株式会社荏原製作所:概要と沿革
まずは、荏原製作所の基本情報を確認しておきましょう。
株式会社荏原製作所の概要
社名 | 株式会社 荏原製作所 |
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本社所在地 | 東京都大田区羽田旭町11-1 |
設立年月日 | 1920年(大正9年)5月 |
代表取締役社長 | 前田 東一 |
株式公開 | 東証一部 |
資本金 | 687億円(2016年3月末現在) |
事業内容 | 風水力機械カンパニー(風水力事業)、環境事業カンパニー(環境事業)、精密・電子事業カンパニー(精密・電子事業)
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荏原製作所は国内各地に事業所や営業所、関連会社があります。また。荏原製作所にはアジアを中心に北米や欧州にも海外の事業所や、関連会社があります。荏原製作所全体で働く人は16000人を超えていて、非常に大きな組織です。
株式会社荏原製作所の事業内容
荏原製作所の風水力機械カンパニー(風水力事業)
荏原製作所の風水力機械カンパニーは、ポンプ事業、コンプレッサ・タービン事業、冷熱事業を行っています。荏原製作所の創業以来の主力製品であるポンプをはじめ、風水力機械製品・システムを事業をコアの事業としています。
荏原製作所の精密・電子事業カンパニー(精密・電子事業)
荏原製作所の精密・電子事業カンパニーでは、各種コンポーネント機器、半導体製造装置を開発・製造・販売しています。荏原製作所の主力製品のドライ真空ポンプやCMP装置をグローバル市場に提供し、さらに、次世代のノードに対応する、めっき装置、バンプめっき装置、ベベル研磨装置、電子ビーム欠陥検査装置といった各種装置を市場投入しています。
荏原製作所の環境事業カンパニー(環境事業)
荏原製作所の環境事業カンパニーは21世紀における人類共通の最重要課題である「持続可能な社会の構築」に貢献することを事業理念に掲げ、環境・エネルギー関連のインフラ施設に関わるEPCとO&M(Engineering=設計、Procurement=調達、Construction=建設、Operation=運営、Maintenance=維持管理)事業を展開しています。
荏原製作所の研究開発
荏原製作所の研究では、新製品開発、既存製品群の高付加価値化、高性能化・高効率化、ライフサイクルコスト・環境負荷低減、アフターサービス等顧客ニーズの観点からテーマ選定をし、これに加え、コストダウンや生産技術面のテーマで研究を行なっています。さらに、荏原製作所は「水と空気と環境の分野で、優れた技術と最良のサービスを提供することにより、広く社会に貢献する」という企業理念のもと、気候変動、エネルギー、食糧問題、水、環境など、21世紀の全人類的課題解決に貢献するというと使命の中あらゆるテーマで研究を行っています。
株式会社荏原製作所の企業理念
荏原製作所の企業理念
水と空気と環境の分野で、優れた技術と最良のサービスを提供することにより、広く社会
に貢献する
株式会社荏原製作所の事業ビジョン
荏原製作所グループはポンプなどの回転機械をメインの事業に置きながら、環境関連プラントや半導体製造関連機器・装置へと拡大し、連結売上高 5,000 億円規模で海外における売上が 50%を超えるグループに成長ました。荏原製作所グループの事業領域は、水資源の有効活用、エネルギー利用の最適化で、それによる温暖化の抑制、そして快適な情報化社会の実現です。今後も世界規模での成長が期待できる分野です。さらに事業の拡大を目指します。また、荏原製作所は各事業領域で最高の技術開発力を確保し、製品性能の継続的な改善を目指します。
株式会社荏原製作所の技術力
世界の食糧を支える肥料製造プラント向け高圧アンモニアポンプおよびカーバメートポンプ
世界人口の急激な増加により食糧不足が深刻化する中で、食糧増産が急務となっています。荏原製作所は、肥料製造プラントの心臓部である高圧アンモニアポンプとカーバメートポンプについて、ほぼ100%のシェアを誇っています。今も世界中で400台近くのポンプが肥料製造に活躍し、世界の人々の暮らしを支えています。
これまでに類を見ないPMモータ搭載型超小型キャンドモータポンプ
当製品は、高効率な永久磁石(PM)型モータを搭載し、ポンプを可変速駆動する事により、荏原製作所の従来のポンプと比べて、超小型かつ高効率・省エネを実現した製品です。
荏原製作所ならではの点は、ポンプのみならず、モータや駆動・制御装置についても最良の技術が提供できるよう、専門の技術スタッフがチームを作り開発に取り組んでいます。また、従来品の比べ約25%の省エネを達成しました。
独自のコンセプトで半導体の微細化に挑み続けるCMP装置
当製品は、半導体チップの製造過程においてナノメートル(1ナノは百万分の1ミリ)の単位で求められる平坦性を化学的機械的に研磨することで実現する装置です。荏原製作所は世界初のドライイン/ドライアウト方式のCMP装置を開発しました。
スマホ&タブレットにもEBARAの技術が潜むドライ真空ポンプ
ドライ真空ポンプとは、気体を排気する流路に水や油を使用しないクリーンな機械式の真空ポンプです。スマートフォン、タブレット端末及びパソコンなどに多数使用されている半導体及びディスプレイなどの生産設備で、多数のポンプが活躍しています。荏原製作所の製品は徹底的に省エネルギー化と省スペース化を追求しています。
「ごみ」を資源に、エネルギーを創造する発電技術
荏原製作所は可燃性廃棄物やバイオマス系燃料を安全に安定して、衛生的に処理をし、効率的なエネルギー活用を実現するプラントを計画・設計し、建設する仕事、また建設した施設の運営をお客様に代わって行う仕事、さらには生み出された電気必要とする需要家に販売する仕事を通じて広く社会に、そして地球環境保全に貢献しています。荏原製作所の特徴は主要な技術を独自開発してきたことです。荏原製作所は開発から実用化に至る過程では、様々な困難に直面しましたが、果敢にチャレンジして建設実績を積み上げてきました。
株式会社荏原製作所の事業ポートフォリオ
1912年 | 創業、ゐのくち式機械事務所
畠山一清は、世界的に認められた井口博士の渦巻きポンプの理論に基づいた優れた製品を世に広めるため、ゐのくち式機械事務所を興す |
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1915年 | 理論と技術を基に、東京市向け 記録的大型ポンプ受注 |
1920年 | 株式会社荏原製作所設立
製造品目をゐのくち式ポンプ以外の製品も広く手がけるとした趣旨からゐのくち式機械事務所から社名を変更 |
1921年 | 送風機(遠心ブロワ)1号機を納入 |
1924年 | 軸流ポンプの国産1号機製作 |
1925年 | 水道向けポンプの国産化を実現
国産ポンプの採用を訴え続けた結果、性能比較の機会を得た東京市淀橋浄水場で、外国製ポンプに引けを取らない性能を証明し、水道向けポンプの国産化をを実現 |
1930年 | ターボ冷凍機の国産1号機製作 |
1931年 | 国産初の水道用急速濾過装置完成 |
1955年 | 小型ポンプの標準化・量産化による拡販計画始動
小型ポンプを標準化による大量生産・大量販売という新コンセプトの標準ポンプを計画。1956年に一号機が完成し、その後多段ポンプ、水中ポンプなどシリーズを拡充 |
1961年 | ストーカ式ごみ焼却炉1号機を納入 |
1964年 | バンコクに戦後初の海外事務所を設立
製品のアフターサービス会社を設立 |
1965年 | 藤沢工場藤沢工場を新設
国内初の標準ポンプの量産体制を確立する。1966年より冷凍機の生産も開始 藤沢工場で標準ポンプの累計生産台数は、2008年に1500万台を超える |
1968年 | 超臨界圧力用給水ポンプ国産初、超臨界圧力用給水ポンプ納入
大容量化が進む火力発電所は、超臨界圧力の時代に突入 エリオットコンプレッサに関する技術提携 石油精製及び石油化学向けコンプレッサ事業に参入 |
1975年 | 袖ヶ浦工場袖ヶ浦工場を新設
コンプレッサやタービンといったエリオット製品を主力とする風力機械工場として建設 ブラジルに戦後初の海外生産拠点設立 |
1978年 | 国内最大級の大型ポンプ納入
口径4600mm×毎秒50m3の排水用ポンプ納入 |
1984年 | ロゴの変遷新コーポレートマークを制定(現在のコーポレートマーク) |
1985年 | 時代が求める新たな産業へ参入
半導体業界向け新規事業プロジェクト開始 技術革新サイクルが短い半導体業界で、クリーンな製造環境をつくるドライ真空ポンプやナノ単位の平坦性を実現するCMP装置など、半導体製造に不可欠な製品を供給する精密・電子事業の始まり |
1986年 | ルーツ型ドライ真空ポンプ1号機を納入 |
1992年 | CMP装置1号機を納入 |
2000年 | コンプレッサ事業のエリオット社が荏原グループ入り |
2006年 | 中国で三つのポンプ生産拠点を設立
OIL&Gas向け(2002年)、大型・高圧(2005年)、ビル・大型施設向け(2006年)の各ポンプの拠点設立 |
2009年 | 環境プラント事業を荏原環境プラント株式会社に統合
設計・調達・建設のEPC事業から運転・管理のO&M事業までの一体運営体制で競争力強化 |
2010年 | 世界に供給する体制を強化
羽田工場から富津工場に移転 ポンプのグローバル製造拠点のマザー工場となる富津工場の稼働開始 |
2011年 | コンプレッサ事業の日米統合経営
拡大するオイル&ガス市場での飛躍を目指したエリオットグループとしての一体運営開始 |
2012年 | 11月に株式会社荏原製作所は創業100周年を迎える
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荏原製作所は100年以上歴史のある会社です。世界的に認められた井口博士の渦巻きポンプの原理を元に製品を開発してきました。
地球に優しい環境にこだわる株式会社荏原製作所
いかがだったでしょうか。荏原製作所はメインはポンプですが、そこで培ったノウハウを生かして様々な分野の技術を開発してきました。その中でも共通しているのがより便利なものを作ると同時に省エネルギーにもこだわっているところです。そんな荏原製作所を訪れて見てはいかがでしょうか。