ヴィスコ・テクノロジーズ株式会社は、画像処理システムの製造を行っている会社だ。創業以来「画像一筋」を掲げ、画像処理アルゴリズムや光学技術、電気・機械の豊富な知識と経験を持ち、高度な検査装置をつくり出してきた。
今回は代表取締役社長の足立秀之氏に、事業内容や強み、起業するまでの経緯、海外展開、社員に対する思いなどについてうかがった。
工業製品全般を対象にした画像検査装置を提供
ーー貴社の事業内容について教えてください。
足立秀之:
弊社は汎用画像検査装置の製造や販売を行っています。全ての工業製品を対象としており、その中でも電子部品や半導体の検査に使われることが多いようです。
また、日用品、医療品、自動車の部品など、多種多様な製品の検査も可能です。基盤の検査装置や液晶パネルの検査装置などを専門とする上場企業は多いのですが、全ての工業製品を対象にしている上場企業は弊社だけです。
ーー他に、貴社の強みは何でしょうか?
足立秀之:
画像検査で一番重要なのは、画像の撮り方です。
照明やレンズ、カメラの条件によって画像の見え方が全く違ってくるのですが、弊社はその撮り方のノウハウを多く持っています。
検査に適した画像を取り込む光学ソリューションが他社よりも優れており、他社が持っていない検査アルゴリズムも持っているため、アナログとデジタルの両方に強みがあります。
起業当初からコネクタに事業としてのターゲットを絞る。今後は海外へ
ーー起業までの経緯を教えてください。
足立秀之:
弊社を立ち上げる前は、弊社と近い事業を行う会社で働いていました。この会社は画像検査業界で世界トップシェアを誇る会社だったのですが、光学ソリューションを積極的に提供していませんでした。
画像検査の事業を行う上で「光学ソリューションと検査アルゴリズムの2つが必要である」と感じ、「その双方を持っているという強みを活かせる会社をつくりたい」と思い、起業しました。
ーー起業当初は何に注力していましたか?
足立秀之:
電子部品に注力し、その中でもコネクタに絞って事業を始めました。半導体は、新しい機種が出ても構造が同じなので、検査概要は変わりません。
しかしコネクタは、検査する機種のバージョンが変わるたびにそれ専用のコネクタをつくる必要があるため、そのための検査装置は「より必要とされるものだ」と思い、絞り込みました。起業後の10年間は携帯電話向けの検査が多く、後半の10年はスマートフォン向けの検査が多かったですね。
ーー海外展開をする予定はありますか?
足立秀之:
現在、中国や台湾、タイ、ベトナム、マレーシア、アメリカに拠点があるので、今後もさらに海外拠点を増やしていきたいと考えています。
以前勤めていた会社は今も世界シェアナンバーワンですが、国内のシェア率は弊社の方が勝っています。そのため、これからは海外でのシェア率も伸ばしていきたいと思っています。
仕事に面白さを感じ、面白い結果を出してほしい
ーー貴社の社員に対する思いがあれば教えてください。
足立秀之:
弊社の経営方針の一つなのですが、仕事に面白さを感じてほしいと思っています。
ありがたいことに、お客様から「他社と比べてヴィスコの画像はとても綺麗」「他社の装置では検査はできなかったが、ヴィスコではできた」などの賞賛の言葉をいただくことが多いのです。そのようなフィードバックを受け取る時は、私たちの仕事の楽しさを再確認する瞬間でもあります。
お客様に解決策を提案したり、今までできなかった検査の装置を開発してアルゴリズムをつくるなど、弊社の仕事の一つひとつに面白さが詰まっています。こういった面白い仕事で面白い結果を出していける人材になってほしいですね。
編集後記
もともと画像検査の事業を行う会社で働いていたものの、「光学ソリューションと検査アルゴリズムの2つの強みを活かした会社をつくりたい」という思いで、ヴィスコ・テクノロジーズ株式会社を設立した足立社長。
今では国内上位シェアを誇る会社となり、これまでに多くのお客様を支援してきた。今後は海外拠点も増やし、世界トップシェアの画像検査メーカーとなることを目標に挑戦を続けるヴィスコ・テクノロジーズ株式会社から、目が離せない。
足立秀之/1965年生まれ、京都府出身。1989年大阪電気通信大学工学部精密工学科を卒業後、アナログ・デバイセズ株式会社に入社。1996年コグネックスコーポレーションに入社。2003年ヴィスコ・テクノロジーズ株式会社を設立、代表取締役社長に就任。“画像一筋”で現在に至る。