ー創業のきっかけや当時の秘話などございましたらご教示いただけますでしょうか。

高橋社長:
大学卒業後、小中学生を対象とした塾講師をしながら知り合いのお弁当屋の手伝いをしていました。

そのお弁当屋で病院から紹介された高齢の退院患者のご自宅に食事を配達していたのですが、お弁当屋の廃業について、お届け先の高齢者の今後を考えるとお伝えすることができなかったことが創業のきっかけです。

配達を通して、食事に困っている高齢者が非常に多いことを知りました。6個入りのアンパンを2日間に分けて食べていたり、大衆食堂から出前を取るために配達可能金額である1,000円以上の料理を毎日注文して、食べきれずに捨てていたり……。

高齢者の多くは、退院できたとしても目や耳、歩行が不自由であったりと、一人での買い物や栄養バランスの良い食事を作ることが困難です。

決して豊かとはいえない食生活にもかかわらず、家族に心配をかけまいと「しっかり食べているから大丈夫」と電話で話す姿に胸が痛みました。

そんな姿を見ていたため、お弁当屋の廃業が決まった時、もう配達ができなくなることを30名近い利用者に伝えられませんでした。

当時は介護保険制度がなく、ホームヘルパーが食事を作る福祉サービスもありませんでした。もし食事の配達がなくなってしまったら、高齢者のみなさんの生活はどうなってしまうのか。

そこで、高齢者に食事を届ける事業だけを残すかたちで1999年12月に高齢者専門宅配弁当「宅配クック123」を創業しました。

宅配クック123の「123」には、「向こう三軒両隣」という意味が込められています。家族とまではなれなくても、隣近所のような身近な存在でありたいと願っています。

身近な存在だと感じていただけるために、商品のお届けは手渡しにこだわり、その際にお声掛けをしています。利用者の安否を確認しつつ、コミュニケーションを取ることを大切にしています。

宅配クック123は、栄養バランスの取れた食事を提供するだけでなく、お届けの際に異常を発見した場合には、速やかにケアマネジャーやご家族と連携する地域密着型の事業です。


ー貴社のサービスの中でも特に強いこだわりがあるという点がございましたら、お教えいただけますでしょうか。

高橋社長:
ご利用いただく高齢者の目線に立ったサービスの中でも、特にお弁当の「量」については、「食べきれる量」でないと意味がないと思っています。

フレイル(虚弱)や低栄養を予防するためにたんぱく質の摂取が大事だと謳っていても、量が多くて利用者が食べ残してしまったら、結局必要とされている分のたんぱく質量を摂取できなくなってしまいます。

そういった状況が起こらないよう「食べきれる量」の中で栄養価を調整するために、副菜の小さなポケット1つでも中身を漬物からたんぱく質が摂れる豆や魚の佃煮に変えたりと、献立作りに日々こだわりを持っています。


ー貴社のサービスが選ばれる秘訣を教えていただけますでしょうか。

高橋社長:
ただお弁当を配達するだけでなく「会いに行く」ことを評価していただき、利用者、ご家族、ケアマネジャーに選んでいただけているのではないかと思います。

また、宅配クック123はフランチャイズチェーンなので、基本的にはオーナーさんのもとで各店舗を運営しています。

この事業に興味を持ってくださったオーナーさんの多くは、社会貢献や高齢者の健康寿命伸長に対する意識を強くお持ちです。

そんなオーナーさんが運営する店舗で日々お客様にお弁当が届けられていますので、細やかな気遣いやサービスがお客様に伝わりやすく、本部にも「配達員さんとお話するのが楽しみです」といった店舗とお客様の気持ちが通じ合ったお声をいただく機会が多くあります。

こうした各店舗でのお客様とのコミュニケーションが、「次も頼みたい」に繋がるのだと感じています。


ー視点を変えて、採用に関する質問です。貴社が求める人材像や社長の右腕として活躍するために必要な『素質』をご教示ください。

高橋社長:
先の展開を予測して、指示が出る前に動き出せる行動力を持つ方を求めています。

今後も高齢者は増加し、高齢化率は上昇していくと言われています。物価上昇や物流問題、地域の現状といった周辺環境にも目を向けた上で事業の方向性を捉えることが非常に大事になってきています。

また、普段の何気ない会話をきっかけに新メニューの考案や新事業の発足に繋がることも多いので、それを見逃さないよう常に気配りができることや各部署と調整する能力が重要だと思います。


ーでは最後に貴社の今後のビジョンをお伺いできますでしょうか。

高橋社長:
お弁当で日本の在宅高齢者を健康にして、地域の医療崩壊を未然に防ぎたいと考えています。

健康的な食事や日々のコミュニケーションによって高齢者の健康寿命が伸長することで、介護認定率や医療費、介護費用の抑制につながることは間違いありません。

これからも見守りを含めた安否確認型の配食サービスに加えて、健康を支援する予防型の配食サービスを地方自治体と連携して推進していきます。

会社概要

社名株式会社シニアライフクリエイト
所在地東京本社
〒108-0073 東京都港区三田3丁目12番14号 ニッテン三田ビル6F MAP
TEL:03-5427-3981 FAX:03-5427-3982

大阪支社
〒564-0063 大阪府吹田市江坂町一丁目14番33号 TCSビル1階 MAP
TEL:06-6192-8101 FAX:06-6192-8102
設立1999年12月
代表者名代表取締役 高橋 洋
従業員数正社員 118人(2023年2月現在)
WEBサイトhttps://slc-123.co.jp
事業概要1.高齢者専門宅配弁当「宅配クック ワン・ツゥ・スリー」 フランチャイズ本部の運営
2.高齢者施設向食材卸事業「特助くん」の運営
3.高齢者向コミュニティサロン「昭和浪漫倶楽部」フランチャイズ本部の運営
4.高齢者施設向厨房受託事業「結の台所」の運営
5.個人向通販事業「健康直球便」の運営