※本ページ内の情報は2024年2月時点のものです。

株式会社クロスリーチは、日本産のさまざまな食品や雑貨、工業製品を世界に販売・輸出するだけでなく、海外進出をサポートし、プロモーションも手がける企業だ。

東京とドバイに拠点を置き、2023年に本社をシンガポールへ移転し、中東・東南アジアをはじめとした現地のマーケットに根付いた事業展開を行っている。

今回は代表取締役CEOの永井希望氏から、起業のきっかけや仕事をする上でのマインド、会社の強みや、今後の展望について話をうかがった。

前職時代のあるプロジェクトへの参画がきっかけで起業に踏み出す

ーー最初のキャリアとして日本を代表するシンクタンクの1つである野村総合研究所に入社したきっかけを教えてください。

永井希望:
初めてシンクタンクという業界を知ったのは、大学時代に1年間イギリスへ留学した時です。その頃は、まだ何かに特化できるほど自分のやりたいことが見えていませんでした。

留学時に、幅広いクライアントの方々と接点を持つことができ、また社会的なインパクトを与えられるコンサル業に興味を持つようになり、縁があって野村総合研究所に入社しました。

ーー起業することを意識しはじめたきっかけは何でしょうか?

永井希望:
同社で働く中で、日本で財政破綻が起きた際の影響をシミュレーションするプロジェクトに参画したことです。このプロジェクトのクライアントから、人生を生きていく上でも、経営を行う上でも、一番最悪なシナリオを想定して具体的なアクションを起こすことが重要だと学びました。

このことがきっかけで経営・起業に対して興味を持つようになりました。同時に、例えば南海トラフなどをきっかけに日本が危機に陥った場合、外貨量の不足が大きな問題になるという経済的な課題に気づき、「海外から外貨をもって日本を支える存在が必要である」と思い立ち、起業を決意したのです。

限られた時間だからこそ人の役に立つことに関わりたい

ーー今までどういったときに壁にぶつかったと感じましたか?

永井希望:
取り組んでいることが楽しくないと感じてしまったときです。「もっとこうしたい」「これをやりたい」という思いに対し、そうはいかずに現状に留まってしまうために、そのエネルギーが行き場をなくしてしまうことにとてもストレスを抱えました。そういうときは、新しいことを考えてエネルギーを使い、行動に移すようになりましたね。

ーー仕事を行う上で大切にしている考え方や価値観はありますか?

永井希望:
人生の時間は有限なので、「限られた時間の中でエネルギーを余らせることなく使いきることが大切だ」と思っています。そのためには、楽しいと感じるものや、人の役に立てることに取り組む必要があり、目標を高く掲げ、仲間と一緒に戦略的に進めていくのが理想的だと考えています。

明確なビジョンに向けて全社員で取り組む

ーー貴社の強みを教えてください。

永井希望:
弊社は「日本」輸出のゲームチェンジャーになり、2028年までにナスダック市場に上場するというビジョンを掲げています。この明確なビジョンに向かって社員全員が仕事に取り組めていることが強みであると思っており、実際に直近の売上は3期連続で倍増と、会社として成長を続けています。

また、弊社はシンガポールに本社、ドバイに支社を有し、外国籍の社員も多く在籍しています。皆がお互いに良い刺激を受けるダイバーシティが定着した環境という点も、弊社の強みの1つだと感じています。

誠実さと視野の広さを持つ方と一緒に働きたい

ーー今後の採用計画はどのように進めていく予定ですか?

永井希望:
2027年には現在の10倍を超える300人が働く組織にするべく、「不足している人材をどこから獲得できるのか」「具体的にどのような行動をしなければいけないか」ということを考えています。

弊社は海外に拠点をつくることを主軸としているため、日本の人材だけでなく、海外人材も含めて良い人材を採用できるように動いていきたいと思います。

ーー貴社が求める人物像を教えてください。

永井希望:
主に2つの要素を持つ方に入社してほしいと考えています。

1つは、誠実な方であることです。弊社には「誠実さ」「リーダーシップ」「向上心」という3つのバリューがありますが、その中でも特に誠実さを大切にしています。

2つ目は、外に目が向いている方です。弊社は売上の9割以上が海外マーケットからのものであり、ダイバーシティを重視しています。したがって、海外への関心が高く、また外の世界を見たことのある方を求めています。

デジタル事業部と自社製品の強みを伸ばしていきたい

ーー今後注力していくことは何でしょうか?

永井希望:
DXを活用して「バイヤーとメーカーの情報の非対称性をなくしていきたい」と思っています。弊社は、食品商社として中東で現地のバイヤーと日本のメーカーの間をつなぐ役割を担ってきました。

しかし、商社が双方の間に入ることでバイヤーとメーカー双方の意図や情報が遮断され、相手のことがよく見えなくなってしまうケースが多々ありました。その結果、バイヤーは「日本は特殊なところ」だと思い、メーカーは「海外のバイヤーは少し怖い」と思ってしまうような状況が生まれているのだと感じます。

そのような情報の非対称性をなくすために、デジタル事業部を今年立ち上げ、「全ての生産者が海外に対して気軽に自社製品を販売することができるオンラインプラットフォームを作る」という取り組みを始めました。

それに加えて、商品開発のサイクルを上げていきたいとも考えています。弊社はR&D/商品企画の機能を有し、自社商品(抹茶や菓子類など)の売上比率が高いのが強みの1つとなっています。今後は世界中の人々に自社商品を通じて更に大きな価値を提供できるよう、自社商品の開発から生産のサイクルを加速させていきたいと考えています。

変化の激しい時代だからこそ自分の価値を追及し続けてほしい

ーー最後に読者である学生や若手人材に向けてメッセージがあればお願いします。

永井希望:
これからも変化し続けていく世の中で、「どういう人生を歩んでいきたいか」というゴールや自分なりのシナリオを持つことが重要だと思います。

そのためには、いろいろな方の話を聞いたり、海外に行って視野を広めるなど、多くの挑戦をし、行動を起こす必要があります。

その中で、「自分はどのような価値を社会に出していけるのか」ということを考え続けて良い選択肢をつかんでほしいと思います。

編集後記

創業から約10年間培ってきたノウハウと知見で、日本の食品をメインとして海外に広めてきた永井CEO。

2028年には、CEOいわく「『日本』輸出のゲームチェンジャー」となるべく、新たな挑戦にも次々と取り組んでいる。さらなる成長を続ける株式会社クロスリーチから今後も目が離せない。

永井希望(ながい・のぞみ)/1985年長野県生まれ。一橋大学を卒業後、2009年に株式会社野村総合研究所に入社。マクロ経済や公共政策、中東地域への日本企業誘致などのプロジェクトに参画した後に独立、2015年に株式会社ksnコーポレーション(現株式会社クロスリーチ)代表取締役CEOに就任。ドバイ在住。