まり、知識も蓄積されます。技術職だけでなく営業職も技術や苦労を理解しているのは大きな強みですね。

「ありがとうの溢れる会社」を目指して

――荒木社長は今後、特に社員の満足度向上に力を入れていきたいとうかがいました。この点について詳しく教えていただけますか。

荒木昌浩:
それぞれの社員には、やりがいや楽しみを持ってもらえたら良いなと思っています。会社は社員たちで成り立っているので、社員たちが満足しないと良い製品もつくれません。

私は社員たちに「“ありがとう”の言葉が溢れる会社にしよう」と伝えています。ありがとうと言われて、嫌な気分になる人はいませんよね。ちょっとしたことでも感謝の気持ちを伝えることで、言われた側はまた頑張ろうと思うことができる。些細なところからでも社内の雰囲気は変わるので、ぜひこの点については意識していきたいです。

編集後記

取材中、荒木社長は「社員たちはもちろん、これから就活や転職をされる方々は、挑戦し続けてほしい。こんな仕事がしたい、こんな人間になりたいなど、夢や目標はぜひ実現してください」と語った。

既存の概念に縛られず、自由で新しい発想で成長してきたキャットアイの社長だからこそ、挑戦の重要性を強く実感していることが伝わった。

ものづくりを通して人々の自転車ライフを豊かにしてきたキャットアイが、今後またどのような面白い製品を開発してくれるのか注目していきたい。

荒木昌浩(あらき・まさひろ)/1971年大阪生まれ。大阪府立東百舌鳥高等学校卒、1990年株式会社十川ゴム入社、1996年 に株式会社キャットアイに入社。2013年子会社の中国現地法人の総経理として赴任。2020年株式会社キャットアイ取締役就任、2023年同社の社長に就任。