株式会社ツヅキは、アルミ建材や外断熱外壁などを取り扱う企業だ。
メーカーでありながら開発・製造だけでなく、販売・設計・施工までワンストップで対応しており、他社との差別化を図っている。
今回は、代表取締役社長の髙橋浩二氏に、社長に就任するまでの経緯や事業の強み、働く社員の雰囲気、今後の展望などについて話を聞いた。
創業54年の老舗メーカー企業の代表取締役に就任するまで
ーー2001年に経営コンサルティング会社を設立されていますが、そこではどのような仕事をしていましたか?
髙橋浩二:
インハウスコンサルタントとして、大手企業の企画立案や事業展開の支援を行っていました。
「企業にとって1番近い存在でありつつ、あくまでも第三者である」という点を活かし、企画や事業を進める上での社内コーディネーターのような役割を担っていました。
ーーその後、貴社へ入社することになった経緯を教えてください。
髙橋浩二:
インハウスコンサルタントは企業のサポーターのような仕事であるため、プレイヤーではありません。
また、外部から関わる立場なので、企業の中に踏み込んで業務を行うことが難しい状況でした。
その中で、「もっと企業の内部で直接的にかかわる仕事をしたい」という気持ちが強くなりました。
転職を考えていたときに弊社に知り合いがいたこともあり、ご縁があって代表取締役として入社することになりました。
ーー社長に就任されてからの約10年間を振り返り、印象に残るエピソードはありますか?
髙橋浩二:
従業員から「社長が来てくれたおかげで会社が大きく変わった」といってもらえたことがとても嬉しかったです。
昔の弊社は、ただ単に「売れる商品をつくろう」という方針でしたが、私が代表取締役に就任してから、商品開発はもちろん、工場を充実させることにも力を入れ、製造環境を整えました。
これから社内環境が変化しても「安定した経営を続けられる会社にしたい」と考えています。
物流問題の解決と環境保護にも積極的に取り組む
ーー貴社の強みはどんなところでしょうか?
髙橋浩二:
主に2つあります。
1つ目は、開発・製造から施工管理までワンストップで対応していることです。
昨今、物流の2024年問題も叫ばれており、人手不足や労働環境の改善などの課題がある中で、現場の工程の短縮化や効率化は必要不可欠です。
弊社のワンストップ対応は、この問題の解消に効果的であると思っています。
2つ目は、地球環境保全に貢献できる外断熱の事業に取り組んでいることです。
外断熱工法は、コンクリートの建物の外側を断熱材で包み込む工法です。
暑さや寒さからコンクリートを守ることができるので、夏は涼しく、冬は暖かい状態を保つことができます。
冷暖房の効率も良く、省エネにつながるため、環境にやさしい事業として地球環境の保全に貢献できています。
また、外断熱は建物を長寿命化させることができます。
外気に曝されている建物は、雨水の浸入からの鉄筋の腐食やコンクリートの爆裂を生み出し、建物が劣化していきます。
しかし外断熱工法を用いた建物であれば、コンクリートを保護し、さらにコンクリートに蓄熱させる効果があるので暖房・冷房効果を長時間活かすことができ、エネルギーの有効活用ができます。
二酸化炭素を出す大きな原因となっているのは、コンクリートの破壊時であるというデータが環境省から出されています。
ビルの取り壊しは環境に大きな悪影響を与えてしまうので、できるだけ破壊する回数を減らすことができる外断熱工法を取り入れることは、地球環境を保護することにもつながるのです。
これだけメリットの多い外断熱ですが、残念ながら日本ではあまり広がっていません。
もちろん初期コストはかかりますが、長期的に見るとメリットが大きく、地球の環境を本当に考えるのであれば、外断熱に取り組むことが必要不可欠であると私は考えています。
弊社は今後も外断熱事業に積極的に取り組み、建物の健康や地球環境保護に貢献し続けていきます。
営業・開発部門を強化し、さらに商品を広めていく
ーー貴社ではどのような社員が働いていますか?
髙橋浩二:
弊社の社員で1番多いのは、20代の若手社員です。
弊社に入社してから一級建築士に合格した社員もおり、勉強熱心で優秀な社員が多いです。
そして社員全員がやりがいを持って、楽しそうに働いているので、その姿を見て私もパワーをもらっています。優秀な若手社員に多く入社してもらえて、とても感謝しています。
ーー今後注力していくことは何ですか?
髙橋浩二:
営業部門と開発部門の協力体制の強化です。
私は普段から、営業の社員に「自分が営業を行えば、どんな商品でも売れるという営業力を身につけよう」と伝えています。
営業は、「自分をいかに相手の記憶に残せるか」が大切です。
商品を理解することももちろん大事ですが、事前にシナリオをつくり、「営業時にどのようなキーワードを使って話すのか」を考えることが重要です。
一方で、開発部には「人がいなくても売れるくらいの良い商品をつくろう」と伝えています。
営業部と開発部のそれぞれが強くなり、その上で協力すればさらに良い商品づくりや営業活動ができると思っています。
110%のキャパシティを持ち、将来のための努力に取り組んでほしい
ーー最後に、読者である若手人材に向けてメッセージをお願いします。
髙橋浩二:
目の前の努力だけでなく、将来のために努力できるよう、キャパシティを110%にするよう心がけてほしいです。
たとえば、自分の努力のキャパシティが100%しかないと、目の前のことだけに100%一生懸命になってしまった場合、すぐに燃え尽きて他に何も取り組めなくなってしまいます。
しかし110%のキャパシティがあれば、残りの10%を将来のための勉強に使うという分配を行うことができます。
目先のものだけを追うのではなく、将来のために自分には何が必要かを考えて、そこに努力していくことにも取り組んでほしいです。
編集後記
製造から施工までをワンストップで対応し、老舗企業の新たな強みを確立させた髙橋社長。
今後は営業・開発部門の体制強化にも取り組み、自社製品をより多くのお客様に届けられるよう努力を続けていくという。
さらなる成長に向けて挑戦を続ける株式会社ツヅキには、今後も注目だ。
髙橋浩二(たかはし・こうじ)/1957年福井県生まれ、1980年慶応義塾大学商学部卒業、北海道拓殖銀行に入行。1998年、同行破綻処理の頭取特命事項を終えて退職。同年4月雪印乳業(現:雪印メグミルク株式会社)入社、2000年退社。同年、経営コンサルティング会社を設立。2013年、株式会社ツヅキに代表取締役として入社。現在は2度目の創業を目指して、聖域なき事業見直しに注力中。