※本ページ内の情報は2024年3月時点のものです。

株式会社栗田商会は、東海地方を中心に文具やオフィス用品など、オフィス環境を快適に彩る商品を幅広く取り扱う商社だ。長年にわたり、公社・団体(県庁、市役所、県警、大学、病院など)、地元の大手企業(自動車メーカー、通信会社、新聞社など)、個人商店、中小企業など、3000社以上の取引先に対し、各所のニーズに合わせた最適な商品と迅速かつ丁寧なサービスを提供し、働く環境を支えている。

同社をけん引する代表取締役社長の栗田武明氏は、2社の勤務を経て家業の社長に就任した。就任までのエピソードや若手育成などについて、話をうかがった。

営業の厳しさと魅力を知った修業の日々

ーー大学卒業後、2つの会社で勤務していますが、どのような経緯だったのですか?

栗田武明:
創業から数えて、私は4代目となります。幼い頃から「家業を継ぐことは自然な流れだ」と考えていましたが、就活は自らの力でやりたいと思いました。後に、父は私を修行させる会社を決めていたことがわかります。しかし、私はその計画を知ることもなく、大学卒業後、親の反対を押し切って株式会社内田洋行に入社しました。

振り返れば、ひたすら目の前の課題に全力で取り組んでいた当時の経験は、まさに修業と言えます。原動力となったのは、「栗田商会の社長の息子はぼんくらだ」と言われたくないという強い気持ちでした。

ーー当時のエピソードをお聞かせください。

栗田武明:
内田洋行に入社後、3ヶ月間の新人研修は想像を絶するほどハードなものでした。

特に、法人への飛び込み営業では心が折れそうになったことが何度もありました。

入社2年目、部長から「東芝の新規開拓」のミッションを与えられました。当時、芝浦にあった東芝ビルディング(現・浜松町ビルディング)のオフィス家具はオカムラとコクヨが独占しており、内田洋行は参入がとても困難な状況でした。

私は、ビル内で名刺をひたすら配りました。地道な営業活動が実を結び、フロアのリニューアル計画の情報を得ました。入札を勝ち抜き、ついに内田洋行の家具が東芝に採用されました。「さあ、ここから頑張ろう!」と気合を入れた時に、父から会社をやめろと言われました。父が私を修業させると約束していた株式会社リコーの専務から「いつ来られるのか」と声をかけられていたからです。気合が入っていた時だけに落胆しましたが、内田洋行を退職してリコーに入社しました。

配属先は最先端部署であるソリューショングループで、営業チームのバックアップスタッフとして勤務しました。ここで、お客様の課題を深く理解し、最適な解決策を提案することの重要性を学びました。数ヶ月間でしたが、リコーでの密度の濃い経験は社長となった今でも活きています。社員の悩みに対しても、単に答えを与えるのではなく、一緒に考えて解決策の道筋を示しています。

静岡大学生のアートが彩る、新たなオアシス

ーー静岡に出店したカフェ併設文具店について教えてください。

栗田武明:
「地域の人々が集って楽しめる場所を作りたい」と考え、文具、児童書、カフェを融合した店を開きました。老若男女を問わず誰もが気軽に立ち寄れる空間を目指しています。そして、「若者の活躍の場になれば」と静岡大学の川原﨑准教授と連携し、学生が描いた絵を店内に展示しています。

将来、美術関係の仕事に就きたい学生にとって、自身の作品をたくさんの人に見ていただくことは貴重な経験になります。学生たちの自信につながるだけでなく、地域活性化にも貢献できると考えています。

能動的に、主体的に。チャレンジが自信へとつながる

ーー若手社員にもどんどん仕事を任せているとお聞きしました。

栗田武明:
自分のアイデアが豊富で、それを仕事へも活かしたいという思いが強い人は、弊社で活躍しやすいと思います。たとえば、文系出身でも「IT関連の仕事がしたい」という希望がある新入社員は、DX提案を手がける部署に配属しました。入社4年目となった現在、その社員はお客様の課題に対して、数々の独創的な提案を行っています。

また、厨房付きの食堂があるにもかかわらず人手不足で稼働していないという課題を抱えている会社には、昨年入社した女性社員をアサインしました。彼女は、女性ならではの視点と柔軟な発想で、さまざまな提案をしています。

そのように、新卒社員にも積極的に仕事を任せて実践的な経験を積ませています。もちろん、先輩や周りの人たちがしっかりとサポートします。新卒社員には、指示を待つのではなく、自ら考えて失敗を恐れずチャレンジすることで、たくさんの自信をつけていってほしいと思います。

ーー今後の展望についてお聞かせください。

栗田武明:
弊社は1つのメーカーに偏ることなく多様な商材を取り扱っています。着ぐるみなどのユニークな商品も扱っており、お客様の幅広いニーズに対応できます。

企業理念の「地域企業・地域社会に貢献し、なくてはならない企業を目指す」の通り、難易度の高いご要望でも、お客様に寄り添って一緒に解決策を追求していきます。

社員には「一生懸命働いて、一生懸命遊べ」と言っています。1日8時間は拘束されるので、仕事は楽しむべきだと思います。仕事とプライベートのメリハリをしっかりとつけて、オンオフの切り替えを大切にしてほしいですね。

編集後記

内田洋行での厳しい修業、顧客開拓の苦難、リコーでの学び。栗田社長の「これらの経験を全て栗田商会で活かしている」という言葉からは、熱い情熱と揺るぎない信念が伝わってきた。

インタビューの最後、栗田社長は「これからも新しいことにチャレンジし、お客様に喜んでもらえる商品やサービスを提供していきます」と力強く語った。その言葉には、未来への確かな自信と強い意志を感じた。

栗田武明/1979年愛知県生まれ、オーストラリア留学後、神奈川大学卒業。2005年株式会社内田洋行に入社し、オフィス什器の営業販売に従事。その後、株式会社リコーにてソリューション事業を担当し、2007年株式会社栗田商会に入社。2012年に同社代表取締役社長に就任。商工中金・名古屋ユース会幹事や愛知県交通安全協会・中支部副支部長として、地域経済の活性と交通安全の活動にも注力している。