※本ページ内の情報は2024年3月時点のものです。

今注目のSES(システムエンジニアリングサービス)は、特定の業務に対してエンジニアの労働を提供する形態のサービスである。システム開発における委託契約であり、ITエンジニアのスキルや労働をクライアント企業に貸し出すのである。

そんなSES業界において、急成長を遂げている企業が「高還元SES」として有名な株式会社テクニケーションだ。

今回は、代表取締役である西田 拳氏から、会社設立のきっかけ、企業理念、今後の展望などについてうかがった。

SES業界で急成長を遂げる企業になるまで

ーー起業のきっかけと、代表になるまでの経緯をお聞かせください。

西田 拳:
大学卒業後、収集していた洋服や雑貨を売ったとき買値よりも高く売れた事がありました。その経験からリユース業に活路を見出し、起業しました。しかし、もちろんそう簡単にはいかず、「在庫を抱えないビジネスモデルは何か」と考えるようになりました。

その後、27歳の時にSES事業の会社に入社し、営業として1年2ヶ月ほど経験を積ませていただきました。はじめはがむしゃらに取り組む中で、徐々にビジネスモデルが理解できるようになりました。すると、やはり自分で起業したい気持ちが強くなり、テクニケーションの設立を決意しました。

ーー貴社の強みを教えてください。

西田 拳:
「会社が稼げるための仕組み」がしっかりとあることです。SESでは、原価と売価のバランスのうち、かかるコストのほとんどはエンジニアの人件費です。したがって、利益率を上げるための手段は2つ。1つは、エンジニアの給与を下げること。2つ目は人件費以外のコストを下げることです。

しかし、私が起業した時の大前提は、「エンジニアが稼げる会社をつくること」でした。ですから、エンジニアの報酬は高くし、その代わり、人件費以外でコストを下げる仕組みを構築しました。その結果、安定して優秀なエンジニアが在籍してくれるようになりました。

ビジネスにおけるコスト管理と人的資源管理

ーー具体的に「コストを下げる仕組み」とは何でしょうか?

西田 拳:
人件費以外のコスト削減方法は、例えば社員の在宅勤務を推進することです。その上で、生産性が高ければ利益が多く出ます。生産性を高めるために私が実行したことの1つは、営業社員の年収を相場より高く設定し、その代わり営業社員には仕事を全力でやりきってもらうようにする、ということです。

ーー営業社員もやりがいがありますね。他にも「秘策」はありますか?

西田 拳:
実は営業社員で辞めた人は今のところ1人もいません。その理由は3つあると考えています。

1つ目は、入社する前になるべく一緒に遊ぶようにしています。単純に飲みに行ったり、散歩したりするのですが、気を張らない距離感でいろいろな話をすることで、入社前にお互いの人となりがわかるようになっていきます。

2つ目の理由は、あえて大変さや難しさを強調して伝えるようにしています。あらゆる仕事においてそうですが、働くということは楽しいことばかりではありません。絶対に避けなくてはならないのは、いざ入ってみて「思ったよりも大変」となり離脱してしまうことです。これは互いのために本当に良くないことだと考えています。

特に営業は臨機応変に本当に様々な対応が求められますので、入社を考えてくれている方には何度もはっきりと業務の大変さを伝えています。「大変だから絶対に入らないほうがいい」とさえ言うようにしています。できるだけ入社後のギャップを減らしたいと思うためです。

より良い案件を獲得するには、業務においてエンジニアと営業が強力なタッグを組む必要があります。しかし、営業社員が突然辞めてしまうなどすると、エンジニアにも大きな不安を与え、結果的に全ての歯車がズレていってしまいます。入社後のミスマッチで退職してしまうことを極力避けるために、良いことばかりを伝えるのではなく、大変さもなるべく事前に理解してもらいたい、という思いです。

3つ目の理由は、営業の社員たちが、お金を稼ぐ以外の何か大事なものを共有していることだと思います。たとえば、社員同士のチーム感、居場所などです。そのような共通点が大事な気がします。

エンジニアの人的資源確保の必要性

ーーエンジニアの確保は難しいのではないですか?

西田 拳:
エンジニアの採用は非常に重要な課題です。まずは、エンジニアを目指している方々や、現在活躍されている方々に弊社のことをもっと知ってもらう必要があります。

また、すでに知ってくれている方には、「知っている」だけではなく、「年収が上がる」「働き方を改善できる」など、明確な理由をもって弊社を選んでもらえるようにしていかなければと考えています。そのために、現状に満足することなく、私たちも会社の魅力に磨きをかけていくように努力しています。

また、エンジニアの育成環境の充実にも取り組んでいます。「フリーランスライクだから」と何もしなければ、着実な市場価値の向上は達成できません。弊社では体制参画と社内フォローに注力しており、業務経験を通じて市場価値に直結するスキルを磨くことのできる環境整備を進めています。若手エンジニアがリーダーのフォローを受けながらスキルを高めていけるようにすることで、やがて若手がリーダーとなり、次の若手をフォローしていくイメージです。

実際に社内ではこのようなフォロー関係から年収UPやリモートワーク、スキルチェンジなどを成功させている事例が多数あり、中長期で会社とエンジニアが一つのまとまりとして強くなっていくための有り様であると確信しています。会社とエンジニア双方で共通した思いとして、先々まで通じる簡単には崩れない市場価値を獲得することが挙げられます。

もちろん大前提として、本人の「やりたい!」という思いを尊重しており、その上で中長期の市場観やトレンドを交えてディスカッションすることで、「やりがい」と「実益」を兼ねることは十分可能ですし、これまで数多くその達成を目にしてきました。

一歩引いた目で見れば、そもそも社会全体が「“できる人”が“やりたい人”をフォローし、やがて“やりたい人”が“できる人”になっていく」という連鎖の中にあり、私達もその一助として「やりたい!」と思う人を本気で応援したい、そんな人ばかりの集団でありたいと常に考えています。

これらが積み重なることで、結果的に採用にもポジティブな影響をもたらし、品質を保った成長ができると思います。

ーーエンジニアの評価はどのように行なっていますか?

西田 拳:
まず大前提としてテクニケーションでは「単価と給与が連動する」という仕組みを基本としており、定性的な評価は行っていません。この仕組みの中でリーダーとメンバーがおり、リーダーは「若手のフォロー」を担ってくれるため、この点を評価に加えています。もちろんフォローに見合った報酬割合を設定しています。

ーーエンジニアに対してどのような教育をなさっていますか?

西田 拳:
入社いただける方全員に共通しますが、互いに納得して活躍していくためにも、まずは採算意識を持ってもらうことが大切だと思います。「お金をもらうためには、見合ったパフォーマンスを出すことが前提」という内容です。はじめのうちのできない期間は、会社がそれを「投資している」という事実を明確に伝えています。実際には当たり前のことなのですが、実は当たり前のことほど徹底して継続することが難しく、慣れてくると忘れがちです。こういった“細かいけれど大切なこと”から目を背けないことが、やりがいを保って働くうえではとても大切だと考えています。

ーー理念と今後の展望をお聞かせください。

西田 拳:
これからも仕事における“連帯”を重視し、チームでもって公正な価値を提供できれば、お金は後からついてくると思います。組織の健全性や仕事の成果など、その他さまざまな欲しいものはきちんとやれば後から全部ついてくるということを、実際に強く感じています。

全体としては、とにかく健全で誰もが心底納得をして関わりあえる集団であり続けたいです。働くことはお金だけではないと言われて久しいですが、仕事の時間はまさしく人生を大きく占める重要なピースなので、お金もお金以外の納得・満足も諦める必要がなくなるようにしていきたいです。

また、日々市場は変化していますが、「当面変わりようのない価値」もまたあると思います。会社としてはより普遍に近いことほど注力することで、結果的にお客様へも本質的な価値提供を続けていけると考えます。

そして、価値が提供できるなら、エンジニアにも正当な対価を約束し続けられますので、そんななかでまた一人、また一人と思いを共にしてくれる方が増えてくれたら嬉しいです。

そうしていく中で、一歩一歩ではありますが、優れた知見と実務経験を持つ強いチームをたくさん作り、若手へのチャンスの循環とお客様への信頼の両立をもっともっと拡大していきたいです。そうしていく中で、いずれは業界トップと呼ばれることを目指します。

編集後記

エンジニアを尊重し、年収アップを約束する西田 拳氏。急成長の秘密は「当たり前のことを着実に実行する」精神だった。営業社員とエンジニアの強力タッグを武器に活躍する株式会社テクニケーションに注目だ。

西田 拳(にしだ・けん)/大学卒業後、SES企業での営業職を経て、2019年11月に株式会社テクニケーションを設立。「自分がエンジニアとして働きたい会社」というコンセプトが多くのエンジニアに支持され、2023年12月現在、社員数240名を擁する企業へと急成長を遂げている。その他、同業他社の社外取締役も兼任。