※本ページ内の情報は2024年1月時点のものです。

リッツカールトンやハレクラニ、マンダリン オリエンタルなど、名だたる高級ホテルでも使われている、竹食器ブランドのFUNFAM(ファンファン)。同ブランドの製品は、“子どもたちの健康を守りたい”という熱い思いがきっかけで誕生した。

そんなFUNFAMの代表取締役を務めるのが、フライトアテンダントから経営者になった藤岡康代氏だ。会社経営の経験や食器製造の知識がゼロの状態から事業を始め、今では高級ホテルや百貨店など多くの取引先を持つ。

そんな藤岡氏に、食器に竹を使おうと考案した経緯やものづくりにかける思いなどを聞いた。

子どもの健康と安心のために竹食器の製造・販売を決意

――なぜ食器に竹を使おうと思ったのでしょうか。

藤岡康代:
まず竹に注目した理由として、竹はイネ科の植物に該当するので森林伐採にあたらないこと、そして強度が高いことが挙げられます。夫が家具屋を経営しているので、最初は竹で家具を作っていましたが、高価でなかなか売れなかったため、それなら小型化して食器を作ったら良いのではと思い竹食器の事業を始めました。

――子ども向けの食器にこだわっているのには何か理由がありますか。

藤岡康代:
小さな子どもは食器を投げることがよくありますが、竹は軽量で強度が高いので割れにくく安心だと感じたのが理由の1つです。

あと、当時中国で粉ミルクをプラスチック粉でカサ増しするメラミン事件が起きました。この事件をきっかけに、子どもの口に入る食べ物や食器を気にするようになった親は多くいます。そういった流れの中で、子どもの健康に配慮した商品をつくろうと思いました。

――実際に竹食器を製造して、すぐに売れましたか。

藤岡康代:
弊社の商品が最初にお客様の目に留まったのが、伊勢丹新宿で開催されたポップアップです。展示期間中に知人に頼んで「その食器はどこで買えるんですか?」と伊勢丹に問い合わせしてもらったり、実際に友人に食器を買ってもらったりしました。商品が好評だということが伊勢丹に伝わるよういろいろな手段を使った結果、伊勢丹での本格的な出店が決まりました。

伊勢丹での出店が決まった段階で高島屋にも商品を置いてもらえるようお願いし、それからいろいろなメディアにも取り上げてもらえるようになったという流れです。

竹食器事業を通して職人たちの技術を未来につなげたい

――貴社の商品について、素材以外にどのような強みがあるか教えてください。

藤岡康代:
1つは、工場が東京唯一の村である檜原村にあることです。自然豊かな環境の中でつくられているという点は、ほかにはない強みだと思います。

あと、弊社は竹食器の製造・販売を通して職人の技術継承にも貢献しています。日本の職人の技術は素晴らしいのですが、職人たちの給料はその技術に見合っていないのが現状です。

素晴らしいノウハウがあるにもかかわらず、給料の問題から職人を継ぐ人がいない。この状況をどうにかしたいと思い、弊社では職人たちの技術に見合ったお金を支払っています。

そのため、弊社の商品はほかと比べて値段が高いと言われることも多くあります。しかし、それは職人の技術を守り、未来に継承するというミッションを背負っているからであって、安ければ良いという思いで商品を販売することはありません。

自身の子育て経験をもとに食のスクール事業をスタート

――離乳食のサービスもされていますが、そちらの事業についても教えてください。

藤岡康代:
離乳食のサービスを始めたきっかけは、私の娘が幼い頃食物アレルギーを抱えていたことです。もともと料理は得意でしたが、食事の制限が多くて何をつくれば良いのか分からなくなってしまって。

食物アレルギーのある子どもを持つ親の中には「自分はダメな親だ」と感じてしまう人も多いでしょうし、同じ気持ちを抱える親御さんたちにどうにか思いを伝えたいと始めました。

最初は食器売り場近くの空いたスペースに椅子とテーブルを置いて、売り場に来た子連れの方にアレルギーや離乳食の話をするだけでした。それが徐々に口コミで広まって、そこからスクールを開いたり、宅配離乳食サービスを始めたりするようになりました。

食器の製造・販売は原価率が高いビジネスである一方、スクール事業は私の知識だけででき、そのまま利益になるのでとても良いなと思っています。

すでに活躍している女性起業家の姿を見て自分も経営者に

――フライトアテンダントから経営者になることについてはどう感じましたか。

藤岡康代:
私はもともと経営に全く興味がありませんでした。ただ、すでに起業している女性たちの姿を見て、彼女たちにはとてもパワーがあって楽しそうだと思ったのです。そんな姿を見ていると、夫ではなく私が自分で社長として経営したいと思いました。

フライトアテンダントをしていたときは、機内で使うカップ1個の値段がいくらかなんて考えたこともありませんでした。それが経営者になってからは「社員一人ひとりがカップ1個を使うことにも意識を高めれば、かなりのコスト削減になる」と思うようにもなりました。

――今後どのような会社にしていきたいのか、どのような社員と働きたいか教えてください。

藤岡康代:
社員については、アグレッシブで情熱のある方、自分から提案できる方が良いですね。この会社でやりたいことがあって、それをしっかりと伝えられるような方と一緒に働きたいです。また私自身も、社員が「とりあえずダメでもやってみるか」と積極的に挑戦でき、自分の意見を言いやすい職場環境をつくっていきたいと思っています。

編集後記

竹食器の製造・販売を主力事業としているFUNFAMだが、今後は高齢者向けの高級食器事業にも挑戦していきたいと藤岡社長は語った。

フライトアテンダントから竹食器会社の経営者という異業種へ活躍の場を移した藤岡社長からは、ものづくりへの強い思いや挑戦することの大切さを学ぶことができた。

藤岡康代(ふじおか・やすよ)/離乳食研究家/FUNFAM代表取締役。国際線のフライトアテンダントとして世界中を飛び回りながら世界の食文化や料理を研究。子どもの出産を機に退職し、我が子のアレルギー体質からこれまでの食生活に問題を感じる。「母子ともに健康生活を送れるように」というテーマを掲げ、自然素材の竹食器FUNFAMと宅配離乳食サービス「ごかんごさい」を展開中。