※本ページ内の情報は2024年5月時点のものです。

2013年に設立された株式会社EXIDEAは、メディア・クリエイティブ・テクノロジーの3つの強みを軸に複数のマーケティングサービスを提供するグロースハックカンパニーだ。

人と企業にインスピレーションを与え、新しい一歩を踏み出してもらうために、生活インフラの比較サイトである「HonNe」「WiMAX比較.com」や、ブランディング・クリエイティブサービス「W/A」、AIを用いたSEOライティングツールである「Emma Tools」などを提供している。グローバルにサービスを展開し、現在は日本・アメリカ・ベトナムの3カ所に拠点を構える。

代表取締役CEOの小川卓真氏は、自社の本質について「世界の認識を変え、現実を変えるイノベーション企業だ」と語る。その真髄とは──。

リスクを背負いやりたいことをやる起業家人生を選択

ーー起業に興味を持ったのはいつ頃ですか?

小川卓真:
はじめてのビジネス経験は、大学生のときです。2年間で単位取得を終え、あまった時間ではじめたのがインターネットで物を売るECビジネスでした。学生ながらそれなりの売上を上げることができ、学生向けのアルバイトよりも面白かったですね。インターネットの可能性を感じました。

思い返せば、父母双方の親戚に経営者がおり、幼いころから会社経営の話を自然と耳にしていました。父方の本家は製造業で、難しい技術ばかりを取り扱う特殊な会社でした。母方は、曾祖父が満州で牧場経営に成功した青年実業家。親はサラリーマンでしたが、私は比較的、新しいことや海外からも影響を受ける環境で育ちました。

ーー大学卒業後、起業ではなく就職を選んだのはなぜですか?

小川卓真:
「ちゃんとした会社に就職しなければ」と、親の期待に応えたいという気持ちがありました。2004年当時は、インターネットは虚業だと考える人も少なくなかったのです。就職したJCBは、魅力的なビジネスモデルがあり、優秀な社員もたくさんいて、いい職場でした。ただ、会社で働いたからこそ、就職と起業では仕事の面白さがまったく違うことを実感したのです。

自分ですべて判断してリスクを背負う。それは起業だからこそ味わえる醍醐味というもの。リスクがあってもチャレンジできる生き方が、自分には向いていると思いました。

独立を告げたとき、最初は親に反対されました。しかし、「やりたいことを誰かに止められる人生なら、それはもう自分の人生じゃない」という決意で説得したのです。私の本気が伝わり、最後は納得してくれました。

その後、2007年に仲間とともにSEOツールの開発企業を立ち上げ、取締役副社長として事業を進めていきました。しかし、共同創業者と経営の方向性が合わずに解散し、その後2013年にEXIDEAを立ち上げました。

インターネットでつくる事業で世界一を目指す

ーーEXIDEAは、アイデアから世界を変える事業を創造する「クリエイティブ・グロースハックカンパニー」といわれますが、具体的にどのようなことをしているのですか。

小川卓真:
現在はWEBメディア、ブランディング・マーケティング、SEOライティングツールと、3つの事業を推進しています。いずれもマーケティングの力をもとに展開しており、順調に育っています。たとえば生活に役立つ商品サービスを紹介する総合比較メディアの「HonNe」は、国内でも有数規模のメディアです。世界一のサービスに育つのも夢ではありません。

社名のEXIDEAという名前には、「卓越したアイディア(Excellent Idea)からイノベーションを生み出す」という思いが込められています。「頭の中のアイデアを形にし、グロースハックで世界を変える。常にイノベーション企業であれ」、というのが弊社のアイデンティティです。

ーーイノベーションを生み出すために大事にしていることはありますか?

小川卓真:
行動と成果が結びつく組織づくりを重視しています。イノベーションが生まれるには、従業員が自由に働ける環境が必要です。上司が管理するのではなく、従業員に任せるほうがパフォーマンスがあがります。健全な実力主義の中で、自由と成果が両立する組織を目指しています。

弊社の組織のあり方を表す一例に、在宅ワークがあります。弊社では、在宅ワークの形式は現場主導で決めています。

具体的には、新卒者や未経験者の多いWEBメディアチームでは、基本は出社にして在宅ワークは臨時に取得する方式。クライアントワークのチームでは週2、3回の出社と在宅ワークを併用するハイブリッド型。ツールを開発する事業チームは基本在宅で出社は月イチのみといった具合です。いずれも、パフォーマンスを最大化させる方法を現場が考えた結果です。

ーー成果に結びつける鍵は、現場に任せるということでしょうか。

小川卓真:
数年前まで、全部を自分でやったほうが早いと思っていました。しかし、事業領域に精通しているのはやはり事業部長ですよね。現場でも同じようなことがいえます。社長が出過ぎるよりも、課題があるときにみんなの話を聞くという、壁打ち役に徹する考え方に変えたのです。そのほうが、組織がうまく機能すると思っています。

責任を持たせることで、人は育ちます。周りの人が気持ちよく働けたり、人生が豊かになったりするほうがいい。従業員一人ひとりの可能性が開くのを見られるのは、社長としての喜びです。

マーケティングの力で社会課題の解決をサポートする

ーー設立から10年経ち、さらなる成長フェーズを迎えていますね。会社の将来像についてお聞かせください。

小川卓真:
まずは採用を強化したいですね。弊社の求めるマーケティング人材は、市場に多いとはいえません。WEBメディア事業では未経験者も募集していますが、ブランディング・マーケティングとSEOライティングツールの事業は、マーケティングの知識に加え、クリエイティブや、AIなど最先端テクノロジーへの知識が求められます。

レッドオーシャンを開拓できるエキスパート、もしくはエキスパートになれる素養のある人材を、積極的に採用していきたいと考えています。

創業当時から、できる限り社会的な課題に取り組む会社にしたいという思いがありました。この先、フードテック(フード+テクノロジー)やグリーンテック(環境配慮のテクノロジー)のような分野で、社会課題の解決に挑む会社を、弊社の強みであるマーケティングやテクノロジーの領域で支援していく方針です。

編集後記

マーケティングの会社にとどまらず、イノベーションを軸に事業開発に取り組むEXIDE。4階建てのオフィスには、フリーアドレスのワーキングスペースや酸素カプセルなどもあり、随所に働きやすさへの工夫がなされている。

社長の視点が「人」に向いていることが、事業と組織が成長し続ける鍵だろうと感じた。この先、同社からどんな新しいサービスが生まれるのか楽しみだ。

小川卓真/2006年、25歳でSEOツールの開発企業を設立して以来、SEOを軸にデジタルマーケティングに従事。2013年に、Webメディア、Webサービスをグローバルに展開するイノベーション企業である株式会社EXIDEAを創業。デジタルマーケティングの力があれば、優れたインベンションは世界中に届き、イノベーションに変えていけるという信念の下、代表取締役CEOとしてEXIDEAを経営する。