※本ページ内の情報は2024年2月時点のものです。

株式会社ジェイックは、就職支援・採用支援・社員教育を行う会社だ。教育と採用の2軸の事業を持ち、他社にはできないオリジナルの事業を展開している。

今回は、代表取締役の佐藤剛志氏から、代表就任までの経緯や働く上でのマインド、自社の強みとこだわりなどについて聞いた。

家業を継ぐことを諦め、代表取締役に就任するまで

ーー大学卒業後、経営コンサルティング会社へ入社したきっかけを教えてください。

佐藤剛志:
私は、下町の商店街にある、衣料品を扱う家で生まれました。小さい頃から家の仕事の手伝いをしており、中学生になった頃には「将来は実家を継いで経営者になろう」と考えていました。

大学時代は正直あまり勉強に身が入らず遊んでばかりいましたが、ゼミの教授から留学を勧められたことをきっかけに、「海外で経営学を学びたい」と思うようになり、留学を決めました。

留学中の勉強は大変でしたが、それ以上にとても楽しかったので、帰国後も「もう1度留学したい」と思っていました。しかし、両親からは大反対されて早く就職することを勧められ、気持ちを就職活動に切り替えることになりました。

家業と業態の近い百貨店を受け、何社か内定をいただいたのですが、その中で「西武百貨店に入社しようか」と考えていました。

しかし、どうしても「また海外で経営学を学びたい、MBAをとりたい」と考えていた私は、改めて会社を探し、入社後MBAをとりに行かせてくれる日本エル・シー・エー(当時)というコンサルティング会社を見つけて入社することを決めました。

ーーその後、どのような経緯で貴社の代表取締役に就任されたのでしょうか?

佐藤剛志:
日本エル・シー・エーに入社する時から、“10年働いたら実家を継ごう”と考えていました。会社にもそう伝えていて、実際、入社数年目の頃からは、コンサルティングの仕事の傍ら、実家の仕事もしていました。

その頃、ユニクロやしまむらの視察に行く機会があったのですが、それらの企業の成長スピードや店舗拡大スピードを目の当たりにして、「これでは実家の商売は生き残れない」と強い危機感を覚えました。そこで私は、中国に衣料品店を出すことを考え、会社の許可を得て何度か中国に行き、店を出したのです。ところがその店は失敗に終わり、借金を抱えてしまいました。

中国出店は私の発案でしたから、失敗したことで実家に帰りづらくなりました。一方で会社には「10年で辞める」と言っているので、残りづらい。それで私は、独立してコンサル業を行うことに決めました。

それから1〜2年仕事をしていたのですが、1人で事業を行うことに限界も感じていました。それで、すでに日本エル・シー・エーを退職していた元常務に相談したところ、「ジェイックの事業を手伝ってほしい」と誘いを受けたのです。そしてジェイックの役員となり、代表取締役に就任して、今に至ります。

会社も人も大切にすることを意識

ーー仕事に取り組む上で大切にされているマインドや価値観はありますか?

佐藤剛志:
大切にしているマインドや価値観は2つあります。

1つ目は、実家が中小企業だったので、「中小企業を支援したい」という思いです。私が中小企業の社長とお話するのがとても好きなのは、父が商店街連合会の会長として、いろいろなお店の方と話している姿を小さい頃から見てきたからだと感じています。同じ中小企業同士であるという仲間意識もあり、できるだけ力になりたいと思っています。

2つ目は、人とのご縁を大切にすることです。留学しようと思えたのはゼミの教授のおかげで、日本エル・シー・エーへ入社できたのは「ここなら早く経営を学べる」と話してくれた人事の方のおかげです。そしてジェイックに入社できたのも、前職の常務に誘っていただいたからです。本当に人に恵まれてきた人生で、「周りの人たちの力で私自身の人生をつくっていただいた」と感じており、人とのご縁は今後も大切にしていきたいと思っています。

ーーこれまで苦労したエピソードがあれば教えてください。

佐藤剛志:
リーマン・ショックの時に、会社が潰れかけたことが印象に残っています。

弊社は、リーマン・ショックが起こる少し前に上場準備を進めていました。しかし、リーマン・ショックにより借り入れができなくなり、とても苦しい状況になってしまいました。賞与も出ず、人も採用できず、退職者も増えるという状況の中で、社内の雰囲気もとても荒れていました。

どうすればこの危機を乗り越えられるかをナンバー2の役員と考え、「7つの習慣®」の研修を行うことにしました。『7つの習慣』とは私がコンサル会社時代に読んでいた本です。「組織改善や社風の回復につながる」と思い、読書会という形で研修に取り入れようと決めました。

研修では、毎回メンバーを決め、本を読み、レポートを書かせた後にディスカッションを行いました。すると目に見えて社風が良い形に変わったのです。

『7つの習慣』は、「他責にせず、物事を主体的にとらえること」や「他人を変えず、自分を変えること」の大切さが書かれた本で、社風が良い形で変わったのは、研修の中で皆がその大切さを自覚してくれたからだ、と思っています。

さまざまなコンテンツで、人の成長をサポートする

ーー貴社の事業の価値について教えてください。

佐藤剛志:
人が成長、変化するきっかけに関われる仕事である、ということを大切にしています。

リーマン・ショックの時は就職氷河期で、フリーターがあふれていました。当時、ハローワークのセミナーも受託していた弊社では、不本意にフリーターとして働いている多くの方に対し、「一人ひとりにしっかりと教育を行えば就職に繋がるのではないか」と考えました。

そこで、そうした若者たちを集め、研修を行ってから企業に紹介したところ、大勢の方が正社員就職に成功したのです。

最初は自信が全くなかった人が活き活きとしている姿や、就職が決まって泣いて喜ぶ姿を見て、弊社の仕事がどれだけ人の役に立てる素晴らしいものであるか、実感することができました。

ーー貴社の事業の強みを教えてください。

佐藤剛志:
弊社の事業の強みは3つあります。

1つ目は、教育と採用の2軸を持ち、就活生やフリーターなどさまざまな方に支援を行っていることです。求職者にしっかり教育研修を行ってから、企業に紹介するモデルを確立させています。

2つ目は、さまざまな社員教育コンテンツを持っていることです。先ほどの「7つの習慣®」の研修もその1つですが、世界で評価されている「デール・カーネギー・トレーニング」など、企業の課題・要望に合わせた教育コンテンツを提供することができます。

3つ目は、全国の大学と広くつながり、新卒学生の就活支援も行っていることです。弊社とつながりのある大学は現在152校(2024年2月7日時点)あり、多くの学生の就活支援に取り組んでいます。

ーー最後に、読者向けにメッセージをお願いします。

佐藤剛志:
弊社は、人と組織の限りない可能性に貢献し続ける企業です。「人は誰しも可能性を持っており、その可能性はいくらでも広げることができる」という価値観に共感していただける方は、弊社にとてもマッチしています。

現在働いている社員は、人の支援が好きで人を大切にする人たちばかりで、職場の人間関係はとても良好です。また、弊社は「働きがいのある企業ランキング」でも、毎回上位にランクインしています。

弊社のビジョンに共感し、働きやすい環境で人の支援をしたいという方は、ぜひ入社してほしいと思っています。

編集後記

就活生や求職者、社員も含め、多くの方の可能性を広げてきた佐藤代表。その取り組みの結果、他社にはない独自の教育コンテンツを築き上げ、「働きがいのある企業ランキング」にも毎年上位にランクインしている。さらなる挑戦や発展を続ける株式会社ジェイックに、今後も注目だ。

佐藤剛志(さとう・たけし)/早稲田大学を卒業後、経営コンサルティング会社を経て株式会社ジェイック代表取締役に就任。企業向けの教育研修事業を展開し、2005年よりそのノウハウを活かして20代の既卒者などを対象とした教育融合型就職支援事業「営業カレッジ®」(現「ジェイック就職カレッジ®」)を開始。「ガイアの夜明け」などのメディアで多数取り上げられる。2019年、東証グロース市場に上場。企業向け教育研修、新卒・既卒向けの採用・就職支援事業を主軸に展開。

※採用×教育チャンネル「HRドクター」
※フリーター・既卒・第二新卒者向けの就職・採用支援サービス『就職カレッジ®』