※本ページ内の情報は2024年2月時点のものです。

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別業種のように見えるこれらの事業を、あえて多角的に展開することで、経済圏の形成に繋げている会社がある。それが1948年創業の株式会社友安製作所だ。

インテリア、エクステリア、DIY用品の輸入・製造・販売の他、カフェや工務店、レンタルスペース業やまちづくり事業など、多岐にわたり事業を展開している同社だが、設立当初は鉄製のカーテンフックを扱う小さな町工場だったという。

3代目となる同社代表取締役社長の友安啓則氏は入社前、幼少期からの憧れであった海外留学の夢を叶え、アメリカで順調に暮らしていた。日本へ戻り会社を継ぐ決意をしたきっかけとは。現在の多角的なビジネスを展開するに至った経緯と、独創的な雰囲気を放つ会社の魅力について話を聞いた。

人生のターニングポイントとなった父の病気

ーーご実家の友安製作所に入社される前はアメリカにいたとお聞きしました。帰国のきっかけを教えてください。

友安啓則:
僕が高校生の頃は30人程の社員で工場を営んでいました。父はとても忙しく、僕もよくトラックでの配達に連れられ、周りからかけられる「跡継ぎ」などの言葉で「将来はこの会社を継ぐのかな」とぼんやりと感じていました。

成長と共に会社への思いが薄れてゆき、小さい頃からテレビで見ていた海外への憧れから、高校1年の夏からアメリカへ留学をしました。大学院を卒業し、商社にて1年半程働いた後、25歳の頃に先代社長である父が倒れたと連絡を受けました。忘れかけていた「父親と一緒に働きたい」という自身の思いに気付き、実家を継ぐ決意をしてすぐに帰国しました。

思いもよらぬ父からの言葉

ーー帰国後の会社はどのような状態でしたか?

友安啓則:
現在は父も回復し現場で元気に働いていますが、当時は衰退産業で社員も5名程度に減り、限界町工場のような状態でした。父は、せっかくアメリカまで行って学んだのにどういうつもりだと、当初私の入社を認めませんでした。

入社の条件として、「半年間で新規事業をスタートさせ、自分の給料15万円分を捻出しろ」と言い渡されました。

ーー新規事業は何をされたのですか?

友安啓則:
アメリカに行く前は、日本は安全な国だと感じていたのに、帰国すると、日々凄惨な事件が起きているのを目の当たりにしました。そしてみんな画一化された住宅に住み、アメリカに比べて、インテリアや家でのくらしを楽しんでいないように見えました。今思えば少し飛躍していますが、家での時間を楽しまない人が増えたから、凄惨な事件も増えたのではないかと考えたのです。そこで、もっと人それぞれ、彩り豊かなインテリアやくらしを楽しんでもらいたいと考え、インテリア事業を始めました。そして「彩り」という言葉をキーワードに、「Colors」というオリジナルブランドを立ち上げました。

僕1人しかいなかったので、自ら作成したカタログを持って日本全国を飛び込み営業して回りました。仕入れのため台湾にも行き、ECサイトを立ち上げ事業が安定したところで、なんとか父を納得させることができました。

ビジョンとミッションに基づいた多角的な事業展開

ーー貴社の商品について教えてください。

友安啓則:
インテリアやDIYアイテムを中心に取り扱っております。

海外から直接買い付けた、日本では弊社でしか買えないオリジナルアイテムや、自社でデザイン、製造まで行っているアイテムがあります。自社製造のアイテムとして、創業時から受け継いできた鉄工の技術と新しい技術をかけ合わせて、「TEKKICRAFT」という家具のブランドを展開しています。2016年頃からものづくりに力を入れ始め、その数年後にTEKKICRAFTを立ち上げました。

インテリアやDIYアイテムのインターネット通信販売事業を中心に、カフェ事業、工務店事業、レンタルスペース事業など、人生に関わる事業を多角的に展開しています。これらの事業を全てまとめて「Colorsサークル」と呼んでおり、一見バラバラな事業のように見えますが、全ては「世界中の人々の人生を彩り豊かにする」という弊社のミッションに密接にリンクして展開させています。

また、新たに大阪府八尾市での「まちづくり事業」を2023年2月よりスタートさせました。これまでのECやカフェ事業などで培ってきたノウハウを活かし、起業家育成事業のプロジェクトマネジメントをはじめ、講演やワークショップの運営などを行っていきます。

“日常のトキメキを探しに行こう”がテーマの「友安製作所フェスタ」

ーー年に1度、大きなイベントを開催されるとお聞きしました。そちらも詳しくお聞かせください。

友安啓則:
ちょうどこのインタビューの前日だったのですが、弊社では年に1度さまざまな企業とコラボし、ワークショップや物販・グルメなど誰もが楽しめる「友安製作所フェスタ」というイベントを開催しています。

開催したきっかけは、当初全く知られていなかった弊社のブランドを広めるには、すでに知名度の高い企業とコラボレーションすることが1番の近道だと思ったからです。実際にイベントをやってみると、他社のファンの方が弊社のファンにもなっていただき、その逆も然りで、お互いの顧客を取り合うでもなく、より関係性を広めていける最善のプランニングだと気付くことができました。

イベントには例年5000人程度の方が来場しています。大規模なイベントですが、企画から設営まで業者に頼らず全て社員のみで運営していますので、達成感や感動はひとしおです。出展者の方々、やりきってくれた社員たちにはとても感謝しています。

ーー社内の雰囲気について教えてください。

友安啓則:
とてもフラットな社風です。役職はありますが、役職呼びや「さん」付けは禁止しており、社長である僕も含めた社員全員がニックネームで呼び合い、社員同士とても仲が良いです。年に1度エイプリルフールに、僕をテーマとした商品の企画を公開しているのですが、遊び心のあるイベントにも全力で楽しんで取り組むような面白みのある職場です。

人それぞれの「Color(個性)」を活かし、彩り豊かな人生をデザインできる会社

ーー最後に、今後の採用についてお聞かせください。

友安啓則:
今後採用で注力していくのは新卒とプログラマーです。採用テーマは「個性をさらけ出せ!」。それぞれが持つ個性を発揮している人たちが集まる会社には、大きな可能性があります。今の日本では個性を爆発的に発揮できる環境は少ないでしょう。

弊社はライフスタイルをデザインする会社として「世界中の人々の暮らしを彩り豊かにする」ために、独自の商品・サービス・空間を提供することにワクワクできる人材と仕事をしていきたいと考えています。私たちのビジョン・ミッションに深く共感できるかどうかを何よりも重要視しています。

編集後記

3代目として会社を受け継いだ友安社長。新規事業を進めていくと同時に、祖父や父が築き上げた技術を守り抜くため、工務店事業の拡充にも余念がない。

「社会の歯車として、なくてはならない会社になりたいと願っています」と語る友安社長。幅広い事業を展開し、地域、日本、そして世界へ羽ばたく活躍を見せることだろう。友安製作所のさらなる躍進に目が離せない。

友安啓則(ともやす・ひろのり)/高校からアメリカ留学、City University of Seattleにて経営学修士 MBAを取得。大学在学中から商社で働き、友人と起業。2004年に帰国、父親が営む線材加工製造業の株式会社友安製作所へ入社し、インテリアの輸入販売をする新事業を立ち上げ、オンラインでの商品販売を開始。2016年代表取締役社長に就任。東京、大阪、博多にて、インテリアとDIYとカフェの融合をコンセプトにした店舗を運営。