※本ページ内の情報は2024年7月時点のものです。

ペット関連でヒット商品を生み出し、成長を続けている株式会社ペティオは、かつて住宅リフォーム事業を行う株式会社ヤマヒサの事業部の1つだった。ペット事業を独立分社し、伸び悩んでいた実績をV字回復へと導いた現在の代表取締役社長の山田武史氏に、経営の中で大切にしている視点についてお話しいただいた。

経営者の道を歩んだ父から受け継いだ事業。そして自らの志

ーー社長就任までの経歴を教えてください。

山田武史:
父が住宅リフォーム事業を行う株式会社ヤマヒサを経営していました。幼少期から経営者の姿を見て育った経験が大きな影響を与えましたね。大学では経済学を専攻し、卒業後は金融機関での勤務を経て、ニューヨークの研究所で経営学を修めました。

その後、ヤマヒサに入社し、営業として勤務経験を積みました。そして、事業部長として、当時伸び悩んでいたペットケア事業部の立て直しに着手したのです。その結果、事業部は独立し、株式会社ペティオとして新たな一歩を踏み出すこととなりました。

ーーそもそも、お父様の会社を継ぐために経済学や経営学を学んだのでしょうか?

山田武史:
父の会社を継ぐことも考えていましたが、「いつかは自分で事業を起こして経営をしたい」という気持ちもありました。

ニューヨークの研究所にいた頃、それはちょうど2001年のことなのですが、アメリカ同時多発テロ事件があり、私はその現場のすぐ真下にいたのです。あの事件を経験して「いつ何が起こっても不思議でない」と強く感じたことをきっかけに、「思い切ったことをやりたい」と思うようになり、起業や経営への挑戦意欲がますます高くなりました。

社会の一端となり存在価値を得るための革新と挑戦

ーーペットケア事業部を立て直す際に、どのようなことに気を配りましたか?

山田武史:
「信用と信頼の回復」をスローガンに置いて、私も商品開発や調達に深く関わり、品質向上に努めると同時に、販売店との信頼関係を再構築しました。今日に至るまで、私たちの事業には、卸店様、小売業様、仕入先様など、多くのステークホルダーの皆様が関わっています。

これらの人たちの信用、信頼を得ることが、安心した商品を提供するためには不可欠です。社内においても同様で、社員が安心して働けることが大切だと考え、環境を整えることも優先して行いました。

ーー事業部を会社にした際、何か特別に行ったことはありますか?

山田武史:
最初に、社員に対して「どのような会社にしたいか」というアンケートをとりました。社員にとっても、会社として独立したことは喜ばしいことだったのでしょう。アンケートでは「安心して働ける会社」や、「自慢できるような会社にしたい」という声が挙がりました。

社員の思いを実現することを重視し、同時に経営学の知識を活かして、バランスシートやキャッシュフローなどの数字のバランスをとりながら、分社化に取り組みました。

ーー現在も、立て直し段階からの事業理念は継続していますか?

山田武史:
「信用・信頼を大切にし、社会の一端として役に立ち、社会に認められる存在であるべきだ」という考えは、ずっと変わっていません。

今はそれに加えて、「次世代型人とペットの共生社会の創造」を理念に掲げています。人々の生活環境の変化に合わせて、提案する商品やプロモーション方法は変わります。世の中の変化を意識して常に挑戦することが大切であると考えております。ペットとの生活をより楽しくする商品を開発するため、社内でも楽しいムードを醸成し、積極的に面白いことをするようにと発信しています。

ーーたとえば、どのような商品を扱っていらっしゃいますか?

山田武史:
私たちは、ペットが家族の一員として人間とともに生活するために、ペットの”衣食住遊”全体にわたる商品を企画・製造しています。日本だけでなく東南アジア全域にわたり、企画から製造、物流、販売までの一連の流れで多数の協力企業様とのパートナーシップを築いています。独自のサプライチェーンの構築によって多品目展開が可能となり、生活シーン、四季、トレンドなどに合わせて、3000から4000品目を扱えるようになりました。

また、多数のヒット商品にも恵まれ、ロングセラー商品としては「ササミ巻きガム」などがあります。最近では「けりぐるみ®」が、InstagramやYouTubeのユーザー投稿をきっかけに人気を博し、大きく売上を伸ばしました。

未来志向の挑戦者を求める、ペティオの成長戦略と人材ビジョン

ーー今後、目指していくビジョンはありますか?

山田武史:
ありがたいことに、今期もまた過去最高売上を達成することができました。売上はファンの数でもあり、お客様からの信頼と支持の証でもあります。今後も社会の一端として、より楽しめる商品を開発して貢献度を高めながら、事業の拡大を目指していきたいですね。

また、社員の活躍の場を増やしていくために、人材育成にはさらに力を入れていきたいと考えています。デジタル化、人口問題など、生活の変化に伴い、これから取り組むべき課題はまだまだたくさんあります。中長期的な目標を社内で共有しながら進めていきたいと考えています。

ーーどのようなスキルや特性を持った人材を求めていますか?

山田武史:
弊社は未来をつくることに重点を置き、そこに存在意義があると信じています。弊社で働く意義も、取引先様をはじめとする関係者の皆様にご協力いただきながらつくっていくものだと思います。

未来をつくるためには、挑戦と失敗がつきものです。失敗を恐れず、「挑戦できる人」に入社していただきたいと思います。また、数多くの人とコミュニケーションを取りながら働くことになるので、周りのサポートを素直に受け入れられる人が良いですね。

編集後記

山田氏は取引先や顧客及び社員とのコミュニケーションを大切にしている。そして、彼の広い視点や、インタビューの中で出てきた言葉から、「信用・信頼」の構築を常に心がけている様子が伝わってきた。

コロナ後の激動の世の中で、どのような未来をつくっていくのか。株式会社ペティオの今後の飛躍が楽しみだ。

山田武史/早稲田大学大学院(MBA)を卒業。会計事務所、ニューヨーク大学日米経営経済研究センターなどを経て、株式会社ヤマヒサに入社。営業部門を経て、2009年に同社取締役ペットケア事業本部長に就任。2016年に独立分社し、新会社である株式会社ペティオの代表取締役社長に就任。